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  1. 東京都議会 2012-03-15
    2012-03-15 平成24年予算特別委員会(第4号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時開議 ◯大塚委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。  これより付託議案の審査を行います。  第一号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。  昨日に引き続き総括質疑を行います。  三宅正彦委員の発言を許します。    〔委員長退席、鈴木(あ)副委員長着席〕 ◯三宅委員 初めに、エネルギー政策についてお尋ねします。  昨年、三十一年ぶりに貿易収支が赤字になりました。東日本大震災で原発が停止し、火力発電に切りかえられた結果、原油や天然ガスなどの輸入がふえたのが主な要因といわれています。今後、中東情勢や為替相場の変動から燃料の高騰も予想され、原発が再稼働できない場合には、現在の日本経済の状態から貿易収支はさらに悪化することになると考えられます。  エネルギー安全保障の観点、経済的観点、また、地球温暖化対策の観点からも、安全が確認された原発は再稼働が必要であると思います。  一方、代替エネルギーを確保するため、再生可能エネルギーの利用を進めることも重要です。東京都は、二〇二〇年までに、東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%に高める目標を掲げていますが、そのためには多様な取り組みが必要であり、地域のモデルとなる先進的取り組みを展開していくことも有効と考えます。  例えば、デンマークのサムソ島は、風力発電、バイオマス、太陽光発電などを活用しながら自然エネルギー一〇〇%供給を達成しており、島しょ地域における自然エネルギー活用のモデルとなっています。  東京に目を転じれば、自然に恵まれ、周囲を海に囲まれた伊豆・小笠原諸島は、このような自然エネルギー活用の地域モデルとなるポテンシャルを秘めているとも考えられます。  実際、八丈島では風力発電、地熱発電が行われていますし、波力発電については、神津島海域において地元漁業者の理解のもと、実証実験に向けた取り組みがスタートしており、将来の海洋エネルギー開発に向けた先進事例として期待されています。  そこで、今後の島しょ地域における自然エネルギー活用の取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。 ◯石原知事 東京の島々、伊豆七島から小笠原にかけての島々は、まさに美しい自然に恵まれた真珠の首飾りにも例えられるような、首都圏にとっていやしの空間でありまして、太陽の光も、都心よりははるかにたくさん降り注いでおりますし、決して穏やかではない海洋の波の力、潮力など、自然エネルギーの宝庫であると思います。  特に、波力発電については前からいわれておりましたが、私もずっと長い間ヨットをやっていますけれども、このごろどういうわけか、日本の近海の風力が総体的に落ちてきた気がするんですけれども、ただ、潮の流れは、これは変わっておりませんで、八丈小島と本島の間のあの潮の流れは驚異的で、私たちいつもレースのときにてこずるんですが、ああいったものをやっぱりもっと大がかりにエネルギーとして活用できないのかなと、いつも思っております。  いずれにしろ、この個性豊かな、多様な可能性を有している島しょの地域で、自然エネルギーの活用モデルを先進的に取り組むということは極めて有意義だと思っております。  風力発電も、あちこちで見られますし、先般も、オリンピックのときにコペンハーゲンに行きましたが、あの非常に浅い海に風力発電の風車が林立しておりましたけれども、一つや二つつくっても、これは余り費用対効果で私は意味ないと思うんですね。むしろ、そんなことよりも、潮の強さみたいなものを利用するということは、これから大きな可能性があるんじゃないかと思っております。  八丈の地熱発電なんかは見学いたしましたが、いずれにしろ、これからは、島しょ地域では、民間事業者や大学の研究などと連携して、こういった自然の力を活用して電力に振り向けるという、そういう研究が積極的に行われたら大変結構だと思っております。いずれにしろ、伊豆七島こそが、自然エネルギーの利用の地域モデルとなるべく努力していきたいものだと思っております。
    ◯三宅委員 ありがとうございました。産業振興や観光資源ともなると思いますので、ぜひ積極的にお願いしたいと思います。  次に、防災対策についてお尋ねします。  東日本大震災以降、首都東京の震災対策はますます重要な課題となりました。とりわけ緊急輸送道路は震災時における広域的な救援活動や、復旧、復興の大動脈となることから、その沿道建築物の耐震化を一刻も早く進める必要があります。  こうした中、都は条例制定後、夜間、休日も含めた個別訪問や説明会の開催を行い、所有者への働きかけを積極的に行ってきたと聞いております。  都の取り組みによって、所有者の意識も徐々に高まっていると思いますが、それを具体的な行動にしっかりつなげていくためには、所有者はもとより、幅広い関係者が、それぞれの役割を果たし、連携して取り組むことが重要です。  そこで、初めに、所有者の耐震診断に向けた行動を促すために、都はどのような取り組みを行っているのか、また、現在までの成果について伺います。 ◯飯尾都市整備局長 耐震診断に向けた所有者の主体的な取り組みを促しますために、都は、診断が義務づけされているすべての建築物約五千棟を対象といたしまして、個別訪問や説明会の場におきまして、条例の趣旨や耐震化の必要性などを直接伝えてまいりました。  また、昨年の八月には、沿道耐震化ホットラインを開設いたしまして、休日や夜間も受け付けが可能な日を設けるなど、所有者からの相談や問い合わせにきめ細かく対応しております。  さらに、専門技術者を現地に派遣する制度も開始いたしまして、建築物の状況等を確認した上で、具体的な診断の進め方につきまして、所有者に詳細な説明や助言を行っております。  これまでのホットラインの利用件数は延べ約三千件、技術者派遣の申込件数は約四百件となっておりまして、既に約二百件の耐震診断の着手に結びついております。 ◯三宅委員 引き続き取り組みを強化されることを、強く要望したいと思います。  今回の条例は、緊急輸送道路の災害時の機能を確保するため、広域的な視点から都が制定したものですが、施策の効果を発揮するためには、区市町村との連携も不可欠です。  条例のポイントである耐震診断の義務化は四月から施行されますが、耐震化の推進に向け、区市町村の体制と連携がどのようになっているのか伺います。 ◯飯尾都市整備局長 条例施行後に実施した個別訪問や説明会では、都の職員に加えまして、区市町村の職員も一緒に参加しておりまして、連携した取り組みを進めておるところでございます。  こうした取り組みなどによりまして、都と区市町村との共通認識が十分図られ、平成二十四年度からは、多くの区市で都の改修工事助成に上乗せをするなど、助成制度が拡大される予定でございます。  さらに、建築行政や耐震改修促進法を所管している区市に対しまして、条例に基づく指導、指示などの権限を委任することによりまして、地元の事情に応じたきめ細かい機動的な対応ができるようにいたしました。  今後とも、都としては、区市町村と緊密に連携し、耐震化に向けた取り組みを所有者に積極的に働きかけてまいります。 ◯三宅委員 ぜひ地元の事情を熟知している区市町村と連携して、すべての建築物の耐震診断が一刻も早く実施されることを希望したいと思います。  次に、建築物の安全と安心を確保するためには、診断後、耐震性能が満足しない場合には、改修工事に速やかにつなげていくことが重要です。  さきの我が党の代表質問において、耐震改修につなげるため、建設業の団体との新たな連携の仕組みを構築するとの答弁がありましたが、そのねらいと、具体的にどのように進めていくのか伺います。 ◯飯尾都市整備局長 所有者の方々からは、信頼できる施工業者をどう選ぶのか、工事費の見積もりをどのようにとればいいのかといった耐震改修を進める上での相談が多く寄せられております。  そこで、都は、民間の技術力や実績を生かしまして、所有者の耐震化に向けた主体的な取り組みにつなげていきますために、建設業の関係団体との新たな連携の仕組みを構築することといたしました。  既に仕組みづくりに向けた話し合いを進めているところで、今後は、相談窓口や施工業者の紹介の方法、役割分担などにつきまして、具体的に協議を進め、速やかに協定を締結いたします。  所有者がより安心して耐震化に取り組める環境を整備することによりまして、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進してまいります。 ◯三宅委員 関係団体との協議を精力的に進め、できるだけ早く協定を締結されることを要望いたします。  答弁にあったように、所有者、行政、民間、それぞれが大きな連携の中で耐震化の推進にしっかり取り組んでいただき、早期に実績を上げることを期待したいと思います。  次に、多摩山間部と島しょ地域の道路整備について伺います。  都は、東日本大震災を受け、計画期間の半ばを迎えた「十年後の東京」計画を充実強化した「二〇二〇年の東京」計画を公表し、大震災後の都政運営の中長期的な道筋を明らかにしました。  この計画の中で、高度な防災都市を実現し、東京の持つ安全性を世界に示す目標に向けた施策の一つとして、多摩山間部や島しょ地域の道路整備が新たに取り上げられました。  また、さきの震災における被災地の復旧、復興に当たっては、改めて道路の重要性が認識されました。  これらの地域は、急峻な地形などから被災した東北地方と同様に道路が限られており、主要な道路の整備は、地域の振興を図るだけでなく、防災性の向上に大いに資するものと考えます。  私の地元、大島の一周道路では、平成二十年に波浮港付近で、沿道の急斜面から直径四メートルほどの大きな落石がありました。道路の半分以上を遮ってしまったため、全面通行どめになり、現在、防災性の向上に資する大滝橋という新しい橋梁による道路のつけかえ整備が進められています。  そこで、大滝橋の整備状況と事業効果についてお伺いいたします。 ◯村尾東京都技監 都道大島循環線は、島民の日常生活や観光、経済活動を支え、自然災害など緊急時には避難路となる極めて重要な役割を担っております。  平成二十年二月の差木地地区の落石による通行どめに伴い、暫定的に町道を迂回路と確保しつつ、五郎川を橋梁で渡る新たなルートの整備を進めてまいりました。  明後日には、大滝橋を含む事業区間二百七十メートルが完成し、新ルートの交通開放を行います。  これにより、落石の危険性がある斜面を回避し、急カーブが解消されることから、本整備区間における安全性が飛躍的に向上し、島内の循環線の機能が回復いたします。 ◯三宅委員 整備が着実に進められていることがわかりましたが、今後も島しょ地域の防災性を強化するためには、災害時の避難路を確保するなど、引き続き道路整備を進めていく必要があります。  そこで、島しょ地域の防災力強化に資する道路整備の今後の取り組みを伺います。 ◯村尾東京都技監 島しょ地域の防災力を強化するには、島内の集落間を結び、港湾、空港などを連絡する都道につきまして、現道の安全性向上や代替路の整備を進めるなど、災害に強い輸送ネットワークの構築が重要でございます。  このため、大島循環線の道路拡幅や線形改良、神津島における長浜多幸線を補完する新たな代替路整備など、緊急時に迅速な避難、復旧活動が行われるよう、都道の整備を着実に推進いたします。  今後とも、島しょ地域の振興や防災力の強化を図るため、豊かな自然環境や観光資源などを生かしつつ、島民の命綱といえる都道の整備に積極的に取り組んでまいります。 ◯三宅委員 実は今月五日には、神津島で大雨により都道の斜面が崩落いたしまして通行どめになっております。復旧に向けて動いていただいておりますが、改めて防災力強化に向け、道路整備を着実に行っていただきたいと思います。  ところで、「二〇二〇年の東京」計画には、多摩川、秋川沿いの一本しかない幹線道路の代替道路として、これまで我が党の林田議員が事業推進に尽力してきた多摩川南岸道路秋川南岸道路が新たに位置づけられました。これらの道路の早期完成は、地域住民の長年の願いであることから、地元は大変期待していると聞いております。  そこで、これらの道路の整備状況と今後の取り組みについてお伺いします。 ◯村尾東京都技監 多摩川及び秋川の南岸道路は、山間地域の生活を支えるとともに、観光振興や防災性向上を図るため、対岸を走る幹線道路の代替路として新たに整備する極めて重要な道路でございます。  このうち、多摩川南岸道路は、奥多摩町内の計画延長約七キロメートルの道路で、西側約二・三キロメートルが既に完成しており、続く二・八キロメートル区間で、仮称城山トンネルや橋梁二カ所などの整備を進めております。  一方、秋川南岸道路は、あきる野市から檜原村に至る計画延長約十四・五キロメートルの道路で、約二・九キロメートルが既に完成し、未整備区間につきましては、早期事業化に向け、道路線形の検討などを進めております。  今後とも、地元関係者の理解と協力を得て、山間部の生命線ともいえる都道の整備に積極的に取り組んでまいります。 ◯三宅委員 今回の答弁で、防災上の観点から、多摩山間部や島しょ地域の道路整備を推進していくことがわかり、大変心強く思いました。  これらの地域には、世界自然遺産の小笠原諸島や国立公園にも指定されている奥多摩湖周辺に代表される緑豊かな自然があります。地域の生活を支え、豊かな自然を生かした観光振興を促進するためにも、地域の防災力強化に資する道路整備を推進するようお願いしたいと思います。  次に、漁村地域の防災力強化について伺います。  昨年発生した東日本大震災では、被災地域の漁業生産活動を支える上で不可欠な冷凍冷蔵施設に甚大な被害が生じ、水産業復興の足かせとなっています。  幸いにして、今回の震災による島しょ地域の水産業の被害は少なかったものの、東北地方の水産業の現状を見ると、島しょ地域の水産業においても、震災への備えを強化することが必要であると感じました。  申し上げるまでもなく、輸送手段の限られる島しょ地域では、冷凍冷蔵庫などの漁業関連施設は漁業活動を行う上での生命線です。また、災害発生時、これらの施設が老朽化などで倒壊すれば、漁港や道路が使用不能になるなど、二次災害を引き起こし、復旧、復興の足かせともなりかねません。  このため、都が緊急対策として五カ年の漁村地域防災力強化事業を立ち上げたことは高く評価いたしたいと思います。  そこで、本事業の進捗状況と、今後の取り組み予定についてお伺いします。 ◯前田産業労働局長 お話のとおり、島しょ地域の漁業共同利用施設の中には老朽化したものも少なからず存在し、このような施設が地震で倒壊すれば、漁業生産活動の維持や漁港機能の確保にも支障を来します。  このため、都では、島しょ地域の漁業共同利用施設の耐震化等、新たな対策が急務と判断し、震災後直ちに、漁村地域防災力強化事業を立ち上げました。  本事業は、漁業共同利用施設を対象として、耐震診断や施設の耐震化などを行うものであり、本年度は、これまでに百三十一件の耐震化診断と、五件の耐震化が困難な施設の撤去に対し支援を行っております。  今後とも、都は、漁村地域の防災力強化を集中的に進めてまいります。 ◯三宅委員 ぜひ速やかに整備を進めていただきたいと思います。  次に、島しょ地域の観光振興について伺います。  東京都には、豊かな自然や固有の歴史、文化などに恵まれ、それぞれが個性的な魅力を持つ島々があります。島しょ地域では、観光が主要な産業の一つとして位置づけられております。  各島では、以前より、それぞれの島が独自に観光施設設備やイベント開催などの取り組みを行い、観光振興を図っているところですが、格安海外旅行の台頭などにより、競合する観光地がふえ、観光客数は、長期にわたり減少する傾向にあります。減少に歯どめをかけ、観光客を誘致するに当たっては、今までの取り組みを強力に進めることはもちろん、新たな取り組みも求められます。  その一つの手法として、各島の連携強化を考えてみてもよいと思います。東京の島々は豊かな自然や食、楽しみ方など、共通して観光客にアピールできる魅力はたくさんあります。  そこで、島しょ全体で認知度の向上を図るような、島同士の連携についても検討すべきと考えますが、所見を伺います。 ◯前田産業労働局長 島しょの観光振興のためには、それぞれの島が、その特徴ある観光資源を生かした個性的な取り組みを推進していくことが重要であり、都はこれまで、こうした考えのもと、各島の取り組みに支援を行ってまいりました。お話のように、今後は、これに加えて、各島が連携して東京の島全体の魅力向上を図り、旅行者誘致につなげることも必要であると認識しております。  この三月には、被災者支援という観点から、東京諸島観光連盟を窓口として、福島県の被災者家族を各島に招待する事業が行われますが、これは各島の自主的な連携が形となってあらわれたものと考えております。  今後は、こうした取り組みをきっかけとして、東京の島の魅力や存在感を高めることにつながる連携のあり方につきまして、東京諸島観光連盟や各島などの関係者が主体的に検討を進めるよう、都として働きかけてまいります。 ◯三宅委員 島しょの観光振興に当たっては、いうまでもなく、島しょ地域の魅力を広く伝えることが重要です。各島が共同して行う取り組みなど、連携のあり方について、本当、一番頑張らなきゃいけないのは島の方だと思うんですが、関係者で知恵を出し合って、ぜひ検討を続けていただきたいと思います。  また、観光振興のもう一つの手法として、島しょ部にクルーズ客船の寄港を一層促進することが必要であると考えております。  クルーズ客船は、豪華ホテル並みの居住空間を有する快適な移動手段であるとともに、寄港地の風景に花を添え、寄港地のイメージを向上させる効果があり、島の観光振興にとって有力なツールであると考えております。  東京都は、東京港や島にクルーズ客船を誘致するために補助制度を創設するとのことですが、この制度の意義、内容について伺います。 ◯中井港湾局長 クルーズ客船を誘致するためには、観光地としての魅力を有するとともに、寄港に伴うコストが低いことが重要なポイントであります。  このため、来年度から、東京港及び島しょに寄港するクルーズ客船を対象として、寄港コストのうち、大きなウエートを占める水先案内料や引き船料などの負担を軽減する制度を新たに導入することといたしました。  とりわけ、クルーズ客船の島しょへの寄港を促進する対策は初めての取り組みであります。  これを起爆剤として、震災以降低迷している東京港へのクルーズ客船の寄港回復につなげるとともに、長期的に低下傾向にある島しょ観光の回復に努めてまいります。 ◯三宅委員 クルーズ客船の寄港コストの低減は、すばらしい取り組みだと思います。こうした取り組みにあわせて、島しょの自治体と連携して、船会社や観光事業者に対する積極的な誘致活動を展開していただきたいと思います。  クルーズ船誘致には、もう一つ、受け入れ側の港湾の問題もあると思います。  大型クルーズ船が島の岸壁に着岸できないのは仕方ありませんが、クルーズ船の乗客が小型船に乗りかえて島に安全に上陸するためには、大型船が安定して停泊できる環境が必要です。  小笠原では、父島の二見港に三万トンまでに対応できる係船ブイが整備されていますが、現在のクルーズ船事情を見ると、船の大型化が進んでおり、日本船では「飛鳥II」が約五万トンであるのを初め、外国船では七万トンとか十一万トンを超えるような船も導入されております。  このような大型クルーズ船運航事業者の中には、受け入れ体制が整っていれば小笠原寄港を検討したいという事業者もあると聞いております。  このため、私は以前、経済・港湾委員会において、小笠原の係船ブイの大型化を提案しましたが、その検討状況はどのようになっているのか伺います。 ◯中井港湾局長 小笠原二見港の係船ブイについては、お話のとおり、現在の三万トン級の船を対象としたブイでは、近年のクルーズ船事情を考慮すると、必ずしも十分とはいえないと認識しております。  このため、救急搬送に用いられる飛行艇の離着水水域との調整、上陸後の移動手段の確保等の問題を考慮しながら、対象とすべき船舶の大きさ等の検討を行ってきたところでございます。  今後は、船舶に作用する風力や波力を算定し、係船ブイの改良を行うなどして、クルーズ船の大型化に速やかに対応できるよう努めてまいります。 ◯三宅委員 世界遺産に指定されて観光客も増加している今、本当に迅速に対応していただきたいと思います。  また、島の人にとっても、クルーズ船が来るというのは、ふだんと違う環境ですので、すごい、いつもと違う、何ていうんですかね、新鮮な感じを受けますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。  次に、伊豆諸島航路に就航する船舶の建造支援について伺います。  伊豆諸島航路には複数の船舶が就航していますが、いずれも老朽化が進んでいます。地元の利用者からは、設備の不備や快適性の低下などを訴える声があり、運航事業者も航海速力の遅さや修繕費の増大を問題ととらえております。  安定的な運航の維持のために、老朽化した船舶は順次更新していく必要がありますが、離島航路の収支は厳しい状態にあり、運航事業者が独力で代替船を建造していくのは困難です。  この点については、これまでも繰り返し、都としての支援の必要性を訴えてきましたが、今後の都の取り組みを具体的に伺います。 ◯中井港湾局長 伊豆諸島航路に就航する船舶は全般的に老朽化が進んでおりますが、特に八丈島-青ヶ島航路に就航している「還住丸」、東京から八丈島を経て青ヶ島に至る航路に就航している「黒潮丸」については、早急な代替船の建造が必要であることから、運航事業者は、来年度、二隻の機能を一隻に統合した新船の建造に着手することとなっております。  当該航路は、青ヶ島にとって、旅客、物資輸送のために欠かせないものでありますが、収支は常に大幅な赤字であり、運航事業者の経営基盤も脆弱であります。  このため、都としても、航路の確実な維持、存続を図る観点から、代替船建造費の五〇%を補助することとし、平成二十四年度予算案に必要な補助金を計上しております。 ◯三宅委員 八丈島、青ヶ島を結ぶ航路は、青ヶ島にとって、文字どおり生命線であります。ここでの代替船建造について明確な支援を行うとしていることについては大変感謝しております。  また、青ヶ島について、船が少しでも大型化されれば、就航率が上がりまして、いろいろな特産物の出荷もうまくいくと思いますので、ぜひともお願いしたいと思います。  都として支援するに当たっては、代替船の建造計画も精査していることと思いますが、利用者や運航事業者に、どのようなメリットをもたらすのか改めて伺います。 ◯中井港湾局長 八丈島-青ヶ島間で旅客、貨物を運ぶ「還住丸」と、主に東京から青ヶ島に貨物を運ぶ「黒潮丸」とを統合して新船とすることで、船体が大型化し、厳しい海象条件のもとでも運航が可能となります。これにより、八丈島-青ヶ島航路の就航率が上がり、青ヶ島へのアクセスが向上するとともに、物資のより安定的な輸送が実現いたします。
     また、老朽化した二隻を新たに一隻にすることで、運航事業者は、燃料代、修繕費、人件費などを節減することができ、航路運営の効率化を図ることができます。 ◯三宅委員 島民が望んでいる就航率向上に役立ち、運航事業者のメリットもあるということですので、ぜひ着実にお願いしたいと思います。  次に、島しょ医療について伺います。  都民の健康と命を守ることは都の責務であり、いつでも、どこでも、だれもが、よりよい医療を受けられるようにすることが医療行政の重要課題です。  しかしながら、近年、医療を取り巻く環境は大変厳しく、島しょ地域におきましても、区部や多摩地域と比べ病床数が少なく、救急医療や専門医療が十分でないこと、また、島しょ町村が設置する医療施設の整備や高額な医療機器の更新、医療従事者の安定的な確保など困難な問題を抱えています。  そのため、島しょ住民は入院を必要とする医療や専門医療につきましては、本土に行き、診療を受けることを余儀なくされています。急を要する場合は、東京消防庁や海上自衛隊のヘリコプターなどで救急搬送されることもあります。  このような島しょ地域の厳しい環境の中で、特に医師の確保対策については、ますます困難な状況であると聞いています。  現在も独自に確保している医師に加え、都や大学病院などから医師の派遣を受け、医療体制を維持している状況です。  そこで、まず、来年度の島しょ地域への医師派遣の見込みはどのような状況か伺います。 ◯杉村福祉保健局長 現時点で、自治医科大学卒業医師を十名、僻地勤務医師等確保事業により大学病院等から十四名、合計で二十四名を十一の医療機関に派遣をする予定でございまして、今年度の二十五名と同程度を確保いたしております。 ◯三宅委員 大島医療センターの整形外科の医師は、平成六年から今年度まで大学病院から派遣していただいていましたが、三月いっぱいで、その大学病院からの派遣は終了すると聞きました。  この大島医療センターの整形外科は、内科に次ぐ二番目の患者数で需要も多く、また、子どもから高齢者まで幅広い年齢層が受診する重要な診療科であると聞いています。  現在、大島医療センターでは、医師確保に向け、さまざまな努力を続けています。  そこで、島しょ町村から平成二十四年度の医師確保に関して、派遣終了などに伴い、都に協力依頼が出されたケースはあるのか伺います。 ◯杉村福祉保健局長 来年度の医師確保に関しまして、島しょの町村からは二件の協力依頼がございました。  一件目は、小笠原村からでございまして、村立診療所で、今年度末に退職予定の医師の後任につきまして、昨年の七月に依頼がありまして、東京都が平成二十一年から実施をいたしております僻地医療支援機構職業紹介事業に応募のあった医師を紹介し、四月からの採用が既に決定いたしております。  二件目は、お話の大島町からでございまして、都では先月、町からの依頼を受け、直ちに僻地勤務医師等確保事業の協力病院に対して、大島医療センターへの派遣要請を行っており、現在、町とともに鋭意働きかけを続けているところでございます。 ◯三宅委員 ぜひ、いろいろなところに強く働きかけを行っていただきたいと思います。  島しょ地域における医師の確保には、遠隔地であるという地理的条件や人口規模が小さいなどの社会的条件による制約があることから、島しょ町村みずからの努力に加え、都の広域的な支援も必要だと思っております。  島しょ地域の医師確保に対して、今後、都はどのように支援していくのか伺います。 ◯杉村福祉保健局長 都はこれまで、自治医科大学卒業医師の派遣や僻地勤務医師等確保事業による医師の派遣のほか、職業紹介事業などにより、島しょ地域の医師確保を支援してまいりました。  また、島しょ医療機関に勤務する医師が、研修や休暇などで一時的に不在になる場合には、代診の医師を派遣するなど、医療体制の確保に取り組んできております。  今後とも、こうした取り組みや、都が採用した医師を多摩・島しょの公立医療機関に派遣いたします地域医療支援ドクター事業など、あらゆる施策を活用いたしまして、島しょの町村と密接に連携しながら、安定的な医師確保に取り組んでまいります。 ◯三宅委員 ぜひ積極的にお願いしたいと思います。  最後に、島しょの津波対策について伺いたいと思います。  島しょ地域におきましては、地震発生後非常に短い時間で津波が到達するおそれがあることから、港湾や漁港内に避難施設を整備する必要が高いと認識しております。特に、震源域となる相模トラフに近接し、十分な避難時間がとれないおそれのある伊豆大島の岡田港においては、避難施設の整備に早急に取り組んでいかなければならないと思っております。  このような私の提案を受けまして、都においても船客待合所を避難施設の機能を持たせた施設として整備を進めていくと聞いておりますが、岡田港における避難施設整備の具体的考え方及びスケジュールについてお願いします。 ◯中井港湾局長 岡田港は、年間二十六万人が利用する伊豆諸島有数の港でありますが、相模トラフに震源を持つ大正関東地震の再来型の地震では、地震発生後四分程度で津波が到来するとされております。  このため、岸壁に滞留している観光客等の速やかな避難に資するよう、岡田港の区域内に避難施設を整備することとし、平成二十四年度予算案に基礎調査費用を計上いたしました。  調査においては、避難施設の位置、必要な高さや避難対象人員の設定等を行うとともに、老朽化が進んでいる船客待合所との合築など、広範な検討を行い、次年度以降の設計、整備事業へとつなげてまいります。 ◯三宅委員 整備に時間がかかるのは仕方ないと思いますが、スピード感を持って取り組んでもらいたいと思いますし、また、避難施設の計画に当たりましては、新しい知見を取り入れて十分な安全性を確保するとともに、船客待合所等の利用の併用も考えて、うまくやっていっていただければと思います。  以上をもちまして、質問を終わります。(拍手) ◯鈴木(あ)副委員長 三宅正彦委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯鈴木(あ)副委員長 尾崎大介委員の発言を許します。    〔鈴木(あ)副委員長退席、西岡副委員長着席〕 ◯尾崎委員 それでは、まず最初に、地域主権改革に伴う権限移譲について、何点かお伺いさせていただきたいと思います。  本年、二十四年の四月から来年の四月にかけて、地域主権改革に伴う基礎自治体への権限移譲ということで、多くの事務が市区町村に都道府県から移譲されることになります。この権限移譲に伴う財源措置、これは一時的には国の責務であることは理解できますけれども、そうはいっても、区市町村において対応できない場合も想定できるわけであります。  これまた、事務量も増加いたしまして、財政的負担も増すことになるわけでありますから、権限移譲と財源措置はセットでありまして、適切な事務執行には確実な財源措置が不可欠だと考えます。地域主権大綱においては、国は、権限の移譲に伴って、適切に既存の財源措置を見直し、市町村に対して、地方交付税や国庫補助負担金などに関し、確実な財源措置を行うこととするとあります。  そこでまず、お伺いしたいんですけれども、財源措置は国の責務とされておりますけれども、国の対応というのはどうなっているのかお伺いいたします。 ◯笠井総務局長 基礎自治体への権限移譲に伴う財源措置につきましては、地域主権戦略大綱におきまして、国が、地方交付税や国庫補助負担金などにより確実に行うこととされております。  これまでの国の説明では、地方交付税につきましては、基準財政需要額の算定において、都道府県分を市町村分に振りかえ、市町村分を増額措置することで対応するとのことでございます。 ◯尾崎委員 不交付団体に対する財源措置というのは、現時点において不明確でありまして、私、調布なんですけれども、調布のような不交付団体にとっては、事実上、財源措置とならないわけであります。  現在、市長会からも東京都への支援要請が行われておりますけれども、一部の事務は、事務処理特例条例において既に区市町村に委託されております。これの場合は、条例でありますから、委託料だとか、いろいろな形でお金が出る部分はあるんでしょうけれども、今回のこの一括法によって移譲される事務の場合は、東京都からの交付金も交付されないことになるわけでありまして、これは交付されないことになるだけでなくて、逆に自治体で処理できないものを東京都に逆委託するような場合には、逆に今度は、東京都に対し委託料が発生してしまうというようなことになるわけであります。  これを考慮すると、権限は来たけれども、財源がないとなれば、仕事はふえてもお金が一方的に出ていくことになりかねないわけであります。これは余りにも市区町村の負担が大き過ぎると考えるわけでありまして、特に不交付団体にとっては、財政負担はかなり増すものと思われますので、東京都による財源措置なり支援措置が、これは必要だと思うんですけれども、東京都の対応をお伺いいたします。 ◯笠井総務局長 移譲事務にかかわる財源措置は、地方交付税や国庫補助負担金などにより国の責務で行うものであり、不交付団体という理由から、都が重ねて措置することは困難でございます。  しかしながら、地方交付税では、不交付団体にとって事実上の財源措置になり得ず、不満があることは都としても承知しております。  そのため、都は、不交付団体など、すべての市区町村に対し、必要な財源を措置するよう国に要求いたしております。  今後とも、市区町村と連携をいたしながら、国に対して確実な財源措置を求めてまいります。 ◯尾崎委員 ぜひこれは、規模は違いますけれども、同じ不交付団体の立場で、ぜひ国に強く要望していただきたいと思います。  移譲事務の中には、非常に専門性が高く、市町村で担い切れない可能性があるものがたくさんあります。例えば水道法なんかも、その一つの例でありますけれども、多摩地域は、今回の水道業務の一元化によって、水道に関するノウハウが、もうなくなっちゃっているわけであります。特にうちの調布市なんかもそうでありますけれども、こういった場合に、広域性を持つこうした事務もあるため、単独の市町村では実施できないものもあるわけであります。  こうした事務を円滑に執行するために、事務の共同処理や、あるいは東京都への事務委託等も考えられますけれども、やっぱり自治体間連携というのは、一つの自治体がイニシアチブをとっても、なかなかこれは進まない部分もありますので、ぜひ東京都がリードしてもらわなくちゃ、なかなか進むものではないと考えるんですが、見解をお伺いいたします。 ◯笠井総務局長 基礎自治体への権限移譲におきましては、移譲を受ける市区町村が、組織体制を整備するなどの主体的な取り組みによって、事務を実施していくことが求められております。  しかしながら、事務の専門性や効率性などの観点から、一部事務組合の活用や他の地方公共団体への事務委託など、自治体間連携により事務を共同で処理することも、円滑に業務を行うための有効な選択肢の一つでございます。  市区町村が自治体間連携を行う際には、広域性や執行体制などを踏まえ、十分な検討を行うことが必要であり、都としては、これまでも、具体的な手法の周知、助言を行っているところでございます。  なお、都に対し事務委託の要請があった場合には、地方分権の趣旨を踏まえ、事務の内容や市区町村の実情などを総合的に勘案いたしまして、受託の可否を判断してまいりたいと思っております。 ◯尾崎委員 市町村への権限移譲の中で行政サービスの実施主体がかわることになるわけでありますから、それによって住民生活や企業活動の混乱を生じさせてはならないと思います。  これは、先日の本会議でも、移譲後において区市町村からの照会や、あるいは相談に随時対応して、きめ細やかなサポートを行うと答弁をされておりますことから、今後もしっかりと支援をしていただきたいと強く要望して、次の質問に移ります。  児童虐待について質問をさせていただきます。  最近、この児童虐待のニュースが、連日、毎日のように報道されまして、後を絶ちません。先日、我が会派の松下玲子議員が、杉並区における里親による三歳の児童虐待事件について本会議で取り上げましたけれども、東京都として対策を急ぐべきだという観点から、何点か質問をしていきたいと思います。  厚労省がまとめた児童相談所における児童虐待相談対応件数によれば、平成二十二年度の速報値として全国で五万五千百五十二件、うち東京都は四千四百五十件という報告がなされております。  一方、警視庁でも、これは都内における児童虐待事件の件数を発表しておりますが、二十一年度で七件、二十二年度で十四件、二十三年度で十六件という報告がなされております。  相談件数が増加をしているとはいえ、この四千四百五十件に比べて、この杉並の事件を含めた事件数十六という数字は、これは明らかに少ないわけでありますけれども、これは別に警視庁のデータが間違っているわけではありませんで、重大事件、あるいは殺人事件も含めた事件化されたものが十六件ということでありまして、いまだ最悪のケースには至っていないけれども、それだけの虐待予備軍ともいえるこの数字は、相当な数に上ると思われます。  確かに相談事案の中には、通報があって行ってみても虐待の事実が認められなかったケースも、これは比例して増加をしているのでありますけれども、通報数やこの相談件数がふえること自体は、私は別に悪いことだとは思いません。これだけ社会問題として虐待事件が取り上げられて、この虐待事件を未然に防ぐという意味からも、本当にこれは悪いことではないと思うんです。  問題は、この増加する相談件数に対応をしていくことが大事なのでありまして、東京都において、過去三年間、どのくらいの割合でこの虐待に対しての相談事案がふえているのか、お伺いをいたします。 ◯杉村福祉保健局長 児童相談所が受理をいたしました児童虐待相談の対応件数につきましては、平成二十年度は三千二百二十九件、平成二十一年度が三千三百三十九件、平成二十二年度は四千四百五十件でございます。  また、区市町村における対応件数は、平成二十年度は五千八件、二十一年度は五千五百十件、二十二年度が七千七百八十二件となっております。 ◯尾崎委員 この相談件数が増加していることは、何も東京都に限ったことではなく、全国的に見ても、平成十一年度と二十二年度の十年間で比較をいたしますと、虐待対応件数は一万一千六百三十一件から五万五千百五十四件と約四・七倍になっているとともに、死亡事例、虐待による死亡事例ですけれども、これは依然として後を絶たないわけであります。  この相談件数に対して、実は全国の児童福祉司数は、同じ十一年度から二十二年度の間で、千二百三十人から二千四百人となっております。これは約二倍ですけれども。  そこで聞きますけれども、東京都では、ここ三年の虐待対応件数に対して、児童相談所の常勤職員定数、並びに児童福祉司の数、これをどの程度増員したのか、お伺いをいたします。 ◯杉村福祉保健局長 児童相談所の常勤職員の定数は、平成二十一年度の四百二十八に対しまして、二十三年度は四百四十と十二人の増でございます。  増員の内訳は、児童福祉司が十一、児童福祉司へのスーパーバイズを担います児童福祉相談専門課長が一となっております。児童福祉司の定数は百七十二から百八十三に増加いたしております。 ◯尾崎委員 これは比較している年度数が十年間でありますから、一概に数値だけを見て結論は出せないんですけれども、総務省がことし一月二十日に公表した調査結果によると、児童相談所及び市町村における児童福祉司の受け持ち件数の意識調査というのがあるんですけど、妥当と考える受け持ち件数は、一人当たり十件以上二十件未満と回答した方が三二・四%と最も高いわけであります。これは常識的に考えてもそのぐらいじゃないかなと思うんですけれども、これに対して東京都の場合の児童福祉司の相談件数は、平成二十二年度で二十六人なんですね。  この二十六人というのは虐待件数だけですから、これは児童福祉司の方とか職員の方々、虐待の相談だけじゃなくて、心身障害などの相談に来る方もたくさんいらっしゃるわけで、これを合わせるともう百人を超えてしまう。一人当たり百人の件数を抱えているようなオーバーワークになっていることは、これは数字だけを見ても本当に明らかだと思います。  これはやっぱり厚労省が発表している子ども虐待による死亡事例等の検証結果等についての第七次報告、これでは地方自治体への提言として、虐待の早期発見とその後の対応、そして児童相談所の体制の充実というものが挙げられておりますけれども、この児童相談所の質的、そして量的な充実という面から見れば、三年間で、今の局長のお話だと十二人ふえたということでありますけれども、これはちょっとやっぱり余りにも少ないんじゃないかなと思うのが、私の実感であります。  今回、私も質問をするに当たって、児童相談所の職員や関係者の方々ともお話をさせていただきましたけれども、大体この児童相談所の相談における心身障害の相談一件に対する業務量を一としますと、この虐待相談を含むものは、その一つの業務量に対して十二の業務負担であると、一対十二ぐらいの、それだけの大きな負担量がこの虐待相談等というのにかかるということをお話をされていました。  つまりそうした状況に、果たして現状の虐待件数に対して、今の職員数、児童福祉司の定員で、急増するこの虐待にどのように対応していくのかお伺いをいたします。 ◯杉村福祉保健局長 都は、児童相談所に、児童虐待通告への初期対応を行います虐待対策班を設置いたしますとともに、地域専任の職員を配置し、区市町村の子ども家庭支援センターと緊密に連携を図りながら、専門機関として児童虐待に対応いたしております。  また、児童相談の一義的な窓口でございます区市町村におきましては、先駆型子ども家庭支援センターに配置されております虐待対策コーディネーターなどを中心として、個々の虐待ケースの状況を把握し、適切な支援に結びつけております。  このように、都におきましては、児童相談所と区市町村がそれぞれの役割のもとに機能を発揮いたしまして、緊密に連携を図りながら児童虐待に対応いたしております。 ◯尾崎委員 今現在の取り組みとして取り組まれているのは、状況はわかるんですけれども、私が聞きたいのは、この虐待件数の相談というのは、これ以上ふえることはあっても、なかなか少なくなることはないと思うんです。これに対してどう対応していくのかというのをちょっと聞きたいので、お願いします。 ◯杉村福祉保健局長 今申し上げたとおりでございますけれども、東京都は児童相談所の機能を充実いたしますとともに、区市町村の第一義的な窓口でございます子ども家庭支援センターの充実等を現在も取り組んでおりますし、今後とも同様に取り組んで参りまして、児童相談所と子ども家庭支援センターが十分連携をして、児童虐待に対応してまいりたいと考えております。 ◯尾崎委員 本当は、どう対応していくのか、もっとちょっと細かく聞きたいんですけれども、私も、別に東京都の職員を大幅に増員することだけでこの問題が解決することとは思っておりません。  ただ、やっぱり児童相談所の職員の年代数、これも年々高くなっているわけであります。これは虐待対応が豊富な児童福祉司、あるいは職員が退職を今後どんどん、普通の会社と同じようにどんどん迎えていくことを考えれば、やっぱり今のうちから、若い世代の職員や福祉司を入れて育成していかなければ、仮に来年度、この虐待相談対応件数が倍になったとしても、倍になったから五十人ふやしましょうといったって、仮にその五十人が集まったとしても、いきなり就職してモンスターみたいな親の人たちと対応することは、やっぱりできないわけですから、これは今のうちから、これから増加することを考えて、増員することを考えていかないと、ちょっと対応できなくなってしまうと思うんですね。  いっときを争う児童保護の現場で、一日保護がおくれてしまったがゆえに、手おくれになるようなことがあってはならないと僕は思います。  この虐待は、もちろん軽微な虐待から、子どもを殺してしまうようなものまでさまざまあるんですけれども、今もいいましたけれども、重度の虐待を起こすような親のところに職員が面談なり調査に出向いても、軽くあしらわれてしまうようなことにもなりかねないわけであります。  そこで、この市町村などの関係機関との連携を、局長おっしゃいましたけれども、ぜひ、より強化してもらって、虐待防止に努めていくことを並行して行っていく必要がこれは絶対あると僕は思います。  児童相談所や市町村、警察、学校、教育委員会、これで構成する要保護児童対策地域協議会というのがあるのですけれども、これは地方公共団体に設置されておりますが、この設置率は全国的に見ても九五%なんです。これは高いんですけれども、設置率ですから、設置はしているんですけれども、実際に機能しているかどうかというのはちょっとわからない部分があります。実際に機能している部分というのは、自治体というのは虐待事件が減少している傾向があります。  この会議の運営状況を見ますと、児童虐待が発生しているにもかかわらず、個別ケース検討会議、あるいは実務者会議未開催の市町村が、これは全国ですけど、この協議会において約三三%あります。機能していないものも含めると、三分の二にも上るということになっております。  東京都では、この協議会が機能しているしていないも含めて、どの程度把握しているかお伺いをいたします。 ◯杉村福祉保健局長 虐待を受けている児童の早期発見や適切な保護を図ることを目的といたします要保護児童対策地域協議会は、現在、都内の六十一区市町村で設置いたしておりまして、未設置の一村におきましても、協議会にかわる児童虐待防止ネットワークを設置いたしております。  児童相談所の職員は、すべての協議会のメンバーとなっておりまして、どの地域の協議会におきましても、地域における虐待の実態把握や活動の基本的方針を定める実務者会議や、個々の事案につきまして、関係機関が支援方針を検討し、それぞれ役割分担を明確化する個別検討会議を実施いたしまして、適切に対応しているということを都も確認をいたしております。 ◯尾崎委員 機能しているかしていないかというのは、例えばこの協議会の中では代表者会議だとか、実務者会議、あるいは個別ケース担当会議といろいろな種類の会議があるのですけれども、この代表者会議を一回やっただけでも、これ実はカウントをされてしまうのですよ。東京都においては、僕はそんなことはないと思いますけれども、ぜひこの代表者会議というのは、代表者会議というのは代表者会議ですから、やっぱり必要なのは個別ケース担当会議だとか実務者会議がきちっと行われているかどうかということも含めて、これは東京都にきちっと把握をしていただきたいと思います。  虐待がなぜ起きるのかについての明確な因果関係というのは、これは今のところ見つかっておりません。この相関関係として、先ほど述べました第七次報告を初めとする報告では、子どものころの体験だとか、あるいはネグレクトを挙げておりますけれども、経済的要因も非常に大きな要因として考えられます。  この死亡事例において、市町村の母子保健担当部署が関与していた事例が、虐待死、そして心中の事例ともに約五割を占めていたという報告もされておりますけれども、特に貧困率が高いのは母子家庭でありまして、人口問題研究所の二月の発表によりますと、十九歳以下の子どもがいる母子世帯の貧困率は四八%という結果が出ております。  これは別に母子家庭が虐待が多いとか、そういうことをいっているんじゃないんですけれども、この母子家庭の貧困については、虐待という視点からだけではなく、さまざまな問題がありますので、検証が必要だと思われるわけです。  この虐待防止は、そもそも、僕はこれ、役所の縦割り行政で何とかなるものではないと思います。  国にもいえることなんですけれども、これは国で出している、総務省が出している児童虐待防止に関する総合政策評価書というものなのですけれども、僕も総務省の人間とも何度も話しましたが、国も国で、総務省はこれ結構きちっとした、全国でどのぐらいの虐待対策が行われているかというのを、この政策評価書でまとめているんですけれども、じゃあ、このまとめた部分を厚労省にきちっとそれをやれとか、あるいは厚労省がこの政策評価書を受けて、この部分が足りないからやりますというようなことをやっているかといえば、全然そんなことはないわけでありまして、これはもちろん国だけでなく、東京都もいろいろと縦割りの部分があるかもしれませんけれども、この協議会も含めて、これは児童相談所から母子担当部署、教育関連部署、医療機関等、これは協議会の中でこういうネットワーク体制が非常に重要な部分を占めているわけであります。  これが先ほど述べた要保護児童対策協議会の役割といっても、本当にこれは過言じゃないわけでありまして、ぜひともこの協議会の推進を、市町村と連携を強化して進めていくことが必要と考えるんですけれども、見解をお伺いいたします。 ◯杉村福祉保健局長 児童相談所は、子ども家庭支援センターが要保護児童対策地域協議会の中核としての役割を適切に果たせるよう、区市町村との連絡を担当する児童福祉司が、センターを定期的に訪問いたしまして、虐待対応への助言などを行うほか、区市町村の職員ですけれども、職員を児童相談所に受け入れて研修を行うなど、専門性の向上を支援いたしております。
     また、個別検討会議におきまして、個々の虐待事案について、対応方針の決定に児童相談所は加わるなど、区市町村と密接に連携をいたしまして児童虐待に対応いたしております。 ◯尾崎委員 やっぱり連携というのは、いろいろな連携があると思うんですけれども、例えば児童相談所が対応できる重度の虐待、区市町村の方の協議会で対応できる軽度な虐待と、これは二つあると思うんですけれども、ただ、通報者だとか相談者というのは、重度だとか軽度をどっちに連絡していいかというのはわからないわけで、こっちの協議会の方に通報された部分で、例えば重度な部分があるものを、じゃあそれは児相で対応しましょうと。児相の方で軽度の部分があるものは、例えばその市区町村の設置してある協議会の方で対応してくださいというような、この仕事のワークシェアみたいなのを、やっぱりこれはぜひともやっていただきたいと思います。  さらにやっぱり必要なのが、この早期発見にかかわる広報、PR活動でありまして、現在でも都道府県や市区町村において児童相談所の連絡先を記載いたしましたリーフレット等を作成したりしておりまして、中にはマグネットシートとか持続性の高い媒体を使用して工夫している自治体もあります。  実際、近所で虐待が見受けられるような状況を認識したときに、一体どこに連絡をすればいいのかわからない人たちもたくさんいるわけであります。通告することをためらう理由の中には、自分が通告したことが虐待した人に、虐待者に知られてしまうことを恐れてちゅうちょしてしまう事例や、あるいは通告をしようと思うんですけれども、一一〇番を回してやっぱり警察に連絡するのは、ちょっといろいろとあるから面倒くさいなとためらうというような事例も多々見られるわけであります。  虐待を未然に防止するには、通告する担い手ともなるこの一般市民の認識をもっと高めるということは、これは本当に社会の対応システムの方向性と成果を左右する重要な要素だと位置づけることが僕は必要だと思います。  ここで、虐待通報の認知度を上げていくことが必要と考えますけれども、見解をお伺いいたします。 ◯杉村福祉保健局長 都民が、虐待が疑われる事例を発見した場合に、直ちに児童相談所や区市町村に連絡をしていただけるよう、都は、その連絡先を記載したリーフレットを作成いたしまして、さまざまなイベントや区市町村を通じ配布いたしております。  また、都の広報誌やホームページなどを活用いたしまして、虐待の通告は都民の義務であり、また権利でもあることや虐待相談については匿名でいいこと、あるいは秘密は守ること、また子どもの安全を第一に考えることなどを広く都民に周知をいたしております。  区市町村におきましても、子ども家庭支援センターを中心としてさまざまな広報活動を行っておりまして、区市町村のこうした独自の取り組みにつきましても、東京都は包括補助などにより支援を行っております。 ◯尾崎委員 例えば、海外では、テレビのスポットCMを初めとしたマスメディアを駆使してホットラインの番号を周知させるなどの、前例にとらわれない実効的な広報活動への転換を図って、財源をしっかりと充てて、方法と量の面から検討を行ってもらいたいと、僕は強く要望いたします。  先ほど質問をしたように、まずこの児童相談所の職員、児童福祉司の増員、そしてこの要保護対策協議会が機能するように拡充をしていくこと、さらに広報、PR活動を強化することで、総合的な観点からこの虐待対策というものはとらなくてはならないと思います。  ただ、潜在化している児童が、これらの取り組みによって上がってきた場合です。今よりも相談件数がふえた場合、それを受け入れる、この一時保護施設の整備がなされていなければならないわけです。全国の一時保護所数は、平成十七年の四月から二十三年の七月までの間で、百十二カ所から百二十七カ所に増加をしております。一時保護者も比例して、平成十七年度の一万八千百九十五人から二十一年度には一万九千三百九十六人に増加をしております。  都内の現在の一時保護施設の収容率は、実に九八・六%と、一〇〇%に近い状況にあるわけです。実際、保護した児童が廊下に寝ているといったような状況もあるというふうに聞いております。  やっぱりこうした状況が続くと、せっかく今までの取り組みで虐待家庭から一時保護をしたこの児童を受け入れる体制がないために、再び虐待の待つ親元に戻すというようなことがあってはならないと思いますので、今後、児童虐待が増加することは容易に想像できるこの状況下で、一時保護施設の拡充は必要不可欠だと考えますけれども、見解をお伺いいたします。 ◯杉村福祉保健局長 児童相談所では、児童虐待の連絡を受けた場合に、迅速に児童の安全を確認し、状況に応じて親から分離をして一時保護を実施いたしております。  保護すべき児童が一時的に集中した場合には、緊急対応用として確保している居室の利用や、児童養護施設などへの一時保護委託などにより対応をいたしております。  定員の拡充につきましては、来年度開設を予定しております子ども家庭総合センター、そして移転改築を予定しております墨田児童相談所における整備を計画的に進めているところでございます。 ◯尾崎委員 これまで質問をしてきましたが、犯罪の種類に、これは上も下もなく、どんな理由であれ命を奪ったりすることは許されることではないと思います。  今、DVの事件だとか、ストーカー事件といった本当に現代社会のひずみのような事件が多発をしている中で、なかなか児童虐待だけに人員や予算を割くということは、これは難しいのかもしれません。ただ、児童虐待の事件が、僕はそれらの犯罪と決定的に違うのは、この被害者の児童というものは抵抗することができない、逃げることもできない、そして、助けを求めることもできないということにやっぱり尽きます。  先日、杉並区の里親が三歳の女の子を虐待死させた事件で、東京都児童福祉審議会が事件の検証結果を公表して、改善策を知事に提出いたしました。  あえて少しこの事件の概要を話させていただきますけれども、昨年八月にこの三歳の女の子が死亡して、発見当時、この子の体や顔面には無数のあざや血腫がありました。両耳にも、引きちぎったような深い傷が認められたことから、これは里親のいう階段から落ちたという説明と余りにも異なるため、杉並児童相談所に通告し、発覚した経緯があります。  この報道によれば、自宅室内の壁には女の子の血痕が付着していたほか、多数の髪の毛が落ちておりまして、女の子が髪の毛をつかまれて振り回されて、そしてさらに頭部を壁にぶつけられたりしたということは、これは想像にかたくないことだと思います。  原因は不明とされておりますけれども、性器からの出血が認められており、これらも含めて恒常的に虐待が行われていたかどうかは、これから明らかになると思いますけれども、まさしくこの人間の所業とも思えない事件であることは間違いないわけであります。  この死亡した女の子は、事件の約十カ月前から二つの保育園に通っておりまして、それぞれ五カ月の在籍だったわけでありますけれども、この保育園が、里親による虐待の可能性を検討することはなく、児童相談所など関係機関への通告や相談は行われませんでした。  今回質問するに当たって、僕はさまざまな関係者とお会いさせていただき、いろいろな事件を聞かせていただきましたけれども、一つは、死亡するようなこうした事件の場合、日常的に暴行を加えられたり、ご飯を与えられなかったりすることが多いということであります。  一九九七年に起きたあるケースの場合なんかは、六歳の男の子が長期間にわたって恒常的に暴行を加えられて、最後亡くなったときには、深夜一時から次の日の夕方五時まで、十六時間にわたって断続的に暴行を加えられて死亡しました。  こうした事件は氷山の一角であって、潜在化している虐待が、現在、今こうしている間にも現在進行形で進んでいるのが、このコンクリートジャングルともいえる、僕は東京のB面であると思っておりますし、これがまたさらに現実だと思います。  冒頭局長から答弁をいただきましたけれども、東京では、市町村においての相談件数も合わせれば年間一万件以上の事案があるわけであります。こうした子どもたちが、本当にどういう気持ちで朝起きたときにいるのかとか、夜いきなりたたき起こされて殴られたり何だりするときに、どういう気持ちなのかなということを考えたときに、やっぱりこれはぜひ本当に急務として取り組んでいただきたいと思います。  この子たちに共通しているのは、親に虐待をされても、その親をかばう傾向にあることに、事件発覚の難しさがあります。ここは普通逆だと思うのですけれども、僕は。  尋ねられても答えられないで、なぜ殴られるのかもわからない状況の中で、必死にもがいている子たちを救う手だては、やっぱり待ちの姿勢ではなくて、攻めの姿勢で虐待を探していくしかもう方法はないと僕は思います。  今回この質問をするに当たって、いろいろ聞いて、僕は本当に嫌な気持ちになったりしましたけれども、現場で対応されている職員は、それ以上にやっぱり疑念と憤りを感じながら、また、バーンアウトをしそうになりながらも、本当に必死になって日々の仕事をこなしていると思います。ただ、やっぱり物理的にオーバーワークになってしまえば、そうした子どもたちの小さなサインを受けとめることができないわけであります。  東京都の施策には、待機児童対策も含めて、児童を対象とした施策がたくさんありまして、拡充に向けて尽力をされているのは本当に理解をするところでありますけれども、これは本当に知事が日ごろいっておられる、少子化対策に力が入っている僕はあらわれだと思います。  ただ、この虐待をされている都内の一万人の子ども、もちろんこれは軽微な虐待も含めてですけれども、この子どもたちも、やっぱり同じ子どもたちだと思うんですね。全国では虐待に対してまだまだ認知度も低いわけでありますし、対策の遅い自治体もあります。はっきりいって、別に東京都がどんとおくれているとか、そういうことをいっているんじゃなくて、全国にはもっともっと東京都よりも低い、虐待対策に対して低い自治体もあるので、ぜひ東京から模範的な施策と対応を発信して、一人でもこのとうとい小さな命が失われることのないよう期待をするものでありますけれども、ぜひちょっと知事の見解をお伺いしたいと思います。 ◯石原知事 質問を聞いておりまして、いろいろ考えさせられるところが多かった、とってもいい質問だと思います。  私も古い人間ですから、幼児時代の戦前の記憶、戦争中の記憶、敗戦直後の記憶、それから今日の繁栄に至るまでの記憶がありますけれども、かつての時代、人口に比して児童相談所とか児童相談員というのは、そんなにはたしかいなかったと思いますね。  それだけ事件がなかったということでしょうけれども、これはやっぱり社会そのものが変質してきた、社会の変質って大きな話でありますけれども、その社会が造成する価値感が変わってきた。それから、それの変化に伴って家庭のあり方といいましょうか、まちのあり方といいましょうか、各家庭が、結局大きな都会によっては特に孤立化してきた。そういったものがこういう大きな、広範囲に悲劇というものをもたらしてきたと思います。  次の時代を担う子どもたちが健全に育ってくれるということは、社会の未来というものを保障、担保するわけでありまして、その子どもの健全な育成を支えるのは、親だけではなしに社会全体の責任だと思いますが、それを果たさないと、この日本という国家社会の未来もないんじゃないかという気がいたします。  都は都なりに、いろいろな行政として、総体的にどういう評価を受けるかわかりませんけれども、都なりの努力をしてきたと思いますが、また、特に東京という非常にわい雑なまち、これはまた違った生活の触感というものを育ててきて、親そのものが親としての情念を欠いて、ほかの嗜好に走るといいましょうか、価値観に走って、子どもを育てるという親としての責任のプライオリティーの順位が狂ってきて、特に私、風俗的に眺めてみますと、再婚した女性で、連れ子を母親そのものがいじめて殺す、新しい亭主もいじめるというケースが多いようでありますけれども、こういった風俗というのはかつてはなかったわけでありまして、いずれにしろ、そういう東京ならではの、こういう事故の件数、悲劇の件数というものを勘案しましても、私たち相当のことをしませんと、この国の将来はないんじゃないかという気がいたします。  東京は、例の心の東京革命の一環として、親を親として育てるための心の東京塾なんていうものを開講しておりますし、都立高校生には、社会の一員として、幼い者をはぐくむというような教育もしておりますけれども、いずれにしろ、我々が、あなたが指摘された、子どもを虐待して死に至らしめるという、こういう悲劇のはんらんというものの表象する、私たちも、社会として大きな喪失、こういったものを取り戻すなんていうのは容易じゃないと思いますね。  これはやっぱり、価値観というもの、正当な価値観というものをいかにこれから造成し直していくかという、これはもう児童相談所とか児童相談員だけの仕事じゃなくて、これは私たち社会人全体の責任において行わなくちゃいけないと思っております。 ◯尾崎委員 ありがとうございます。  やっぱり知事がいわれたように、社会が悪いのか、あるいはその時代の変化なのか、ちょっとわからない部分はいろいろありますけれども、ただ、今、現実に起こっているこの問題に、ぜひ東京において知事がしっかりとリーダーシップをとってやってもらいたいと思います。  特に、児童虐待防止法第三条、第五条にはこうあります。何人も、児童に対し、虐待をしてはならないと。児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならないと。  今回の杉並の事件で亡くなった女の子は、実の親が養育困難ということで、やっと行き着いた先がこの里親のところでした。  私、ここで、別に東京都の責任を追及するとかそういうことでは全然ないんですね。ただ、この里親を認定したのは東京都でありまして、ある意味、この子の法的な親は東京都なわけでありますから、今回のこの悲惨な事件をしっかりと教訓にしていただいて、二度とこうした事件が起きないよう努めていただくことが、せめてものこの子の死がむだにならないことだと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  ちょっと時間もないんですけれども、次の最後の質問に移らせていただきます。  放射能対策についてお伺いをいたします。  三・一一以降、放射能対策については、都議会でも何度も議論をされてまいりました。  特に子どもに対しての食材等については、保護者からの不安の声がいまだにあることから、東京都もさまざまな取り組みをされてきたことは、本当に評価をいたします。  現在、認可保育園に関しては、地元自治体が給食食材の事後調査を行っておりまして、基準値以上の値は出ていませんけれども、保護者の不安を払拭するためには、引き続き調査を求めているところであります。  認証保育所に関しては、事後調査を実施しているところと実施していない自治体がまちまちでありまして、例えば私の地元では、調布市と狛江市と二つあるんですけど、調布市では実施をしているけれども、狛江市では実施をしていないという状況があります。  また、保護者の方々からは、事後調査ではなくて、事前の検査に切りかえてもらいたいというような意見もありますが、そもそもこれは、原発事故後に放射線の基準値が大幅に上がったり、右往左往した国の対応にも、僕は都民が信頼を寄せられない根本的な問題があると思います。  こうした状況だからこそ、自治体が国にかわって食品の安全・安心に対する取り組みをしていかなくてはならないと思います。  特に、健康安全研究センターのホームページには一億件を超すアクセスがあるなど、都民が東京都に求める期待は非常に高いと思います。  しっかりとこの声にこたえていくことが必要と考えますけれども、都民の食に対する不安を払拭するため、東京都としてどのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。 ◯杉村福祉保健局長 国は、放射性物質の暫定規制値を超える農産物等が流通しないよう、生産地での検査結果に基づき出荷制限等を実施する仕組みを構築しておりまして、都におきましても、都内産の農産物等を計画的に検査をいたしております。  これに加えまして、都は、小売店に流通する食品について、都民、特に子どもが日常的、継続的に摂取をいたします乳製品などを中心に、モニタリング検査を実施いたしておりまして、その結果は速やかに都のホームページで公表いたしております。  さらに、電話相談窓口の設置やホームページでの解説、都民向けシンポジウムの開催など、積極的な情報提供を行っております。  今後とも、こうした取り組みによりまして、食の安全・安心の確保を図ってまいります。 ◯西岡副委員長 尾崎大介委員の発言は終わりました。(拍手)      ───────────── ◯西岡副委員長 栗林のり子委員の発言を許します。    〔西岡副委員長退席、鈴木(貫)副委員長着席〕 ◯栗林委員 それでは、質問に入らせていただきます。  二十四年度の東京都の予算は、防災力向上に向けた強い決意がうかがえるものになっていると思います。  先日、電車の中で、東京消防庁の中づり広告が目にとまりました。人とまちが織りなす大切な日常を守る地域防災のかなめ、消防団募集の広告ではありましたけれども、いいキャッチコピーだなと思いました。  まさに地域防災とは、人とまちが織りなす大切な日常を守る、生命と財産を守ることです。災害に強い建築物と助け合える強い地域コミュニティ、これが柱ではないでしょうか。ハード、ソフト両面の対策をさらに強化する必要があると思います。  初めに、安全な建築物という観点から、路地状敷地、いわゆる旗ざお地といわれる大規模長屋についてお伺いをいたします。  路地状敷地とは、路地状部分のみによって道路に接する敷地で、道路に接する間口部分は狭いものの、その奥が広くなっている、いわゆる旗ざおですね。こういう旗があって、さおがある。さおのところが通路で、旗の部分が宅地になっている形状の敷地でございますけれども、そこに建築基準法では特に制限は設けられていないわけですが、東京都は独自に東京都建築安全条例の中で共同住宅の建築は禁止しているわけですが、長屋は道路に通じる通路を確保することなどによって建築が可能であり、戸数に制限などが設けられておりません。  最近、このような敷地を活用した大規模な長屋が、私の地元世田谷区や隣の目黒区などで相次いで建築されており、周辺住宅街への圧迫感や安全性などの面から、近隣住民との間で紛争に至る事例が出てきております。  世田谷区は、住居系用途地域が全体の九一・二%であり、第一種低層住居専用地域が半数を占めるという、まさに低層中心の住宅都市という特殊性を持つ地域であります。  最近は、相続の関係から、広い庭つきの戸建てが売却され、その跡地に建てられる建築物をめぐり、さまざまな問題も出てきております。  そこで、昨年、第三回定例会で我が党の斉藤議員がこの問題を取り上げた際、路地状敷地の大規模長屋について実態を調査するとの答弁がありましたが、その調査結果についてお伺いをいたします。 ◯飯尾都市整備局長 路地状長屋として都内で建築確認があったもののうち、調査対象といたしました延べ床面積三百平方メートル以上のものは、平成二十一年四月から平成二十三年九月までの二年半で約三百件ございました。  長屋は共用の廊下や階段がございませんで、住戸が隣接または上下で重なり合う形式の住宅でございまして、都内各地で建築されておりまして、敷地の形状や戸数、配置はさまざまでございました。  中には、住宅地におけるマンション建設時に見られるような近隣紛争となる事例がある一方で、周辺の住環境に配慮いたしまして、隣地境界よりも建築物を後退させた事例もございました。 ◯栗林委員 二年半で三百件とは、かなり多いと感じます。世田谷区を見ても、今後、相続などから、このような土地が売買の対象としてさらにふえる可能性があるのではないかと思います。  同じく昨年、三定で、建築完成後の適正な管理について、区市と連携して建築主に対し指導を徹底していくとの答弁がありましたけれども、その取り組みはどういう状況か伺わせていただきます。 ◯飯尾都市整備局長 都は、毎年、都内全域で一斉公開建築パトロールを行っておりまして、昨年は、第三回定例会での質疑を受けまして、直後の十月のパトロールにおきまして、路地状敷地の長屋も対象に追加いたしました。  その結果、路地状部分にごみ箱が設置されるなど、建築安全条例に定める通路の幅員が確保できていない事例の報告が五件ございました。  これを踏まえまして、区市や指定確認検査機関に対しまして、建築確認時の審査の徹底を図りました。  また、工事完了時における検査においても、設計図書どおりに施工されていることを確認するとともに、適合しない場合は確実に是正させることを徹底したところでございます。  さらに、区市に対しましては、工事完了後も適正な維持管理を図るため、パトロールを実施いたしまして、適正な是正指導を行うよう要請いたしました。 ◯栗林委員 安全が一番重要でございます。完了検査後に、二メートルの通路に後づけでごみ箱を設置したり、バイクとか自転車の駐輪スペースになっているようでは、避難通路はわずか一メートルになってしまいます。その奥に数十軒の住人が暮らすことになります。  住宅の安全性と住民の安全性ということからも、徹底した強い是正指導が必要です。まじめにルールを守り建築する方もいる中で、違反行為をやった者勝ちという、そういう流れは根絶をしていかなくてはならないと考えます。  そこで、やはり防災が最大のテーマでございます。建築物の安全性を確認する上で、区市に対する指導徹底やパトロールについて、今後も継続的に行うことが必要であると思いますが──今後も引き続き取り組んでいくと思いますが、その辺のお考え、局長、お聞かせください。 ◯飯尾都市整備局長 都は、月一回の区市との連絡会議におきまして、東京都全体の建築行政を担う立場から必要な情報提供や意見交換を行うとともに、区市と合同で一斉公開建築パトロールを実施しております。  都といたしましては、このような機会をとらえ、区市との情報交換を行いながら、必要に応じて建築確認時や完了検査時における確認を徹底するとともに、一斉パトロールにおいて是正指導を促してまいります。  今後とも、引き続き区市と連携いたしまして、路地状敷地における長屋の安全性の確保に取り組んでまいります。 ◯栗林委員 ぜひ強い姿勢でお願いいたします。  また、世田谷区では、このような路地状敷地の長屋建築に関しまして、残念なことに近隣との紛争が数件起きております。争い事は地域コミュニティを分断し、支え合い、助け合う地域を構築することも難しくなっていきます。それは地域防災力の低下にもつながっていきます。  先日の本会議でも知事がおっしゃっていました、近所で近助、近所で助け合う、そういう向こう三軒両隣で助け合うことがやはり大変重要だと思います。  また、紛争に巻き込まれている多くの方が、高齢者の方なんです。戦後の混乱期に、日本が一番大変だった時代に、苦労して、頑張ってこられて、そして第一線をリタイアされてから、静かな住宅街で余生を暮らそうと思われていた方たちです。まちに緑を残すこととか、住環境を守るために努力をされて、まちの景観を守ってきた方たちなんです。  ここはマンションとかアパートは建てられないと聞いていたのに、突然、長屋という名のもとに大型で重層な集合住宅が建てられているなんて困惑をしています。  区に行くと、これは都の条例が、都に行くと、区で規制ができるはずということで、結局は都民、区民はたらい回しという中で、こういう問題は、都と区のすき間に入っている問題があるのではないかと思います。  パトロールを徹底し、違反に対しては厳しく対応し、紛争にさせない取り組みを求めます。  昨日も、知事の答弁の中で、地域地域の特性が生きるまちづくりが大事であるとおっしゃっていらっしゃいました。そのとおりだと思います。  東京二十三区、多摩地域、また島しょと、それぞれの特色があります。それぞれの区市が、特色ある、そして災害に強いまちづくりが進むよう後押しをしていただきたいと思います。  世田谷区は、現在、区条例の見直しや規制をめぐる対策案など検討しようという動きが出てきております。ぜひ都も、さまざまな事例のノウハウもお持ちなんですから、提供していただき、区とともに知恵を出して、都と区とそれぞれの権限が問題解決にうまく機能するよう対応していただくことを要望いたします。  続きまして、少子化対策について伺います。
     総務省の二〇一〇年十月の国勢調査の結果で驚いたのは、単身世帯の増加でありました。夫婦と未婚の子どもから成る世帯二八・七%を上回り、単身世帯が三一・二%と一番多いという結果になりました。  中でも、中年未婚者で、何と男性は四十代前半で二七・九%、後半で二一・五%が未婚で、離別、死別者五%を合わせると、四十代男性の三人に一人は配偶者なしという状況です。  この単身者の増加は、社会保障制度などの社会政策の根幹にかかわることになります。東京都も、三十年後の単身世帯は約五〇%近くなるといわれています。このままこの状況が続くと、五十年後の日本は、十人中四人が高齢者、五人が現役世代、何と子どもはたった一人という、そういう社会になると予測をされております。  平成二十三年度版の高齢社会白書によると、東京都の高齢化率は二〇三五年には三〇・七%、また平均寿命は二〇五五年で男性八十三・六七歳、女性九十・三四歳と予測されています。  高齢化率、単身世帯率の増加を考えると、社会保障制度などへの影響だけではなく、当然、防災力の低下にも通じることとなります。そのような背景を考えると、少子化対策はさらに強化が必要であります。  少子化を克服するには、これから結婚し子どもを持つ若者や子育て中の家庭が、安心して子どもを産み育てることができる社会を築かなければなりません。  しかし、平成二十三年四月の保育所待機児童は七千八百五十五人であり、依然として高い水準になっています。こうした状況は、実際に保育所を利用しようと考えている世代だけではなく、これから子どもを持とうとする世代にとっても大きな問題です。  都は、少子化打破緊急対策において、平成二十二年度から三年間で二万二千人の保育サービスをふやそうとしています。平成二十四年度からはさらに取り組みを強化し、平成二十六年度までの三年間で二万四千人分をふやす方針を打ち出され、より積極的な姿勢を出していらっしゃいます。  そこで、安心して子どもを産み育てることのできる社会の実現に向けた知事のお考えを、改めてお伺いをさせていただきます。 ◯石原知事 ご指摘のように、我が国は既に人口減少社会に突入しているわけでありまして、このまま少子化が進めば、経済のパイも縮小して税収は減って、年金や医療、あるいは社会のインフラの維持が非常に難しくなって、また、日本の文化や伝統すらが失われることになりかねないと思います。  日本は日本で大変なところに来ておりますけれども、聞くところ、ロシアは人口がどんどん減って、統計していくと、五十年後には人口がいなくなると。そういう状態には絶対持っていっちゃいけないと思いますし、国は国でさまざまな施策を講じておりますが、子どもを持つことへの国民の不安はなかなか払拭されておらずに、少子化の流れを変えることは非常に難しい状況であります。  私も、まちで二人以上の小さなお子さんを連れていらっしゃる夫婦を見ると、非常にうれしくて、思わずちっちゃな子どもの頭をなでたりするんですけれども、これ、私はいろんな原因があると思いますね。  経済状況もあるでしょう、いろんなこともあるでしょうが、やっぱり私は、家庭の構造が狂ってきて、三代一緒に住むということが本当に必要だと思うんですけれども、このごろの若い人たちは、結婚すると親とは一緒にいたくないということで、結局子どもを産んでも、ちょっと熱が出ると周章ろうばいして、病院へ赤ん坊を抱えて飛び込んでくる母親がふえておりますが、そういった実態が示すように、何というんでしょうか、それは子どもが熱出して不安でしょうけれども、おじいちゃん、おばあちゃんがいれば、特におばあちゃんがいれば、こんなものはすぐ治るとか、安心しろとか、いろいろ手だてを講じてくれる、知恵も与えられるんでしょうけれども、それがないまま気苦労ばかりで暮らしているものですから、子どもがふえない、一人でたくさんだということになりかねない。  そういう点では、やっぱり私たち、人生の組み立て方というものを根本的に考え直す時期に来ているんじゃないかと思いますが、これは政治家が幾ら喧伝しても、国民の皆さんが自分の選択で人生を決めるわけでありますから、行政のできる範囲というのはごく限られていて、非常に困難な問題だと私は思っております。  答えになりませんけれども、そういう実感は日に日に強くしております。 ◯栗林委員 知事、本当にそのとおりで、私も、これから結婚する世代に、そういう子育て環境、決して保育園とかそういう施設ではないんだという、やはり家族という、もう一回その辺の認識だとか、そういったことも学べるような場も必要じゃないかなと思います。  最近は、やはりそういう生き方が見直されていまして、親に、おじいちゃん、おばあちゃんに子どもを見てもらって、おじいちゃんをイクじいという──育児をするパパをイクメンと呼びましたけれども、育児をするおじいちゃんはイクじいということで、最近そういった取り組みがふえてきているという状況も出てきております。  そういったことを考えましても、結婚したいと思っている未婚の男女、調べてみますと、約九〇%ぐらいの人がいずれは結婚したいと思っているんですね。大体何歳ぐらいでということを調べましたら、男性は三十・四歳、女性は二十八・四歳ということで、これもちょっと上昇傾向にあります。  また、異性の交際相手がいないというのが、男性で六一・四%、女性で四九・五%、どちらも上昇傾向にあります。  そういったさまざまな環境、状況を考えまして、先ほども虐待のお話がありましたけれども、結婚、妊娠、出産、子育て、各ステージにおいて、これから結婚する若い世代に、子育ての楽しさとか喜び、こういったことを身近に感じていただけるような取り組みも必要と考えますが、保健局長、見解を伺わせてください。 ◯杉村福祉保健局長 結婚や出産を望む人たちが安心して家庭を築き、子どもを育てることができる環境を整えることは、社会全体で取り組むべき課題であると認識をいたしております。  そのため、都は、少子化打破緊急対策におきまして、平成二十二年度から、保育、医療、雇用、住宅など各分野にわたりまして、子育てを支援するための具体的対策に取り組んでおります。  また、企業、関係団体、NPO等の参画を得て設置をいたしております子育て応援とうきょう会議では、仕事と生活の調和について、将来の子育て世代である大学生等が考えるフォーラムを開催するなど、若い世代が結婚や子育てへの理解を深めることを支援いたしております。 ◯栗林委員 意識啓発ぜひやっていただきたいと思います。  しかし、意識啓発だけではもう間に合わないかなと思います。直接支援が必要な時代でございます。  結婚活動、婚活という言葉、またパラサイトシングル、こういう言葉の概念を生み出されました家族社会学者の山田昌弘先生が、著書の中で、婚活時代の到来をこう分析しています。それは、仕事を持つことと結婚することは人生の二大イベントだ。精神分析学者の創始者でもありますフロイトがいっているんですけれども、人が上手にできるようにならなくてはならないことは、働くことと愛することであると述べています。  今は、この二つのイベントをクリアするために、意識的に活動しなければ難しい時代に入りました。昔は選択肢そのものがありませんでしたから、何も考えることなく、仕事と結婚というこの二大イベントをクリアできたんですが、もう時代は変わりました。  ちょっと分析させていただきますと、就職と結婚は関係が物すごく密接だというんですね。一九九〇年代ぐらいまでは、まず就職でいうと、規制された就職市場だった。学校経由の就職あっせん、就職協定、また女性が制限されていた。ですから、ほぼ全員が職につける時代だった。  結婚はどうかというと、規制された結婚市場だった。職場と見合いによるあっせんが行われていた。これは職場結婚か、あっせんというのは地域とか職場とか親戚などで必ずおせっかいな、私のようなおせっかいおばさんがお見合い写真の束を持っていて、該当する人がいたら近寄っていって、どうというような、そういうお見合いをあっせんする方がいました。  また、恋愛と結婚という、その規範があったんですね。男性は仕事、女性は家事というような標準型があった。ですから、ほぼ全員が何とか結婚が可能な時代だったと。  ところが、一九九〇年以降、就職の規制緩和、そして結婚の規制緩和が始まります。  まず、就職の規制緩和は学校のあっせんが縮小されます。就職協定がなくなります。そして、男女雇用機会均等法、こういったことで大いに女性の活躍の場も広がってまいります。そして、希望どおり就職できる人とフリーターなどへの二極化が始まります。そのため就職活動が必要となり、そして就職支援活動が活発化されることになります。  片や結婚はどうかというと、男女交際の増大になります。ここからあっせんが縮小していきます、自分のことは自分で決めるという。恋愛と結婚の分離が始まります。恋愛は恋愛、結婚は結婚という。希望のライフスタイルの多様化です。自分らしく、ここから標準型というものはなくなっていきます。ここで格差が拡大します。希望どおり結婚できる人と未婚化への二極化です。  就職に関しては、公的支援、ハローワークとか、就職相談とか、今も合同面接とかいろんなのがありますが、この結婚については公的支援がない現状があります。  ここで、山田先生がこの社会状況を見て、よりよい就職先を見つけるには、会社情報を集めたり、自分から積極的に行動する就活が必要不可欠となった。結婚も同じで、恋愛観や結婚観にも規制緩和が進み選択肢が広がった。就職にしろ結婚にしろ、自由化が起これば積極的に活動しなくては実現が難しい状況となった。  就職活動についてはそのようなハローワーク等の公的支援があるけれども、結婚支援については、いまだ支援がない。  そういうことを背景に、昨年の内閣府の調査で明らかになりましたのが、結婚支援事業の実態調査を見ると、都道府県で約七〇%です。七〇%がもう実施しております。兵庫県では、ひょうご縁結びプロジェクトを開始し、何と四千人が登録をされたそうです。また、区市町村でも三三%が実施をしておりまして、都内でも、各市のサポート事業が始められており、新宿では、昨年十一月、区の主催で三十歳のつどいというイベントが行われました。世帯形成期の若者の仲間づくりを後押しするとともに、行政への関心も深めてもらうことがねらいですけれども、さまざまなコーナーの中に、出会い、懇親の場なども設け、約五百人が来場し、大盛況だったと聞いています。  このように、区市も取り組み、また、商店街とか地域でも取り組み、街コンなどという取り組みも始まりました。ですから、ここで東京都しかできない取り組みを私は提案したいと思います。  それは何か。ボランティア活動です。ボランティアは共同作業を通し、継続的に、知事が先日おっしゃっていました、自我の確立と他者のかかわり、これが今余りにもないんです。共同事業を通して他者とかかわっていく、そして継続という長いスパンで人とかかわりを持つ中で、よさも見出せるのが、やはりボランティアではないかと思うんです。  そのボランティアも、都内には、次世代に残すべき自然環境がたくさんあります。それらの保護活動、清掃活動とかに、未婚でチームを組んで、ボランティア活動を通して出会いの場のような仕組みを構築できないかと思います。これ予算はかかりません。ボランティアですから、むしろ貢献してもらえます。仕組みをつくればいいだけなんです。  例えば、海の森、ここに春と秋に苗を植えるそうです。苗木を植えて、数年たったときに樹木も育つ、それと同時に愛も育つ、こんな夢のあるようなプロジェクトができるのではないかと思います。  少子化打破なんです。これはすばらしい打破の緊急テーマがございます。でもあと一年でこの打破をやり遂げなければいけないという喫緊の課題にもなっております。この少子化打破するために、こういったボランティア活動を通しての支援活動に、ぜひ力を入れて取り組むべきと考えるんですが、これはご答弁どなたもいただけないんです。実は、結婚というカテゴリーは、どこも受けとめていただけないのです。それこそ、たらい回し……(石原知事発言を求む)知事、お願いいたします。 ◯石原知事 それは結婚せずに一生を送る人生というのはむなしいものだと思いますから、せっかくおっしゃっていただいたボランティア活動を通じて、たくさんのカップルができたら結構なことで、仕事はたくさんありますから、幾らでも準備いたします。(拍手) ◯栗林委員 若者の文化を牽引された知事のご答弁、本当に深く感謝いたします。ありがとうございます。  次に、児童養護施設の退所者の支援についてお伺いいたします。  虐待や養育放棄などにより、親からの愛情に接する機会がなかった子どもは、心に大きな傷を抱えているだけではなく、大人への不信感を抱いたり、自己評価が低いなど、さまざまな課題を抱えています。こうした子どもたちは、児童養護施設などで育ち、社会に巣立っていくが、社会に出た後もさまざまな困難を抱えるといわれています。  都は、昨年、全国的にも例のない施設退所者に対するアンケート調査を実施いたしました。施設から社会に巣立った子どもたちが、社会に出た後どのようなことで困っているかを把握するために、当事者の生の声を聞くことは極めて大切なことです。この調査結果から、雇用形態が不安定な状況がうかがえ、その背景には、施設で育つ子どもは、親など身近な大人の働く姿に触れる機会がなかったなどの職業観の形成が困難だったということも、うかがうことができました。  同じ年代の子どもたちは、社会に出た後も、親など身近な大人に支えてもらいながら少しずつ自立していくものですが、施設などで育ち親からの支援が期待できない子どもたちも、同じように支えとなる存在が必要です。  そこで伺います。養護施設などで育つ子どもにこそ手厚い支援が必要であり、社会に出た後に確実に自立できるよう、支援の必要性を、我が党は昨年の定例会で、高倉議員の一般質問、その後の代表質問でも取り上げ、これまでも強く求めてきたところですが、これまでの施設における取り組みと都の支援について伺います。 ◯杉村福祉保健局長 児童養護施設におきましては、児童が社会で自立した生活を送れますよう、一人一人の自立支援計画を策定をいたしまして、児童の状況に合わせた進路指導を行いますとともに、基本的な生活習慣や金銭管理、社会人としてのマナーなどを習得できますよう指導を行っております。また、NPOや企業などの協力を得まして、学習支援や就労支援も行っております。  退所後におきましても、児童が生活や就労の面で困ったときに相談を受け付けますとともに、必要に応じまして職場や自宅へ訪問するなど支援を行っております。都は、こうした施設のさまざまな取り組みに対し、独自の補助を行うなどにより支援をいたしております。 ◯栗林委員 施設においては、虐待を受けた子どもの入所が年々増加しているといわれています。施設の職員は、今施設にいる子どもの支援、指導をしながら、退所した人たちの相談に、あいている時間とか勤務時間等を使って当たっていただいているようです。一人一人に光を当てた支援、自立支援が大事です。二十四年度の対応策を伺わせていただきます。 ◯杉村福祉保健局長 都は、児童養護施設におきまして、入所している児童の自立に向けた支援や施設退所後の相談支援を、より手厚く行える体制を整備いたしますため、来年度から、新たに自立支援強化事業を開始することとしております。  この事業では、各施設に、自立支援コーディネーターを配置いたしまして、進路指導などについて他の職員に助言を行いますとともに、学習支援に取り組む団体などとの連携を強化いたします。また、施設内で必要な情報の共有化を図りまして、退所した児童について、継続的かつ効果的な相談支援を行ってまいります。  こうした都独自の取り組みによりまして、児童養護施設の体制を強化し、社会的養護のもとで育つ児童の自立を支援してまいります。 ◯栗林委員 自立支援コーディネーターの配置は大変重要な役割を果たすこととなると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、災害時のトイレ問題、伺わせていただきます。  トイレという問題は、なかなか口に出しにくいテーマということで、しかしこの震災を通して、食料と同じぐらい重要であると同時に、課題も明らかになりました。災害時に、だれもが安心して利用できるトイレ環境は重要です。  トイレに行く回数を減らすため、水分や食事を控えたり、そういったことから体調を崩すこともあり、時には、命にかかわることになるともいわれています。大人一人の一日のし尿排せつ量は一・四リットル前後といわれておりまして、専門家の間でも、三日分の対応が必要といわれています。そこで、この都庁内の災害時のトイレ対策はどのようになっているか伺います。 ◯安藤財務局長 都庁舎は、首都直下地震にも耐える耐震性能を有しておりますので、地震等の災害時におきましても、建物内のトイレを使用することとしております。なお、仮に断水が生じた場合でも、建物内のタンクにあります水を使用することで、三日程度の利用が可能であり、また、非常用の仮設トイレも四十基を準備しておるところであります。 ◯栗林委員 耐震性とトイレの水の確保はわかりましたけれども、それでは、便器の数は、どのぐらいあるのか伺わせていただきます。 ◯安藤財務局長 都庁舎のトイレの便器の数ですけれども、第一、第二本庁舎、都議会議事堂の三棟合わせまして、大便器が千十七個、小便器が六百四十個の合計千六百五十七個でございまして、うち女性用は四百六十五個、身体障害者の方用は百十五個でございます。 ◯栗林委員 数を知るということは、大変大事なことだと思います。  昨年三月十一日、都庁舎内に、五千人に上る多くの帰宅困難者の方がいらっしゃいました。都庁の職員の方も懸命に対応してくださったわけですけれども、五千人のうち、女性は半分として二千五百人。当日は、女性トイレは長蛇の列だったと聞いています。  一方、職員の人数ですが、都庁舎内の職員は約一万人と聞いていますけれども、東京都人事委員会の平成二十三年四月一日現在の発表資料、都職員の構成によると、女性の職員の比率は、知事部局で五割を超えている。すると職員は、女性が五千人いるということになります。しかも、今ご答弁いただいた便器の数は、第一庁舎で四十五階、第二庁舎で三十二階、議会棟で七階までの全部の数であります。帰宅困難者の方が、高層階を利用はしにくいです。そうなると、比較的低層階で対応することになるのではないでしょうか。  私調べましたが、第一本庁舎も第二本庁舎も、一階の女子トイレ便器の数は六個、だれでもトイレは二つ、議会棟の一階は十八と、だれでもトイレが四つ、三つの建物一階全部足しても、何と三十四です。もう計算するまでもなく、足りないという感覚は持っていただけるのではないかと(「足りないですよね」と呼ぶ者あり)はい、足りないんです。都庁舎は、一時滞在施設としての指定が想定されています。女性用トイレについて、仮設トイレや簡易トイレを確保するなど、手厚く配慮をお願いしたいと思います。さまざまな状況をシミュレーションし、さらなる対応策を進めていただきたいと思います。  先日の本会議で、我が党の松葉議員から、女性の視点に立った防災対策の推進についての質疑を行い、地域防災計画の検討に当たり、女性の声を反映させていく旨の答弁がありました。トイレ対策にも、女性の視点が大変重要でございます。  阪神・淡路大震災や東日本大震災でも厳しい現実がありました。子どもが怖くてトイレに行きたがらないとか、高齢者の方にとり、トイレが遠く行きにくいなど、子ども、高齢者、女性にとっても、より深刻な影響としてあらわれています。さらにいえば、仮設のトイレを設置する場合、プライバシーへの配慮や設置の男女比など考慮すべきことがさまざまあります。  そこで伺います。都は、現在、地域防災計画の修正を進めていますけれども、東日本大震災の教訓を踏まえて、発災時のトイレ機能の確保に向けた取り組みにおいても、女性の視点を踏まえた対策が必要と考えますが、局長、見解を伺います。 ◯笠井総務局長 発災時のトイレ機能の確保は、避難者の生活環境を維持する上で不可欠でございます。東日本大震災では、断水に伴うトイレの不足、し尿処理への対応、公衆衛生の確保などについて、さまざまな課題が明らかになりました。  また、臨時トイレを設置する際の女性のプライバシーへの配慮なども求められており、こうした教訓を防災対策の見直しに生かす必要がございます。このため、今後、トイレ機能の確保を検討するに当たりましては、東京都防災会議のもとに設置いたしました検討部会において、専門的な知見を有する女性委員や被災地に派遣された女性職員などの意見も踏まえた具体的な検討を行い、その経過を地域防災計画の修正に反映させてまいります。 ◯栗林委員 ぜひとも、被災地派遣の経験などを生かした対応策を進めていただきたいと思います。  それでは、薬物乱用防止策の推進についてお伺いいたします。  これから日本をしょって立つ子どもや青少年を守り、そして健全に成長させていくためには、善悪を正しく判断する知識を持つことが重要です。大量な情報があふれ、どんなことでもゲーム感覚で安易に行動に移すことが可能な時代になってしまっています。  その一つが脱法ドラッグです。今回、徹底した都の調査で、合法ドラッグと称して販売された薬物から合成麻薬が検出されました。これは、都が独自の調査で法律の取り締まり対象になっていない脱法ドラッグを売る店が九十三店舗あることを確認してきたほか、平成八年から開始している脱法ドラッグの買い上げ調査、さらには我が党も推進してきた、平成十七年四月に、国に先駆けて制定した東京都薬物の濫用防止に関する条例による薬物規制と普及啓発に取り組んできたからこそ、問題を明らかにすることができました。このような調査は、さらに強化すべきと考えます。  私も、若い方たちと、薬物乱用防止のボランティア活動をしていますが、一年ごとにアンケート調査をやっています。大麻など薬物を使おうと誘われたことがある、二〇〇九年では一八・六%、二〇一一年では一九・五%、やはりアップしていました。使ってみたいと思ったことがあるのも、やはり一一・四%から一二・四%と増加傾向でございました。  しかし、いろいろな、さまざまな意識啓発事業をしていただいていますけれども、そこをすり抜けるかのように手を出してしまう若者の実態は、依然としてふえていることがわかります。  そこでさらに、薬物乱用防止のメッセージを、幅広く若者に届くよう、効果的に発信していく必要があると思いますが、局長の見解を伺います。 ◯杉村福祉保健局長 都では、年代に合わせた内容や方法を工夫しながら、若者に対して、薬物乱用防止の普及啓発を行っております。  中学生では、薬物乱用防止のポスターや標語を募集しておりまして、今年度は過去最高の約三万九千点の応募がございました。最優秀作品は、都の普及啓発にも活用をいたしております。  また、高校生では、薬物乱用について学習をする高校生会議を実施いたしまして、その活動の成果を、麻薬・覚せい剤乱用防止運動都民大会で発表いたしますとともに、リーフレットにまとめ、高校一年生全員に配布をいたしております。  さらに、多くの若者が集まります自動車教習所やカラオケボックスなどでのポスターの掲示や街頭ビジョンの活用などにより、広く青少年向けに啓発を行っております。  今後もこうした取り組みを進め、次世代を担う若者に対して効果的な啓発活動を推進いたしていきます。 ◯栗林委員 さらなる若者、青少年を守る活動、取り組みに期待し、質問を終わります。(拍手) ◯鈴木(貫)副委員長 栗林のり子委員の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。    午後三時四分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時二十一分開議 ◯鈴木(あ)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  山加朱美委員の発言を許します。 ◯山加委員 日本の少子高齢化は、世界でも例を見ないスピードで進んでいます。国立社会保障・人口問題研究所がことし一月に発表した将来推計人口によりますと、五十年後、高齢者一人を現役世代一・三人で支えるという、高齢者にとっても現役世代にとっても、大変厳しい時代の到来が予想されます。  一方で、孤独死や所在不明問題など、高齢者の社会的な孤立が既に大きな問題となり、また昨今、結婚できない、しない若者が社会問題になり、平成二十三年厚生労働白書では、二〇三〇年には生涯未婚率が男性で約三〇%、三人に一人、女性では約二三%、四人に一人と見込まれ、生涯独身人口がふえていくことが予想されます。  一人の人間が自立した個人として豊かな生活を送るためには、まずその前提として、周囲の人々が相互に助け合う、知事がよくおっしゃるご近所づき合い、地域社会の実現が不可欠です。しかし、地域で支え合う仕組みが不十分な中、私は家族というセーフティーネットを持たないひとり暮らしの高齢者が、今後ますます増加することを懸念しています。  都内六十五歳以上のひとり暮らし高齢者は、今後十年間で十六万世帯ふえると予想され、もちろん、大半の方が介護や福祉サービスを受ける必要のない元気な方であろうことは承知をしています。しかし、今は元気であっても、一たび病気になれば頼る家族もなく、一人孤立してしまうという状態では、安心・安全な生活とはいえません。  ひとり暮らしの高齢者が安心して地域で暮らし続けるために、地域で見守り支える取り組みをより積極的に推進すべきです。所見を伺います。 ◯杉村福祉保健局長 都は自治会、町会、民生委員、ボランティアなどによる声かけや配食サービスを活用した安否確認など、高齢者の見守りに関します地域のさまざまな取り組みにつきまして、区市町村包括補助事業を通じて支援を行っております。  また、昨年度からは、地域の高齢者を見守る拠点を拡充するため、区市町村におけるシルバー交番の設置を支援いたしておりまして、今月策定をいたします東京都高齢者保健福祉計画では、平成二十六年度までに七十カ所を設置することといたしております。  今後とも、高齢者の見守り活動などに取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。
    山加委員 都がさまざまな仕組みで支援をしていることはわかりますが、超高齢社会の到来を考えると、今まで以上に地域全体で高齢者を見守る仕組みを早急に構築しなければなりません。  「二〇二〇年の東京」に高齢者見守りネットワークの構築が明記されたことを、私は高く評価しています。しかし、ネットワークづくりは、住民に身近な区市町村が主体となって進めていくべきものですが、都はどのようにして支援をしていくのか伺います。 ◯杉村福祉保健局長 先ほども申し上げましたように、現在、地域の中では、高齢者を見守るさまざまな取り組みが行われております。こうした取り組みを進め、行政、民間、地域が連携をいたしました、地域全体で高齢者を支えるネットワークづくりを検討いたしますため、来年度、都は見守りの担い手である地域包括支援センターの職員、シルバー交番の相談員、民生委員などを中心に構成する会議を新たに設置いたします。  会議では、これまでの取り組みの検証や、先駆的な取り組み事例の収集分析を行いながら、関係者が連携した効果的な見守り手法などを検討することとしておりまして、この結果も活用しながら、区市町村における高齢者の見守りのネットワークづくりを支援してまいります。 ◯山加委員 次に、大都市東京の高齢者問題を考えるとき、おろそかにできないのが住まいの視点です。  ひとり暮らしの高齢者の持ち家率は六割以下であります。身寄りがなく、家族の支援も受けられない中、病気や介護で医療費などがかかる、生活費に占める家賃の比率は日本は高い。老いても一人の所得で住まいを失うことなく、地域での生活を安心して続けていけるような支援が重要です。  過去に群馬県で発生した静養ホームたまゆらの火災事故で犠牲となられたのは、その多くが生活保護を受けた低所得高齢者でありました。間もなく三年がたとうとしています。  都がこの問題に危機感を持って取り組んだ結果、居室面積要件を緩和した都市型軽費老人ホームが実現をいたしました。私の地元練馬区でも、日常生活圏ごとに少なくとも一カ所という目標を掲げ、計画的に整備を進めております。低所得高齢者の受け皿としては大変重要ですが、現在の整備状況、都の取り組みについて伺います。 ◯杉村福祉保健局長 昨年四月の第一号開設以来、都市型軽費老人ホームは、現在まで五カ所設置をされております。さらに、来年四カ所が開設予定であり、その他整備中のものが九カ所、協議中が五件ございます。  都は、整備を支援するため、国の交付金に加えまして国と同額の加算措置を講じますほか、みずから建物を整備し、運営事業者に賃貸する土地所有者への補助や、都有地の活用など独自の取り組みを実施いたしております。  今月末には、土地所有者を対象といたしました補助制度説明会を予定しておりまして、今後も事業者等へ積極的にPRするとともに、区市へも強く働きかけ、より一層の整備を促進してまいります。 ◯山加委員 次に、中堅所得者向けの高齢者住宅について、都は高齢者の居住安定確保プランの中で、ケアつき賃貸住宅を二〇一四年までに約六千戸の供給を目指すとしています。バリアフリー化とともに、サービスの質の確保が極めて重要であります。  現在、東京都住宅供給公社が取り組んでいる二カ所のサービスつき高齢者向け住宅の進捗状況、あわせて、私は公社が整備する住宅は、施設のように高齢者だけが過ごすところではなくて、地域の人たちやさまざまな世代の人たちがたくさん交流できる場、何よりも地域の安心とそして生きがいを支える場になることが大変重要と思っております。所見を伺います。 ◯飯尾都市整備局長 東京都住宅供給公社は、平成二十六年に、板橋区向原と世田谷区烏山で高齢者向け住宅の開設を計画しておりまして、昨年夏にそれぞれ提案を募りました。運営事業者と設計事業者を選定したところでございます。  どちらの運営事業者からも、入居者や地域の高齢者が利用できる介護事業所や診療所、地域の子育て支援のための保育所の併設が提案されております。また、地域住民の交流を促進するために、気軽に立ち寄れるコミュニティカフェを整備するとともに、自治会と協働したさまざまなイベントの開催なども検討しております。  現在、この提案内容を踏まえまして、設計事業者は、公社、運営事業者と協議しながら設計を進めているところでございます。 ◯山加委員 次に、さらに中長期的な視点から、私たちは目先の対策だけでなく、次世代の高齢社会のことも考えねばならない責務があります。  そこで、パネルをごらんください。  このように日本の人口は右肩下がり。大変背筋が寒くなるような思いがいたしますが、人口減少時代を迎えております。  日本の将来推計人口によりますと、現在、総人口は約一億二千八百万人ですが、このままいけば今後とも減少を続け、五十年後、この赤のところですが、三分の二の約八千七百万、百年後には、何と三分の一の約四千三百万人になってしまいます。イメージいたしますと、これは現在の関東地方の一都六県に山梨県を加えた人口と同じくらいであります。  つまり、百年後には日本の総人口から、このままいけば関東地方以外の人口が消えてしまうという、大変恐ろしい状況であります。ここにいるほとんどの方は百年後いないかもしれませんが、ことし生まれる子どもが百歳、そう遠い時代の話ではありません。  一方、高齢化率は、現在の約二四%から年々上昇していき、五十年後には約四〇%、しかし、高齢者人口そのものは、パネルにありますとおり、二〇四二年をピークにその後減少すると予想されています。減少していくのはたった三十年後からの話であります。東京においても、ピーク時は前後するものの、同様の傾向と思います。  そこで、こうした人口の予測に対して、福祉サービス事業者、特に社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手と位置づけられているのですから、長期的展望を持つことが求められます。  今、例えば、特養ホームを建設しますと、一般的に建物は四、五十年使えます。しかし、三十年後から既に高齢者人口は減少し始めます。漫然と施設運営をしていると、在宅サービスニーズの高まりと相まって、入所者減少により経営が悪化し、その結果、施設運営ができなくなり、廃止に至ることになります。  特に、私が一番心配いたしますのは、一つの施設しか経営していない社福の場合、たしか都内には全体の約四割、四百近くあると思いますが、施設廃止はすなわち社会福祉法人の解散を意味します。このようなことにならないよう、社福が地域福祉にさらに貢献し続けるためには、中長期展望を持った経営、五十年先、百年先のことを考え事業展開をしていくことが求められます。  経営の健全化を図り、財政基盤を確立することが重要ですが、経営的な点で都はこれまでどのような支援をしてきたのでしょうか。 ◯杉村福祉保健局長 都は、社会福祉法人が適正かつ安定的な運営を確保し、良質な福祉サービスを持続的かつ安定的に提供できるよう、社会福祉法人経営適正化事業を実施いたしております。  この事業では、法人みずから経営の安定化を図ることができるよう、流動比率や借入金比率など、社会福祉法人の特性に応じた十一の財務指標と、それぞれの指標について都内社会福祉法人の平均値を示しており、経営状況を比較分析できるようにしております。  都におきましても、各法人の財務状況を詳細に分析し、課題のある法人に対しては実地調査をして経営指導を行っております。 ◯山加委員 一歩前進と思いますが、それだけでは不十分ではないでしょうか。今後変化するニーズに対応していくためには、人材、資金、設備等の裏づけをした中長期計画を策定させるなどの経営指導が必要であります。  平成二十五年から、同一区市で事業を展開する社福への指導検査権限が当該区市に移譲されます。したがって、先ほど申し上げた一施設しか経営していない社福は、法人が所在する区や市が所管となるわけであります。  都が、区市に移管される社会福祉法人への指導検査は、区市にすべて任せてしまえばいいという逃げ腰では、東京の福祉は向上しません。  都は、これまでの豊富な経験、どこよりも現場を知っている自治体として、指導検査権限が区市に移譲される法人を含め、都内のすべての社会福祉法人が、今後とも福祉ニーズの変化に対応し、中長期的展望を持って健全に経営していけるよう、率先して経営指導していくべきと考えます。所見を伺います。 ◯杉村福祉保健局長 お話のように、今後、少子高齢化の進行によりまして福祉ニーズは大きく変化をいたします。この変化に社会福祉法人が的確に対応し、健全な経営を行っていくためには、社会福祉法人みずからが、現在保有している人材、資金、設備等を分析した上で、中長期的な事業計画を策定することが必要でございます。  こうした法人の取り組みを進めるため、都は、ことしの夏ごろを目途に、社会福祉法人向けのマニュアルを作成することとしておりまして、このマニュアルを活用して、区市に移譲される法人を含めた都内すべての社会福祉法人を対象とし、講習会などを行うことを通じまして、中長期的な事業計画の策定を働きかけてまいります。 ◯山加委員 次に、少子化対策についてお伺いいたします。  先ほども申し上げましたが、このままでは、日本の人口は急激な減少を続け、百年後には現在の三分の一程度になってしまいます。こうした状況を食いとめるには、より多くの新たな命がこの世に誕生すること。そして誕生した命を失わないこと、しっかりと守ること。この二つしかありません。子どもは日本の将来にとってかけがえのない宝であるという認識を、改めて強く持つ必要があります。  少子化対策を進める上で、まず社会全体で、女性の妊娠、出産に関するサポートが重要なわけでありますが、妊娠した女性へのサポートは、妊婦健康診査の公費助成や相談体制などが整ってきています。また、不妊に悩む夫婦へのサポートは、特定不妊治療費助成事業が実施され、その実績も年々増加をしていると伺っております。  しかし、不妊治療を受けても妊娠できず悩んでいる方が多いのも現実で、妊娠や出産に適した年齢を過ぎてから治療に取り組み始めても成果が出ないことも多いと聞いております。  こうした背景として、女性は閉経するまで幾つになっても同じように子どもをつくることができると思い、二十歳代から三十歳代前半、医学的に女性の妊娠に適した年齢のときに社会で活躍し、仕事を優先しているという現状があります。いざ子どもが欲しいと考えたときに、妊娠が難しいという事実に直面してしまうことが多いというこの実態に、私は目を向ける必要があると思います。  日本はどちらかといえば、女性の健康教育において、従来、望まない妊娠をしないための避妊教育、その普及啓発が主だったと思います。しかし、女性は、少なくとも現在の医学において、卵子の老化をとめることはできず、また戻すこともできません。年齢を重ねるごとに生物学的には妊娠しにくくなるという現実を踏まえ、適切な結婚や出産の時期、これは学生のうちから正しい情報と知識を持っていくべきと考えます。  そこで、現在、高校では、結婚や女性の健康についてどのような教育が行われているのか、教育長、現状を伺います。 ◯大原教育長 現在、高等学校の保健の授業では、学習指導要領に基づきまして、生涯を大きく、思春期、結婚後、中高年期の三段階に分け、各段階の健康について取り扱うこととなっております。  思春期については、身体面、心理面、行動面の変化、異性を尊重する態度、そして性に関する正しい情報と適切な対処の仕方等を学習させることとなっております。  また、結婚後につきましては、家族計画の意義、出産までの経過、人工妊娠中絶の心身への影響、母子健康診査の必要性等を理解させることとなっております。 ◯山加委員 今後の少子化時代を考えるときに、対策のまず入り口となる重要な学習ですから、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  さらに、学生のときに学んだ知識は次第に薄れてしまうおそれがあります。目前に結婚が迫っているわけではありません。そういう意味では、学校を卒業した後に再び成人した人々に対する啓発が重要であろうかと思います。  そこで、女性には年齢による身体の変化があること、妊娠や出産に適した年齢があることを正しく知り、妊娠、出産といった人生設計について考えてもらうための普及啓発が必要と思います。都の取り組みを伺います。 ◯杉村福祉保健局長 都では、不妊を理解することを通じて、若い人たちが妊娠、出産について正しい知識を持ち、自分自身のライフプランを考えるきっかけとなるよう、平成二十二年度に小冊子を作成いたしました。この中では、不妊の原因や不妊治療に加え、妊娠や出産には適齢期があることなども紹介をいたしております。  小冊子は区市町村や保健所など、関係機関に配布するとともに、ホームページに掲載をしており、普及啓発に努めております。 ◯山加委員 この問題は少子化対策にとって非常に重要なことであります。ぜひとも普及啓発に積極的に取り組んでいただきたい。  次に、この世に生を受けた命は、社会が大切に守り育てていかなければなりません。大人の我欲によってその命を奪ってしまうことがあっては絶対にならないわけであります。かけがえのない命を失わせない、救える命を大切に守り育てるという社会の責務を果たしていくために、強化すべきは児童虐待防止に向けた取り組みであります。  大変残念なことに、児童への虐待事件は後を絶たず、虐待に関する相談件数は増加の一途をたどり、平成二十二年度、都内児童相談所に寄せられた児童虐待に関する相談対応件数、前年比三三%と大きく増加をしています。同様に、区市町村に対して寄せられた相談対応件数も大幅に増加をしています。さらに、一昨年、全国の警察が検挙した児童虐待事件で、虐待を受けた児童は過去最多三百九十八人、そのうちの約一割、三九名が死亡しています。極めてゆゆしき事態であります。  私は、このふえ続ける児童虐待にかなり早い時期から警鐘を鳴らしてまいりました。  国はようやく来年度から、地域の中核的な小児救急病院などに虐待専門の職員配置を促す新制度を設けているとのことですが、都は国に先んじて、既に院内虐待対策委員会の設置促進など、これまでさまざまな先駆的な取り組みの推進を図っていることは、私は高く評価をしております。  しかし、こうした都の取り組みにもかかわらず、依然として虐待が増加をしている現状をかんがみれば、児童相談所のさらなる体制強化は不可欠ですし、また、さまざまな原因で何よりも心に深い傷を抱えた児童に対して、個々の児童の様態に合わせた手厚い心理ケアが今後ますます重要になっていくと考えます。都としてその拡充のためにどのように取り組んでいくのか伺います。 ◯杉村福祉保健局長 都は、在宅で経過を観察している児童や、施設に入所している児童等に対しまして、個々の状態に応じてよりきめ細かな心理的なケアが行えるよう、来年度、児童心理司を全児童相談所で増員をいたします。  また、強いストレスにより日常生活に支障を来すなど、より深刻な問題を抱えている児童とその保護者への援助を強化するため、来年度開設をいたします子ども家庭総合センターに、親子のサポートステーションを設置いたします。ここでは、児童精神科医等の専門の職員が、児童に対して、心理ケアに加え、医療、生活指導などのケアを短期集中的に実施するとともに、親に対しても助言や指導を行ってまいります。 ◯山加委員 ぜひとも今後一層の充実をお願いしたいと思います。  また近年、警察が関与する虐待がふえる中で、福祉保健局は、児童虐待の未然防止、早期発見を進めるために、昨年十二月、警視庁と確認書を取り交わしました。  お互いが危機感を共有しスピード感を持って、今回の組織横断的な対応に至ったことを高く評価をしております。しかし、その際、連携のすき間に落ち、救えたはずの命を救えなかった、そんなことだけは絶対に避けなければなりません。そうしたことがないよう強く求めます。  さて、私がいつも身につけているこのオレンジリボン、八年前に栃木県で起きた、幼い兄弟の命が虐待によって奪われたことを契機に始められたもので、児童虐待をこの世からゼロにするという強いメッセージが込められております。  都は、毎年十一月を児童虐待防止オレンジリボンキャンペーンに定め、集中的な取り組みを行っていますが、虐待の増加がとまらない現状を踏まえ、単発で終わるのではなく、年間を通じ──子どもの命は単発ではありません、一年間三百六十五日普及啓発に取り組み、広く都民にこのオレンジリボンに込められた児童虐待の防止のメッセージをしっかりと届けていただきたいと思います。また、社会の意識をもっと高め、民間企業の力を活用した取り組みを、より一層推進することが重要と思います。  児童虐待防止に向けた普及啓発の取り組みについて伺います。 ◯杉村福祉保健局長 都は、十一月の児童虐待防止推進月間を中心としまして、オレンジリボンキャンペーンに取り組んでおりまして、今年度は民間企業の協力を得て、ポスターの掲示やオレンジリボンの配布などを行うことにより、普及啓発の強化を図っております。  来年度は、より多くの方々に児童虐待防止に関心を持ってもらえるよう、キャンペーンに協力いただける企業をさらに開拓いたしますとともに、都のイベントを一層活用しながら年間を通じた普及啓発に取り組んでまいります。 ◯山加委員 人口減少時代に歯どめをかけるためにも、都民一人一人が子どもを産み育てていくことの大切さを改めて認識し、問題意識を持っていかねばならないと考えます。都はあらゆる力を最大限に活用し、ぜひとも効果的な普及啓発、児童の支援体制の充実に努め、少子化対策に立ち向かっていただくよう強く要望しておきます。  先ほど、民主党さんもこの児童虐待に対しては大変強い関心を示していただき、心強いことであります。ぜひこのオレンジリボンを、できればつけていただきたかった。残念に思っております。  次に、障害者への理解についてお伺いしたいと思います。  障害者といっても、障害種別、程度によっては特性はさまざまであり、松葉づえや車いすを利用していれば、一見して障害があることが理解されますが、外見からは障害者とわからない方は日常生活でさまざまな不便を強いられています。例えば電車の中で優先席に座ることをためらったり、横断歩道で渡り切れずにクラクションを鳴らされたりすることも少なくありません。私も障害四級、人工股関節ですから、同じような苦い経験をいたしております。  障害四級というのは、体の中のどこか一部分の機能の全廃を持っている方、例えば、義足の方もそうでありますし、人工肛門の方もそうでありますし、ペースメーカーの方もそうであります。なかなか外からはわからないわけでありますから、その分本当に本人は一生懸命努力をし、そしてまた不自由を感じることも多々あるわけであります。  見えない障害への理解を深めるために、障害に関するシンボルマークも、これは国際規格を初め普及啓発が図られていますが、そして障害当事者の方々も、それぞれの障害に応じて、それぞれ会でシンボルバッジをつくっているところもあります。ただ、それだけにそのリボンの数、バッジの数が多く、健康な一般都民の方から見ると、なかなかどれがどれだかわかりづらくなっていることも事実であります。  都は、毎年十二月の障害者週間において、障害があることを周囲の人に理解してもらう取り組みを行っていますが、やはり年間を通じて理解を求めることは必要と思います。  見えない障害は、障害の種別により、不自由さも異なるわけでありますが、一見して障害があることが外から見えないという点では、どの障害も同じであります、共通であります。  この際、さまざまな見えない障害を持っている方々が、例えば公共交通機関の優先席などで安心できるように、都として統一したマークをつくるなど、見えない障害のある方への理解を一層促進していくべきと考えますが、所見を伺います。 ◯杉村福祉保健局長 都は、障害への理解を深めていただくため、障害がある方が地域生活の中で必要としている配慮、気づいてほしい心遣いなどを盛り込んだリーフレットを、障害種別ごとに作成し、区市町村や学校等で配布をいたしております。  また、外見からはわかりにくい障害につきまして、周囲から理解をしていただけるよう、毎年十二月の障害者週間の時期を中心に、電車の中づりポスターや広報紙等で周知を図っております。  今後、こうした方々への理解を一層進めるために、関係局とも連携をしながら、お話にございました外見からはわかりにくい障害の方が交通機関等で利用できるよう、統一的なマークを新たに作成をいたしまして、その利用を、都営地下鉄の優先席でモデル的に実施をしてまいります。 ◯山加委員 初めから、都が統一のマークをつくっていてくれれば、どんなに心強かったかなという方たちはたくさんいらっしゃったと思うんです。きょう初めて、統一したマークをつくっていただける、発信していただけるということで、私は目に見えない障害をお持ちの方がどんなに心強く感じることか。そしてまた、この東京は二年後に全国障害者のスポーツの祭典を控えているわけでありますし、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが招致されれば、この東京で開かれるわけであります。  ぜひ、その統一マークが日本全体、そして都から発信された、国際社会に向けてしっかりと認識されていくような、そんなマークをしっかりと気合いを入れてつくっていただきたいと思っております。  さて、次に、具体的に都営地下鉄におけるバリアフリー対策について伺います。  私は、都議会議員に就任した平成十三年、公決特別委員会において、地下鉄のバリアフリーについてあらゆる角度から質問し、都営地下鉄のセールスポイントはバリアフリーである、世界一であるといい切れるような取り組みを何としても強化していただきたい、十一年前にそう申し上げ、それ以来、一貫してユニバーサルデザインに基づくバリアフリーの実現に力を注いでまいりました。  都営地下鉄においても、これまでさまざまな面でバリアフリーに取り組んできていると思います。  そこでまず、これまでの都営地下鉄におけるバリアフリーに向けた取り組みについて伺います。 ◯野澤交通局長 交通局では、高齢者や障害者を初めだれもが利用しやすい地下鉄の実現を目指し、駅施設や地下鉄車両のバリアフリー化に取り組んでおります。  駅につきましては、大江戸線でホームドアの整備を進めておりまして、平成二十五年六月までに全駅の整備を完了いたします。また、エレベーター等による地上からホームまでのワンルートの確保につきましても、現在、百六駅中九十九駅で整備を完了しており、来年度中には全駅で完了いたします。さらに、車いすで利用できる多機能トイレを全駅に設置するとともに、ホームの階段付近の音声案内装置の整備、駅の出入り口などにある小さな段差の解消等に取り組んでおります。  車両につきましては、ドアの位置を示す点字シールを取りつけたほか、優先席を識別しやすくするオレンジ色のつり手を設置しております。 ◯山加委員 バリアフリーに向けて着々と取り組みが進められていることがわかりました。  実は私も、都庁まで練馬春日町から大江戸線を利用しておりますので、十三年に当選してから、本当にこのバリアフリーが進んだなということを実感しておりますので、高く評価をしております。  しかしですね、ホームに行くまではいいんですが、電車に乗った後はいかがなものでしょうか。私、調べましたら、車内の優先席が設置をされたのは昭和四十九年なんです。今から三十八年前であります。高齢社会もこれほど進んでいなかった。また障害を持つ方たちも、どちらかといえば、今ほど安心しては世の中に出ていけなかった。  その後、平成十五年に一度優先席を増設しています。しかし、当時と比べて、これだけ高齢化が進み、障害者も安心して出かけられるようになったのに、いまだ優先席、車両によっては全体座席数の一割程度しかありません。いかがなものでしょうか。  今後、ますます高齢者はふえ、電車で出かける機会もふえると思います。優先席が今よりもっとあれば、譲る方も譲られる方も気持ちよく利用できるのではないでしょうか。  局長、今お元気でありますがね、二十年、三十年して本当に足が不自由になったときに、ホームまでは本当にエレベーター、エスカレーター、バリアフリーが進んでいる。電車に乗って、自分が局長のときにこうしておけばよかった、悔いを残さないように、私はぜひ求めておきたいと思います。  また、この優先席を実のあるものとするには、利用者への啓発が欠かせないわけであります。交通局がマナー啓発を通じ、優先席が本当に必要としている人に譲られるよう、必要としている人が当たり前に座れるよう、働きかけていくことが必要と思います。優先席の増設とあわせ、交通局の見解を伺います。 ◯野澤交通局長 都営地下鉄の優先席は、高齢者や障害のある方、妊娠している方などのため、現在、基本的に、各車両の前寄りまたは後ろ寄りのいずれかに二カ所ずつ設置しております。  ご指摘のとおり、今後高齢者がますますふえていくことから、都営地下鉄の優先席について、一両当たりの数を現在の二倍にふやすことを目指し、まずは大江戸線で各車両の優先席を四カ所にいたします。また、優先席を必要とされる方が安心して利用できるよう、先ほど答弁のありました統一マークの活用について、福祉保健局と連携してモデル的に取り組んでまいります。  あわせて、駅や車内に掲示するマナーポスターをよりわかりやすく工夫するとともに、適時適切な車内放送により、利用者に一層の協力を訴えてまいります。 ◯山加委員 三十八年ぶりに二倍ということは、大変思い切った英断だと思っておりますが、ぜひ局長、この後もふやしていっていただきたいと思います。ぜひとも世界一であると胸を張っていい切れるような、バリアフリーの取り組みを今後とも引き続き強化をしていただきたい。  次に、少子高齢社会における都市のあり方について知事にお伺いいたします。  今世紀は都市の世紀といわれて久しく、知事も、都市は文明の光を映し出す一方で、文明の影の部分が先鋭的にあらわれる二面性を有しているとの認識のもと、都市のありようが人類の未来を決定するとおっしゃっていらっしゃいます。
     都は、「二〇二〇年の東京」の中で、一昨年の国勢調査をベースとした人口推計を行い、総人口は二〇二〇年をピークに減少に転じるとしていますが、その後においても高齢者の人口は着実な増加傾向を見せる一方、年少人口は減少の一途をたどるとするなど、まさしく少子化、高齢化のトレンドは続くとしています。この少子化、高齢化の深刻化も、ある意味で都市特有の問題であります。  さて、東京は二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致に向け、復活というコンセプトを高らかに掲げていますが、私はそれだけでは、国際都市の中で、この成熟した首都東京が招致に名乗りを上げるには不十分ではないかと思っています。  世界に類を見ない超高齢社会に突入した日本であります。その首都東京が、大都市特有の課題をまさに解決する姿を、オリンピック・パラリンピックを通じて全世界に範として示していくことも、私は東京の社会貢献、責務であろうと思っております。  そうした観点から知事は、この少子高齢化が深刻化する中での都市東京のありようをどのようにとらえ、あるべき姿をどのように実現をしていくおつもりなのかお聞かせください。 ◯石原知事 これはもう極めて難しい質問でありまして、社会全体のつまり価値感が変わり、生活様式が変わってきて子どもが少なくなってきたという中で、子どもの姿が少ないというのは、何も大都市に限らず、地方に行けば若い人はむしろ都市志向で集まってきますから、地方の中都市の方がもっと惨たんたる印象でありますし、限界集落といわれているところは本当に年寄りしかいない、あとは動物しかというていたらくでありますがね。  これはやっぱり、私も東京を歩いていて、ママチャリというんですか、お母さんが自転車こいで、前と後ろに赤ん坊乗っけているというのは、非常に危ない気はするけど、またうれしい気もするわけです。中には生まれたての赤ん坊を背負って母子四人で乗っているというのは、本当にそら恐ろしい感じがしますが、これまた、大都市ならではの一つの風景だと思います。  先ほどから少子化の問題、いろいろな角度で検討されていますが、私たち、人間の連帯というのは、まずやっぱり家族でありまして、子どもをふやす、子どもを安心して育てられる、そういう状況というのは家庭が基本だと思いますから、できれば、要するに高層住宅がふえて、オートロックで出入りしかできないような隔絶された建物がふえてきた中でも、何とかやっぱり親子三代で住んでいただけるような、そういう住宅の提供というものを私は、都として行政で心がけていくことが必要なんじゃないかという気がいたします。  かつて東村山の大きな空き地があきまして、これは都営住宅の跡でしたけど、私着想しまして、大手に頼んだりせずに地元の、要するに左官屋なり電気屋なりを集めて、東京都がその建設主になった形でやってみろといったら、三割ぐらい安い住宅ができましたね。こういうものの発想を、これからもそのマンションならマンション、都営の住宅というもので発想して、価格の割にスペースの広い、親子三代で住める、そういう住宅をつくることが、私は行政を預かる者としての、都市における少子化対策の一番効果的な方法ではないかと思っております。 ◯山加委員 ぜひ、知事の子孫が百年後に、本当にこれでよかったと思えるような、そんな道筋をしっかりとつけていただきたいと思っております。  次に、時間がなくなりましたので、浸水対策について伺います。  私の地元、かつて石神井川の支流であった田柄川流域では、近年の局所的な集中豪雨のたびに浸水被害が発生し、平成二十二年の豪雨被害に際しては、私も同席しましたが、練馬区長を初め地元から六千人の方々の署名による要望が下水道局長へ提出されました。  それを受け、この地区で新たな下水道幹線の整備に向けた検討が進められていることは、昨年の第一回定例会で確認をさせていただきました。  その後の田柄川幹線流域の取り組み状況について、できれば下流部、あわせて上流部、また、同じように練馬区の中村・豊玉地区が浸水対策の重点地区に指定されておりますが、現在、下水道管の整備が進められております。工事の進捗状況、今後の予定について伺います。 ◯松田下水道局長 既設の田柄川幹線は、かつて川であった場所にふたをかけてつくられたため、浅い位置にあり、豪雨時に幹線内の水位が上昇しますと、そこにつながる下水道管からの雨水が流れ込みにくくなります。このため、深い位置に新たな幹線を並行して整備をいたしまして、田柄川幹線の水位を下げ、浸水被害を軽減してまいります。  来年度は、田柄・北町地区など下流部、延長約四キロメートルの設計に着手をいたします。  今後、工事に必要な用地の確保について、地元の練馬区と連携協力するなど、効率的に進めて、一刻も早い工事の着手を目指してまいります。さらに、田柄川幹線の上流部の土支田・旭町地区などについても対策を検討し、地元の皆様の強い要望である浸水被害の早期軽減に向け、精力的に取り組んでまいります。  また、練馬区中村地区は、重点的に下水道幹線など基幹施設の整備を進める対策促進二十地区の一つでございます。この地区の状況につきましても、昨年委員からご質問いただきましたが、現在、区道豊中通りの道路下に延長約二千四百メートル、貯留量二万五千立方メートルの貯留管などを整備しておりまして、このうち、豊玉中地区などの貯留量二万立方メートルの部分を完了させまして、浸水被害の軽減に向け、昨年四月から貯留を開始しております。  今後とも、地元の皆様からのご理解とご協力をいただきながら、平成二十六年度末までに残りの貯留管などすべての施設を完成させることを目指してまいります。 ◯鈴木(あ)副委員長 山加朱美委員の発言は終わりました。(拍手)      ───────────── ◯鈴木(あ)副委員長 佐藤広典理事の発言を許します。    〔鈴木(あ)副委員長退席、委員長着席〕 ◯佐藤委員 まず、被災地自治体支援について伺います。  現在、都では、被災地に正職員を派遣しております。ただ、都の人員もここ数年で減少しており、多くの業務を抱えております。  被災地自治体では、多くの業務を抱え、任期つき職員の任用もしているようでありますが、ノウハウ等を教える職員も十分ではないでしょうし、業務を覚えるにも時間がかかります。行政経験のある方もボランティアに参加されていらっしゃると思いますが、被災地自治体業務を支援したいと考えても、ボランティアの立場としては自治体業務に携わることは難しいでしょうから、都からの派遣ということであれば、十分に能力を発揮できることと思います。  被災地は、特に技術職の職員が不足しているという状況であるようです。地域の復興をどうしていくのかといった議論をしている状況でもあるようですが、地域の方々の意思決定の手伝い等の業務支援を行うにも、行政経験のある方が必要とされているのではないでしょうか。都が幅広い支援のあり方を検討していくべきではないでしょうか。  そこで伺いますが、被災地自治体の支援を行うためにも、都が行政経験のある退職した都庁職員や監理団体などを活用した被災地自治体の支援を検討してはどうかと考えますが、見解を伺います。 ◯笠井総務局長 震災後一年が経過いたしまして、被災地が支援を必要とする業務は、地域を支えるインフラの本格復旧、被災者の生活再建など、復興を見据えた取り組みへと移行してまいりました。これを受け、都の人的支援も、まちづくりの専門技術や行政実務にたけた職員の中長期派遣にシフトしておりますが、来年度も百名を超える規模で職員を派遣し、被災地の要望にこたえてまいります。  一方、被災地におきましては、依然として技術系職員を中心とする人材不足が続いておりますことから、都は、被災地の状況を的確に把握し、お話の退職職員や監理団体の活用などにつきましても幅広く検討しながら、ニーズに即した支援を行うことを通じまして、被災地の早期復興に貢献してまいります。 ◯佐藤委員 被災地自治体も復興に向け、多くの業務を抱えていると聞いております。ぜひ被災地の支援をお願いいたしまして、次の質問に移ります。  次に、横田基地について伺います。  きのう西岡議員も提案しておりましたが、横田基地の民間利用は、多摩地域にとって大きな発展の契機になる課題であります。  二月二十七日付の朝日新聞で次のような報道がなされました。昨年三月十一日の東日本大震災の直後、成田、羽田の両空港に向かっていた航空機八十六機が、両空港を閉鎖されたためにおりられなくなり、うち十四機は燃料不足で緊急事態宣言を出していたことが、国土交通省への取材でわかりました。各機が一斉に新たな着陸先を探し、管制機関が混乱したことも一因となったというものです。  最近、千葉県また茨城県等で地震が多発しております。また、東京湾の直下のプレートが想定よりも浅かったことなどがマスコミでも話題となっております。首都直下地震が起こり、万が一、成田、羽田空港が使えなくなったとしても、代替空港として横田基地を活用する準備をしていくことが必要です。  私はこうしたことから、横田の軍民共用化の推進を訴えてまいりました。また、現時点でも、都内への救出救助部隊の迅速な投入、救援物資、医療物資の搬送など、横田基地に期待される役割は非常に大きいと私は考えております。  都の防災訓練は、これまでも横田基地における物資輸送訓練などを実施してまいりましたが、横田基地を活用した米軍との共同訓練を実施することで、実際の発災を見据えた具体的な対策を整えることができます。こうした取り組みをさらに積み重ねていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯笠井総務局長 災害対応におきましては、警察、消防、自衛隊、そして米軍も含めた関係機関との連携協力が重要でございます。  都はこれまでも、総合防災訓練によって、横田基地を航空輸送拠点として活用し、物資輸送や救援部隊の搬送など、米軍と連携したさまざまな訓練を実施してまいりました。昨年十月に実施した訓練では、これまでの物資輸送に加え、新たに横田基地内にある病院への患者搬送訓練も行ったところでございます。  今後とも、さまざまな状況を設定した訓練を、米軍を初めとした関係機関と積み重ねることで、発災時の対応力を高めてまいります。 ◯佐藤委員 具体的な取り組みの積み重ねが、私が主張している横田基地の軍民共用化への道にも通じると思います。積極的な取り組みを要望しておきます。  次に、こうした横田基地の軍民共用化を見据えた基地周辺の交通整備について伺います。  横田基地の軍民共用化に向け、取り組んでいるわけでありますが、横田基地に旅客を運ぶ交通計画を定め、旅客の整備を現段階から進めておくべきではないでしょうか。  旅客ターミナルの整備には、横田の東側を活用するしかなく、そのための旅客ルートには、旅客数の伸びが著しい多摩都市モノレールの延伸が必要であるといえます。  多摩都市モノレールは、旅客数が東京モノレールに並ぶほど大きく伸びております。また、多摩都市モノレールの上北台-箱根ヶ崎間は、平成十二年一月の運輸政策審議会答申第十八号において、二〇一五年までに整備に着手することが適当とされております。  この答申は、首都圏全体の鉄軌道整備のマスタープランといえるものでありますが、横田基地へのアクセスを考えたとき、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸を含め、首都圏全体の鉄道ネットワークの形成が進めば、多摩地域はもとより、埼玉県や遠く山梨県等も十分に横田基地を利用できる圏内になるのではないかと考えております。  そこで、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた未整備区間についての都の取り組み状況について伺います。 ◯飯尾都市整備局長 都市の機能や利便性を高めていく上で、鉄道ネットワークの充実を図ることは重要でございます。  このため、都は、国や鉄道事業者等と連携いたしまして、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた路線の実現に向け取り組んでおります。  この答申の中で、平成二十七年までに開業することが適当とされた都内の十六路線につきましては、既にすべて開業または事業中となっております。一方、平成二十七年までに整備着手することが適当とされました、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸を含みます路線につきましては、事業主体や採算性などの課題があり、現時点では未着手となっております。  都といたしましては、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、これらの未着手路線の整備につきまして、国や関係自治体、鉄道事業者とともに検討してまいります。 ◯佐藤委員 現在、都では、横田基地軍民共用化に関する調査委託などを実施しておりますが、横田基地にアクセスする交通網整備について調査費を計上して、横田基地への旅客を運ぶ交通計画の策定や経済波及効果予測調査等を行うことを要望しておきます。  次に、都立病院PFI三事業の薬品の調達について伺います。  この都立病院PFI三事業は、契約変更した後の契約総額五千百二億円にも上る事業です。また、この三事業での薬品の調達額について、予定価格をもとに算出すると、全事業期間を通じて一千六百五億円に上ります。  広尾病院、大塚病院、墨東病院、神経病院、松沢病院の五つの都立病院において、平成二十二年度の医薬品調達額を確認しましたところ、共同購入による調達分が約五十億円であり、実に、医薬品調達金額の約八八%の薬品が共同購入ということがわかります。  一方、PFI事業による調達をしている駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センターの三病院を見ると、血液製剤等についての共同購入が約七千四百万円であり、PFI事業によって個別の病院が調達しているものが約九十七億円、PFI調達でないが病院直接契約で調達しているものが約九億円です。三病院の医薬品調達金額約百五億円の約〇・七%の薬品しか共同購入していないということがわかります。  今申し上げた調達金額にあらわれているように、都立三病院のPFI事業においては、都が直接購入するしかない一部の医薬品を除き、各病院で薬の調達をすることとなっております。PFI事業を行っていない都立病院の薬品の九割近くが共同購入であることを考えると、PFI三事業においても、共同購入できる薬が少なからずあるのではないでしょうか。  PFI事業を行っている病院も、ほかの都立病院と一緒に共同購入した方が、スケールメリットが働いて薬品調達コストが下がるのではないかと考えます。PFI事業としての契約が結ばれているわけではありますが、当事者間の合意があれば、契約変更も可能ではないでしょうか。  そこで、三病院PFI事業の契約を見直し、共同購入可能な薬に関しては、ほかの都立病院と一緒に共同購入し、スケールメリットが働くような調達をするよう提案をいたします。契約変更すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯川澄病院経営本部長 PFI事業は、医薬品調達業務だけではなく、統括マネジメント、施設整備、運営業務等を包括契約として、財政負担の縮減やサービス向上などのメリットが期待できることから実施しているものでございます。  三事業では、医薬品調達を含む契約を締結し、事業者のノウハウや専門知識を活用することによって医薬品調達の効率化を図っており、今後とも効率的な調達が行われるよう指導してまいります。  共同購入とPFIによる調達のどちらにおいても、医薬品費の縮減を図って経営改善につなげていくことが肝要であり、PFI事業におきましては、民間の価格交渉力を生かした調達を推進してまいります。 ◯佐藤委員 ぜひ、医薬品費の縮減を図るよう努力していただきたいと思います。  また、平成二十二年度包括外部監査の意見三十二では、薬剤の取引価格情報を提供する業者の利用や、包括的管理業務委託をしているPFI事業者の調達単価など、参考にできる情報を一層活用すべきと思われるといった指摘もあります。  そこで伺いますが、都立病院の薬品購入についての価格交渉力を増すためにも、PFI事業で調達した薬品価格情報を都立病院とも共有すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯川澄病院経営本部長 都立病院での医薬品購入における予定価格の設定につきましては、これまでの都立病院における納入価格実績のほか、医薬品のベンチマーク分析情報も利用した上で、国公立、民間を含めた全国の他医療機関の取引価格と比較考量を行うなど、最新の取引状況を反映しております。  PFI事業における医薬品購入価格におきましては、購入額全体に値引き率を設定し、都の利益を確定させた上で購入費用の圧縮を図っており、都の購入方法とは調達手法や利益の確定方法が異なるものであります。  しかしながら、医薬品調達に関する豊富なノウハウを有する民間卸会社が複数年度にわたり継続して調達を行っていくPFIの手法は、すぐれた調達手法の一つと考えており、今後のPFI事業の進捗を踏まえつつ、都立病院での予定価格の設定におきましても参考にしてまいります。 ◯佐藤委員 ぜひ都も交渉力を増すような工夫をしていただきたいと思います。  次に、差額について申し上げたいと思います。  都立三病院のPFI事業がほかの都立病院と異なる点の一つに、薬品の調達において、協力会社に対して差額の調整を行い、支払うという点があります。  まず、SPCと薬品卸会社が値引き率の交渉を行い、値引き率を決めるわけです。そして、薬価に対して値引き率を乗じて出てきた金額を設定して、その金額よりも安く調達ができた場合には、差額の半分をSPCを通じて、協力会社である薬品卸会社に支払うというものです。いいかえれば、最後の調整済みの差額が、協力会社の薬品卸会社に支払われる仕組みになっております。  つまり、都が調達行為において、物品の対価としてでなく、サービスの対価として差額の半分を協力企業に支払うわけです。これは、都庁のPFI事業の中でもこの三事業だけで行われているものです。  ただ、差額の半分をSPCを通じて協力企業である薬品卸会社に支払われるわけですが、薬品の調達については、SPCが薬を扱う免許を持っていないために、SPCと契約している協力企業の薬品卸会社が直接病院に納入しているとのことです。つまり、薬の調達については、売り上げ、利益ともにSPCには計上されないわけですが、SPCを経由して差額を薬品卸会社に支払っております。事実上、SPCを介さず都が直接調達をしているわけですが、なぜSPCを介さない調達になるとわかっていながら、薬品調達をPFI事業に含めたのか、疑問を持ちます。  契約差金の扱いについては、平成十八年に財政委員会で取り上げたことがあります。差金の流用については、予算事務規則や通達で、財務局との協議が必要と慎重な取り扱いを定めていることと思います。しかし、今回のPFI事業の薬品調達に関しては、予定価格が一千六百五億円と大きいわけですから、差額の分配についても再度検討された方がよいのではないかと考えます。  差額の今後のあり方について十分検討していただくよう要望いたします。  PFI病院三事業では、都がSPCと契約を結び、SPCが協力企業に発注するわけですが、そこでSPCに出資している企業が協力企業として契約を受けている実例もあります。株主であると同時に仕事を受けているわけです。  三病院の協力企業において、少なくとも五つの出資企業が協力企業としてSPCと契約をしておりますし、また、出資企業のグループ企業も協力企業として契約をしている実例もあります。  また、協力企業の中には、平成十九年度から平成二十三年度まで、都の病院経営本部との契約実績がなかった企業も数多く含まれております。少なくとも、多摩SPCでは十二社、駒込SPCでは四社、松沢SPCでは四社、そういった協力企業があります。病院経営本部との契約実績がなかっただけに、契約の履行状況を注意深く見守る必要もあるのではないかと思います。  今申し上げたように、SPCに出資している企業が協力企業として契約を受けている事例について、契約が高どまりしないよう、都が監視及び指導するべきと考えます。SPCについては、監査法人が経理を見ることにとどまっているわけですが、監査法人は契約金額の多寡について意見を述べる立場ではありませんから、やはり都の検証が必要です。  一歩踏み込んだモニタリングの強化等に取り組むことが必要と考えます。見解を伺います。 ◯川澄病院経営本部長 PFI事業は、各業務にどれだけの費用をかけるのか、また、どの協力企業を選定するのかといった業務設計や遂行方法を、事業者の創意工夫に任せることにより、事業者の有する経営能力や技術的能力を発揮して、低廉かつ良好な公共サービスの提供を目指していくものであります。こうした仕組みのもと、事業者は、都の求める業務水準を達成すべく業務を遂行しております。  都は、モニタリングを通じて、事業者が都の求める業務水準を満たしているかどうかをチェックするとともに、事業者からの監査報告を通じて、毎年度、事業者の財務状況が事業遂行に問題のない状況にあるかどうかを確認しているところでございます。  今後も、モニタリングの精度を高め、事業者が担っている各業務の効率化やサービスの向上を促進していくなど、PFI事業の本質である民間の能力の活用を一層図っていく視点に立った取り組みを推進してまいります。 ◯佐藤委員 ぜひモニタリングの強化に取り組んでいただきたいと思います。  モニタリング業務に必要な都職員とともに、外部からの人的支援にもコストがかかっております。といいますのが、PFI事業の導入可能性調査を行う際、アドバイザリー契約をするわけですが、アドバイザリー契約をした企業の契約が、その後も一部を除き継続をしております。  多摩の場合、平成十五年から九年近くにわたり、五億九千五百七十四万円に上ります。また、がん感染症では、平成十五年から九年近くにわたり、七億二千六十五万円にも上ります。また、精神医療センターでは、平成十七年から四億九千八百五十万円にも上るわけです。三事業の合計でおよそ十八億円余りを払っております。  次に、PFI事業のコストについて触れたいと思います。  PFI事業を検討する際、VFMを算出するときに用いるのは、都が直営で実施する場合のコストと、PFI事業実施に必要な民活で実施した場合のコストを比較していると聞いております。  しかしながら、入札を実施して落札をした場合、落札差金が出てまいりますから、入札によらないコストをもとに比較するのではなく、都が直営で実施した場合の落札した金額とPFI事業実施に必要な民活での実施をした場合のコストを比較しなければ、PFI事業の方が税金の支出が少ないとはいえないのではないでしょうか。  先ほどから指摘をしてまいりましたが、税金の支出を抑え、民間活力を導入するために取り入れたPFI事業にも、多くの課題があるわけです。  また、PFI事業は、医療の周辺支援業務であり、医療の質を高めるためにも、医師の確保には引き続き尽力しなければなりません。予算を割くべきは、医師や看護師といった人的資産であって、今後も医療の質を高める必要があると考えます。  VFMを算出し、予算縮減ができたということであれば、縮減された予算を人的資産に対して予算措置していくべきと思いますが、見解を伺います。 ◯川澄病院経営本部長 都立病院の運営に当たりましては、必要な医療人材を適切に確保し、都民の期待にこたえる質の高い医療を提供していくことが求められております。  PFI事業では、民間事業者が有するノウハウの活用が事業全体を通じて可能となり、財政負担額の縮減のみならず、都と民間事業者の明確な役割分担による医療サービスの向上や、長期包括契約による医療周辺業務の効率化等が期待できるものであります。  こうしたメリットを生かすことにより、医師や看護師等が一層医療に専念できる環境を整えるとともに、患者サービスの向上や経営改善の取り組みを促進し、各病院における医療の質をさらに高めるよう取り組んでまいります。 ◯佐藤委員 医師や看護師といった人的資産に予算措置して、今後も医療の質を高めるようにご尽力いただくようお願いをして、次の質問に移ります。  長期で契約をしている都の契約には、PFI事業だけでなくファンド投資といったものもあります。これまで都が契約し、ファンドに出資した総額は百三十六億円であり、そのうちの四つのファンドが存続期間を迎え、清算することになりましたので、資料を出していただきました。  今回の予算案にも六十億円の新規ファンド投資が計上されておりますので、ファンド投資について質疑させていただきます。  今回資料を出していただいた四つの清算されたファンドでは、二十八・三億円の出資が履行され、二十五・八億円が分配されております。二十八・三億円の出資で、総額百三十一社と十四の作品に投資をしているわけです。また、投資損失も二・五億円であり、出資履行額の約九%です。  三つのファンドについては元本割れをしております。それぞれ事業再生等、政策目的を持ったファンドであったようですが、都が政策目的を設けて運用会社に委託したのでしょうが、政策目的の達成と利回りの両立についてはどう考えていたのでしょうか。
     また、今回の四ファンドの投資結果についてどう考えているのかということと、予算に盛り込まれている新しいファンド投資にどう生かしていくつもりなのか、お聞かせください。 ◯前田産業労働局長 都が中小企業支援のために設けましたファンドのうち、四つについて期間が満了し、見込みも含めて清算がされております。ベンチャー企業などそれぞれのファンドの目的に従い、多くの中小企業などを支援いたしました。  金銭面では、うち一つが結果として分配金等が出資額を大きく上回り、三つが結果として、それぞれ程度の差は異なりますが、下回りました。  中小企業支援について金融を通じて政策目的を達成しようとする場合、制度融資であれベンチャーファンドであれ、リスクをとらなければなりません。ベンチャー企業や再生途上の企業には民間の資金が十分に供給されにくく、何の手立ても講じなければ、将来性のある企業の成長の芽を摘み、立ち直りの機会を逸してしまうことにもなります。  産業振興の観点から、企業を成長や再生の軌道に乗せるために、都はみずからファンドを設立し、資金供給だけでなく手厚い経営支援を継続的に行うことが不可欠と考え、これまで取り組みを進めてまいりました。その結果、今年度終了するファンドでは、上場を果たしたベンチャー企業や倒産を回避し業績が回復した企業など、成果があり、リスクとのバランスを確保しつつ、事業目的を達成したものと考えております。  新たなファンドにおきましても、これまでの取り組みを踏まえまして、成長支援や出口戦略の多様化など、具体的な支援の充実を検討してまいりたいと考えております。 ◯佐藤委員 昨年十一月十日の経済・港湾委員会の質疑で、ファンド投資の状況を確認させていただいたことがあります。その際の答弁において、なお、管理報酬は、一般的に純資産のおおむね年率三%以内で設定されているケースが多いと聞いておりますとお答えいただいております。  しかし、今回出てきた資料を見ると、都が出資した額とそれに対応する管理報酬を見てまいりますと、東京中小企業投資事業有限責任組合では、七・五億円の投資をして一・五億円の管理報酬を支払っております。実に平成十二年から十二年間の運用で、結果として二〇%もの管理報酬を支払っているわけであり、コストが高いのではないかと思うわけです。  また、動画革命東京匿名組合について、同じく都の出資とそれに対応する管理報酬を見ると、一億出資をして五年で一千万円、結果として一〇%もの管理報酬を支払っております。  今回清算が終わった四つのファンドのうち、三つは元本割れをしているわけですが、元本割れをしても管理報酬は減らないといった契約であるようです。ファンドの契約には管理報酬という高いコストがかかるということがわかります。  ファンドの管理者について、過去、コンペの結果選定し、契約したとのことでありますが、いま一度、どういった選定方法と契約であったのか検証が必要ではないかと申し上げておきます。  また、都が一億円の出資を行っておりました、この動画革命東京匿名組合でございますが、有限会社アニメイノベーション東京が運用するファンド、この動画革命東京匿名組合に対して、新銀行東京が平成十九年十二月末時点で七千万円の投資を行っておりました。  動画革命東京匿名組合のファンド総額が三億二千万円です。そのうち都が一億出資して、新銀行が七千万円出資して、合わせて一億七千万円にも上るわけです。都と新銀行の出資で七割もの比率を占めているわけです。  この有限会社アニメイノベーション東京が運用するアニメファンドに、投資を集める働きかけを都として行ったのかどうか、新銀行に対して何らかの働きかけを行ったものかどうか、委員会で質疑をしましたところ、都としても、このファンドの意義にかんがみて、円滑な立ち上げに向け、各金融機関に必要な働きかけを行ったと聞いておりますといった答弁がありました。  都がファンドの立ち上げに当たり、円滑な立ち上げに向け、各金融機関に必要な働きかけを行ったということでありますが、結果として、新銀行が七千万円の投資をするに至っているわけです。このファンドの清算結果が出たわけでありますが、結果の検証が必要だと思います。  なぜアニメファンドを立ち上げるのに、産業労働局が協力しなければいけない状況で、新銀行にも声をかけることになったのでしょうか。どういった経緯なのでしょうか。お答えください。 ◯前田産業労働局長 今お話のアニメファンドは、平成十七年度にアニメ産業の次世代を担う若手クリエーターの発掘と育成を促進することを目的に立ち上げました。  このファンドは都が出資するほか、都の政策目的に賛同した出資者の参加を得て実施してまいりました。  ファンドの出資先の開拓は運用者の役割でございますが、都としては、この事業の意義にかんがみ、ファンドの円滑な立ち上げを目指して、当時関係金融機関に必要な働きかけを行っております。なお、出資につきましては各金融機関の判断でございます。  一言申し上げさせていただきますが、先ほど理事から管理報酬についてお話がありました。管理報酬の割合は年当たりで表現をいたします。存続期間が長くなれば累積するものであります。いずれのファンドも一年当たりでは一般的な管理報酬の水準を上回るものではありません。ファンドの管理及び支援企業への投資育成といった、円滑な運用に見合った適正な報酬額だと考えております。 ◯佐藤委員 今回の三つのファンドが元本割れをしているように、政策目的のファンドの利回りは低いということがわかります。低い利回りのファンドには管理報酬の負担は重いのではないかと申し上げたわけです。  今回の清算結果を見てわかるように、政策目的のファンドが、政策目的の達成と利回りの確保を両立できるのかどうかは難しい課題だと思います。先ほど指摘をしましたように、契約期間が長いため、適切な監視と情報開示をお願いしておきます。  一方、新銀行東京は、投資をしているファンドの投資結果について、投資総額は明らかにしても、その投資結果については情報開示をしておりません。  次に、新銀行東京について伺いたいと思います。  三月二日、新銀行が中期経営計画を発表しましたが、私は、まずは再建計画の総括が必要であると考えております。  新銀行東京の政府向けの貸し出しの推移を見ると、平成二十年九月期には約七百六十一億円、平成二十一年三月期には約七百六十億円、そして、平成二十一年九月期には約二百七十四億円、平成二十二年九月末には約二百九十九億円、平成二十三年三月末には約三百六十五億円、そして、平成二十三年九月末には約三百四十三億円です。  都の答弁によれば、安定的な収益確保を図るという経営判断によって、政府向け貸し出しを行ってきたとのお答えであります。このように、再建計画の期間中、多くの資金が政府向けの貸し出しに振り向けられてきたわけです。  一方、平成二十三年九月末時点で、中小企業向け与信残高は七百七十四億円であるわけですが、今申し上げたように、政府向けの貸し出しには約三百四十三億円融資をしているわけです。ということは、中小企業への貸し出し余力は大いにあるのではないかと思うわけです。  都は、昨年同期と比較をすると増加をしていると答弁しておりますが、わざわざ日銀から多くの資金を借りている割には、中小企業融資に使っている資金の割合が少ないのではないかと思うわけです。日銀からは〇・一%の金利で一千百六十七億円を借り、政府には、日銀より高い金利で約三百四十三億円融資をしているわけです。これだけでも差益が出てくるわけです。また、日銀資金を使って有価証券運用をして利ざやを稼いできたわけです。  こういった再建計画時期の経営結果について、しっかりとした総括が必要なのではないでしょうか。再建計画の総括が記載されていないが、計画からは再建計画とは随分内容が異なっているように思うわけです。再建計画と実際どうだったのかの検証を行い、総括をするべきと考えますが、見解を伺います。  また、再建計画では、中小企業向け融資戦略全体像を示し、成長企業支援型融資では二十三年度で百億円、ファンドも百億円など、メニューごとに事業目標を掲げておりました。特に、ファンドは投資目標額に届かなかったわけですが、メニューごとの総括をお願いします。 ◯前田産業労働局長 平成二十年に策定いたしました再建計画は、中小企業支援を継続しつつ、黒字化を図ることを最大の目標としたものであります。新銀行東京はこの考えに従い、規模を縮小しリストラを断行することにより、赤字脱却を目指し、経営再建に取り組んでまいりました。  計画策定後生じましたリーマンショックなどの経済金融環境の激変に伴いまして、各項目一つ一つを見れば計画と相違しているものもございますが、黒字化を前倒しで果たすなど、全体としては計画に沿ったものとなっていると考えます。なお、こうしたことは、新銀行東京の中期計画において総括をされております。  また、日銀借り入れについてのお話ありましたが、これは日本銀行の金融政策として実施され、広く金融機関の利用を促しているものでございます。 ◯佐藤委員 四百億円の追加出資の際、平成二十年三月二十五日の予算特別委員会の総括質疑で、泉谷つよし議員が、再建計画はダミーだ、追加出資が承認されたら全く違う事業を展開するのではないかと指摘をしてきたわけですが、当初、新型保証が二百億円計画されていたように、再建計画期間中の経営実態は、再建計画の目標値と大きくずれておりました。黒字になったからいいというものではないと思います。  再建計画のメニューごとの検証がなくて総括といえるのでしょうか。メニューごとの総括結果はお示しいただけなかったわけでありますが、私は、過去、新銀行のファンド投資について、再三にわたって投資結果の情報開示を求めてまいりました。  先ほど申し上げたように、都が一億円の出資を行ってきた動画革命東京匿名組合に対しては、新銀行東京が、平成十九年十二月末時点で七千万円の投資を行っておりました。このファンドの清算結果を見ると、都は一億円出資して二千万円の返還金だったわけですから、清算まで出資を続けていたということであれば、新銀行は七千万円出資をして一千四百万円の返還金になるかと思います。  このように、大きく元本を毀損するファンドもあるわけですから、ファンドの投資結果の検証も行う必要があるのではないでしょうか。  再建計画では百億円のファンド投資計画を明記をしていたわけですが、中期経営計画の中で、ファンド投資の計画内容をはっきりさせるべきではないでしょうか。見解を伺います。 ◯前田産業労働局長 新銀行東京は銀行業務の一環として、ファンド投資を含む運用を行っております。  平成二十年度に策定いたしました再建計画では、その当時の見通しのもとに、お話のようにファンド投資を一つのメニューとして位置づけておりましたが、これも先ほどご答弁申し上げ、またご承知のように、平成二十年九月のリーマンショック以降の経済金融環境の激変の過程の中で、計画どおりの実行は不可能となりました。  今回の中期経営計画は現在の経済金融情勢を踏まえ、継続した黒字を見通せるようになった新銀行東京の現状に即して策定されたものであり、当時の計画と内容が異なるのは、これは当然のことだと考えます。 ◯佐藤委員 私が質問をしているのは、今回の中期経営計画の中において、ファンド投資の計画内容であるわけです。経営計画を出す以上、内容が固まっていてしかるべきではないでしょうか。  新銀行マスタープランには、ファンド投資について記載をしており、また、再建計画にも多額のファンド投資計画の記載があったわけです。しかし、なぜ、中期経営計画にはファンドに関する記載がないのでしょうか。  中期経営計画を発表した際、新銀行の寺井社長が、ファンドの運営体になったり、プロジェクトファイナンスのコーディネーターになったり、金融の手法は技術的にはいろいろ考えられるとコメントしたことが報じられています。であるならば、なおさら中期経営計画の中に、ファンドの運営体のことやファンド投資計画のことなども記載されてしかるべきではないでしょうか。  今回出てきた中期経営計画では、ファンド投資については、やるともやらないとも記載がないため、わかりません。私は、リスクの高いファンド投資はやめるべきだと考えております。  さて、先ほど黒字化を前倒しで果たしたという答弁がありましたが、新銀行の融資・保証実績を事業規模別に見てまいりますと、売り上げ分類が五億円以上の企業への件数割合が年々ふえており、十七年度二〇%、十八年度一九%、十九年度二二%であったものが、二十年度五三%、二十一年度六三%に大幅に増加しております。  これは、再建計画期間中に、中小零細企業への貸出実績をふやしていないことと、比較的事業規模の大きい優良な中堅企業にシフトしてきたことがわかります。  三月六日の都政新報で、寺井社長は、物すごく粒の小さいものを何万件もやるのは、生産効率の面で無理だ、中小企業中心といいながらも、生産性を少し上げるために、ロットは昔よりは大き目にならざるを得ないと述べております。  再建計画時期の融資実績を見ても、中小零細企業から優良な中堅企業にシフトしている状況であることがわかるわけですが、今まで以上に中小零細企業には貸さないということなのでしょうか。ここでいう、ロットは昔よりは大き目にならざるを得ないという文言は、どれくらいの規模の企業に融資をするということになるのでしょうか。お答えください。 ◯前田産業労働局長 まず、融資判断は、融資先の経営や資産の状況、個別のリスク判断等によって行われるものでありまして、初めに融資規模ありきで行うものではありません。その上で、経営効率を念頭に営業戦略をつくるのは、これは経営者として当然のことであります。  新銀行東京は経営再建過程にありまして、体力との関係で制約を受けざるを得ません。中小企業向け融資を拡大する中でも、貸出先のすべてを零細企業とすることはできません。寺井社長の発言は、中小零細企業への支援を念頭に置きつつ、そうした制約下での取り組みを率直に述べたものと受けとめております。 ◯佐藤委員 融資規模ありきで融資判断しているわけではないというお答えでありますが、今回の予算特別委員会の要求資料でも、売り上げ分類が五億円以上の企業への融資割合が大きく、平成二十二年度では融資金額で約七三%、融資件数で約六四%でした。また、平成二十三年度では金額で約九二%、件数で約七七%でした。  結果的にであったにしても、この融資実績を見ると、中小零細企業への貸し出しをふやしてはいないということでしょうし、中期経営計画のもとで、この傾向が強くなるのではないかと思われます。  また、寺井社長は、都の関係を生かしたい、防災やエネルギー政策など都の政策課題を解決できる技術を持った企業を都に仲介する、既に種まきを終えていると語っておりますが、これについても中期経営計画に詳細な記載がありませんが、説明をお願いします。 ◯前田産業労働局長 中期経営計画には、お話の東京都の政策支援を含めまして、新銀行東京の今後三年間の方針が明記されております。  この方針に基づく個々の具体的内容につきましては、株式会社新銀行東京が検討の上、東京都に提案されるものと考えております。  また、民間金融機関として、個々の取り組みの具体的内容を企画段階で公表することはあり得ません。  この二点から、計画の記載とは次元が異なるものと考えます。寺井社長は現時点で話せることを話したものと認識しております。 ◯佐藤委員 急遽決められた再建計画でさえ、中期経営計画より具体的に明記がされておりました。  寺井社長は、都との連携について話しているわけですから、都は株主として監視をする立場にある以上、中期経営計画に関することについては、寺井社長の記者会見の事前に把握をしてしかるべきなのではないでしょうか。  中期経営計画を発表した記者会見で、寺井社長は、社会貢献で何をやるかが最大の課題と語っており、また、次の次の計画では拠点も頭数もふやしたいと述べており、拡大について触れているわけですが、私は拡大していくことには納得ができません。一方で、寺井社長は、ほかの金融機関との提携について、現在は具体的な提携先はないが、よいパートナーがいれば、ほかの金融機関との資本、業務提携は模索していくと述べております。  私は、新銀行は、今後、リスクの高い事業拡大をすることなく、経営譲渡などで現在の未公開株式を公開株式と交換をし、都の出資を回収することなどを検討すべきではないかと考えております。事業譲渡等や株式売却等の道筋を早くつけるべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯前田産業労働局長 新銀行東京は、これまで懸命に再建を進め、連続して黒字を計上するまでになりました。この間の現経営陣の努力は民主党さんからもご評価いただいていると思います。  新銀行東京は、これまでの取り組みを踏まえ、今回三カ年の中期経営計画を策定いたしました。今後、安定した黒字体質を継続しつつ、経営基盤をさらに強固にいくとしております。  こうした取り組みをさらに進め、企業価値を高めることが重要であり、それが四百億円の追加出資を保全することにつながるものと考えております。  そうした段階で、お話の事業譲渡や株式売却をやみくもに追及しても、それは民間銀行である新銀行東京にとっても、その多数の取引先にとっても、出資者である東京都にとりましても、何一つメリットはないと考えます。 ◯佐藤委員 再建計画期間中であっても、石原知事は事業提携などについて発言をしていたわけです。再建計画中や中期経営計画中であっても、事業譲渡や株式の売却の検討や交渉は可能なはずです。  これまで、提携先等について、石原知事がさまざまな発言をしていたわけでありますが、新銀行と他企業との事業統合がなされた場合、他企業に直接株式を購入してもらうといった可能性もあるわけですし、また、都が保有する未公開の新銀行株式を、統合先企業の公開株式と交換をすれば、公開株を売却することで都の出資分を回収することも可能になるのではないでしょうか。  都が出資をしてきた資金を回収することを念頭に、事業譲渡や株式売却を模索するべきではないかと申し上げて、私の質疑を終わります。(拍手) ◯大塚委員長 佐藤広典理事の発言は終わりました。      ───────────── ◯大塚委員長 吉田康一郎委員の発言を許します。    〔委員長退席、西岡副委員長着席〕 ◯吉田委員 よろしくお願いします。  東京都が昨年十一月に行った都政モニターアンケート調査によりますと、「十年後の東京」計画の実現に向けて展開している施策への関心は、一位、耐震化六四%、二位、震災対策・危機対応五八%と、震災関連の二項目が占め、三位が自転車走行空間五七%となっております。私からは、この震災対策と自転車対策から伺ってまいりたいと思います。  昨年十一月に公表された東京都防災対応指針は、マグニチュード八クラスの地震を想定する、複合災害を想定し備える、水害への備えを強化するなど、従来の取り組みから大きく踏み込んだ内容となっており、基本的に高く評価しております。しかし、その上でどうしても指摘しなければいけないのが、海抜ゼロメートル地帯への対策でございます。  ゼロメートル地帯では、津波、高潮、地盤沈下などが複合した最悪の事態には、津波や洪水が防潮堤を超える、断層が生じ堤防が崩れる、水門が閉まらない、地下鉄その他のトンネルに流れ込んだ水があちこちからあふれ出すなど、ゼロメートル地帯全域に浸水、冠水するという事態を想定しなければいけないと考えます。  私はこれまで、東北地方は一メートル地盤が沈下したということで、これが最悪だと思っていたんですが、国土交通省荒川下流河川事務所の調査で、首都直下型地震などが発生した場合、堤防が最大二メートル沈下する可能性があるというふうにしております。問い合わせましたところ、この調査は、堤防の耐震点検マニュアルに基づいたものであり、地盤の液状化等を踏まえて計算した結果ということであります。これは震災前のマニュアルに基づいたものであり、現在、国交省本省において、震災を踏まえてマニュアルの改訂が行われており、そのマニュアルを踏まえて再計算をする予定だそうでございます。  こういう事態はもちろん、地域に住まわれる百五十万の方々のみならず、日本経済に甚大な途方もない影響を及ぼす事態であり、都民の懸念も高まっております。  このリスクを恒久的かつ抜本的に解消する方法は、ゼロメートル地帯すべてを満潮面の高さより高く盛り土して地盤をかさ上げすることであります。しかし、これは一朝一夕にできることではありませんので、当面は、住民等の避難対策を軸にせざるを得ません。しかし、できるところから少しずつ、避難場所となる公園や広域的な面の再開発をする地区などから、地盤をかさ上げしていくことは考える必要があると思います。  昨年十二月二十七日、政府の中央防災会議が決定した防災基本計画によれば、発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波に対しては、住民等の生命を守ることを最優先として、住民等の避難を軸に、そのための住民の防災意識の向上及び海岸保全施設等の整備、浸水を防止する機能を有する交通インフラなどの活用、土地のかさ上げ、避難場所、津波避難ビル等や避難路、避難階段の整備、確保などの警戒避難体制の整備、津波浸水想定を踏まえた土地利用・建築規制などを組み合わせるとともに、臨海部の産業、物流機能への被害軽減など、地域の状況に応じた総合的な対策を講ずるものとするとしております。  すなわち都は、避難などのソフト対策に加え、地盤のかさ上げ、そして、土地利用、建築規制なども組み合わせ、重要な設備の上層階への移築、あるいは防水なども含め、ハード対策をも尽くした総合対策に取り組むべきと考えます。  ゼロメートル地帯で最も低い深い場所は、マイナス四メートルであります。ここでは、例えば建物を建てかえるときに合わせて、五十年に一度、一メートルずつかさ上げしていったとすると、ゼロメートルの高さになるまで二百年かかります。しかし、地道に着実に進めていけば、将来の世代には必ず解消できることも確かです。より浅い地域ではより早く解消されていくわけです。  都は、基幹道路の整備や木密地域の不燃化などの取り組みについては、なかなか進まない中でも、さまざまな手法を用いて地道に着実に事業を粘り強く進めています。地盤のかさ上げなど、津波浸水対策についても同様に手を尽くして、事業を打ち出していただく必要があると考えます。  ゼロメートル地帯については、避難場所となる公園や再開発などの地区を初め、個別の家の建てかえに至るまで、あらゆるまちの更新の機会をとらえて、段階的に地盤のかさ上げを推進していくべきと考えますが、所見を伺います。 ◯飯尾都市整備局長 地盤をかさ上げするためには、敷地内の建物だけでなく、道路を初め電気やガス、水道などのインフラ施設をつくり直す必要があるために、市街地再開発事業などの面的な整備を、地域の特性に応じて適切に展開することが必要でございます。  こうしたことから、治水効果の高いスーパー堤防の整備と一体的に、都では、亀戸・大島・小松川地区などにおいて、地盤のかさ上げをしながら市街地再開発事業を実施しており、区においても、足立区の新田地区における住宅市街地総合整備事業などを実施しております。  都は、引き続き江戸川区が進める北小岩一丁目東部地区における土地区画整理事業に対して支援を行っていくなど、高度な安全性を有する都市を実現してまいります。 ◯吉田委員 区でも都でも取り組みが始まっているということであります。スーパー堤防というのは、私はとても大事だと思っています。ぜひ進めていただきたいと思います。  都も各局がさまざまな施設を有しております。そして日々、土木を伴うさまざまな事業を恒常的に実施しています。まずは、都みずからの施設について、より一層取り組みを進めていただきたいと思います。  また、この地盤のかさ上げという地味で息の長い取り組みの前に、施設が水害に見舞われた際にも機能を維持できるよう、非常用発電機や管理施設の上層階への移設、防水措置を初めとする対策を進めるべきと考えます。  今回の震災より前から決まっていたことですが、ゼロメートル地帯にある墨東病院も、地下から高いところに自家発電の発電機を移すということであり、非常に先見の明があったと私は思います。そして、こうした対策が民間の住宅やマンション、オフィスビルなどにも取り組んでいただく必要があると思います。この地域に暮らす住民の方々には大きなご負担となりますが、地域を守るためご協力いただけるのではないかと思います。  中央防災会議が決定した防災基本計画で、津波浸水想定を踏まえた土地利用・建築規制などを組み合わせる、このことについて都はどのように受けとめ、取り組んでいくのかお伺いします。 ◯飯尾都市整備局長 現在、国及び都において、津波浸水想定の検討が進められており、今後、この内容を踏まえながら必要に応じまして適切な対応を検討してまいります。 ◯吉田委員 ありがとうございます。  資料22、23、67、181、182を要求させていただきました。これにお示しいただいているとおり、この地域のさまざまな施設が浸水のリスクにさらされています。  昨年十一月の公営企業会計決算特別委員会で、都営地下鉄の浸水対策について伺いました。都営地下鉄には、地震等により隅田川下のトンネルが損傷した場合などに、河川の水がトンネル内に流入して被害が拡大することを防ぐため、防水ゲートが五カ所に設置されており、この五カ所のうち四つが電動で遠隔制御できるタイプのもので、残る一つについては手動であるが、今後電動化について、トンネル構造などの課題も踏まえ、研究していくとのことでありました。  そこで、同じ地下鉄であります東京メトロについて伺います。  東京メトロでは、隅田川下のトンネルが損傷した場合や神田川の増水などに備え、東西線の新川や有楽町線の辰巳、新富町、半蔵門線の大手町、水天宮、丸ノ内線のお茶ノ水、中野富士見町と七カ所に防水ゲートが設置されているとのことであります。これらはいずれも遠隔制御ではなく、閉鎖にかかる時間はおおむね六十分以内とのことであります。この東京メトロの防水ゲートの制御方法と今後の対応について伺います。
    ◯飯尾都市整備局長 東京メトロからは、旅客の安全の確保が第一であり、それを優先した上で防水ゲートを閉鎖することになる、防水ゲートを閉鎖するためには、まず列車の運行停止や送電停止等の閉鎖準備を行う必要がある、こうした閉鎖準備の間に、担当する工務区から社員が防水ゲートに急行し、指示があり次第、電動等によりゲートの閉鎖作業を行うこととなっている、今後の対応について、東日本大震災を踏まえた浸水対策の見直しの一環として、防水ゲートの遠隔制御についても技術的検討を進めていると聞いております。 ◯吉田委員 東京メトロには、公共交通機関として、旅客の安全確保や事業継続の観点から、防水ゲートの遠隔制御を可能とするなど、最悪のシナリオを想定した対応をぜひ進めていただきたいと、このようにお願いを申し上げます。  次に、学校でございます。  学校は、学校教育法施行規則などにより、保管が義務づけられている指導要録や卒業証書授与台帳、学校沿革誌などを保管しています。これらは耐火金庫に保管しており、火災への備えは万全でありますが、津波に対する備えは不十分と指摘せざるを得ません。  また、東日本大震災では、流され汚れてしまった写真を洗浄する被災者の姿に胸を締めつけられました。学校に保管されている卒業アルバムや過去の記念誌など、児童生徒、卒業生の思いの品々も、法的な保存義務はないにしても、重要な品々であることには変わりありません。  そこで、ゼロメートル地帯の十三の都立学校を初めとする東部低地帯の都立学校の重要な諸帳簿類、さらには学校にとって貴重な資料などの対策について伺います。 ◯大原教育長 都教育委員会は、都立学校の児童生徒に係る重要な個人情報の電子化に取り組んでおりまして、既に成績情報については、大規模な災害の発生にも耐えられるよう、電子化した上でデータセンターにおいて一元管理するとともに、バックアップ体制を整え、データの安全性を担保しております。  指導要録の電子化につきましても、既にシステム開発を終了しておりまして、来年度から各都立学校で推進していくこととしております。  また、委員がただいま取り上げられましたその他の貴重な資料等につきましても、可能な限り、電子化やあるいは上層階での保管を行うなど、学校の実情に応じて、津波、高潮対策に万全を期してまいります。 ◯吉田委員 お願いいたします。  次いで、都指定の文化財についてでございます。  ゼロメートル地帯には四十一件の都指定文化財があります。建築物や美術品、史跡や名勝などの種別は多岐にわたっておりますが、文化財は、その文化財が所在する地域の風土や文化の一つとなって、今日まで守り伝えられてきた貴重な財産であり、所有者だけでなく、地域住民あるいは都民全体にとって重要な宝であります。  今回の大震災では、文化財も津波で甚大な被害を受けました。都においても、文化財の被害を最小限度に抑えることができるよう、対策を講じていくことが必要であります。どのように取り組まれるのかお伺いします。 ◯大原教育長 都教育委員会では、都指定文化財の所有者や管理者に対しまして、災害対策の重要性を啓発し、さまざまな災害に備えた保管方法等を盛り込んだ防災計画の策定を促してまいりました。  また、文化財が被災した場合にも備え、修理、復元等を行うために必要な資料、図面や映像等の記録保管を行っております。  さらに、岩手県遠野市等と連携いたしまして、本年二月二十六日から三月十一日まで、都立中央図書館におきまして、今回の東日本大震災で被災した文化財を展示する、震災からよみがえった東北の文化財展を開催するなど、都民に対して、災害から文化財を守ることの大切さについて広報活動も行っております。  今後とも、委員ご指摘の津波、高潮対策にも留意し、文化財に対する災害対策を着実に進めてまいります。 ◯吉田委員 よろしくお願いいたします。  次に、公園の計画についてお伺いいたします。  東京都のみどり率、緑被率は、資料99号にあるとおり、平成十五年から二十年にかけて、区部でも多摩でも減っております。  近年のヒートアイランド現象や、局所的な集中豪雨など、都市に猛威を振るう自然災害は、緑の減少が原因の一つといわれています。都市に残された貴重な緑を守り、公園や緑地を創出することで水と緑のネットワークを形成していくことが、環境や防災面からも都の重要な課題であります。  昨年十二月に都が発表した「二〇二〇年の東京」は、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活を目標に掲げ、同じく昨年十二月に都と区市町が改定した都市計画公園・緑地の整備方針は、安全、快適で緑豊かな、さらに成熟を遂げた都市東京を実現していくとする中で、東日本大震災を受けて防災の観点を大変重視しており、高く評価しております。  都全体で都市計画決定されている公園緑地は、約一万八百ヘクタールであり、現在供用されているのは約四千九百ヘクタールです。こうした現状を一人当たりの公園面積で見ると、ロンドンが二十六・九平方メートル、ベルリンが二十七・九平方メートルであるのに対し、東京都全域では五・七平方メートルにすぎません。そして実は、現在計画されている公園等がすべて供用されたとしても、一人当たりの公園面積はわずか十平方メートル程度であります。  国が定める標準の面積が十平方メートル以上であるということは承知しておりますが、首都東京としてロンドン、ベルリンの半分にも満たないこういう状況、東京が世界の公園水準に近づくために、新規公園の計画についても考えていくべきだと思います。  もちろん、市街化が進んだ東京において、新規の大規模公園をむやみに計画していくことは、整備の費用や効果などの点で現実的ではありません。私は、木密地域での中小河川沿いこそ、新規公園を整備するべきであると考えます。  木密地域の災害時の脆弱性については、皆様に説明する必要はありません。そして、ここを流れる中小河川は、豪雨時にはんらんするおそれがあるわけです。こうした木密地域の中小河川沿いこそ、新規の公園を計画し、通常時は憩いの場となり、震災、火災のときには延焼遮断帯や避難場所となり、そして洪水時には遊水池ともなる親水公園、緑地による水と緑のネットワークを形成していくことが、防災面からも、緑の創出の面からも一石二鳥、三鳥となると考えます。現に石神井川沿いには大規模な公園緑地が既に計画されていて、本当にすばらしいことだと思います。  そこで、都は、木密地域の中小河川の両側に、例えば幅五十メートルとか百メートル程度の帯状の大規模な公園を整備するなど、中小河川に注目し、中小河川を核として、水と緑のネットワークの形成を一層推進すべきと考えますが、所見を伺います。 ◯飯尾都市整備局長 都はこれまで、都市計画公園・緑地の整備方針において、水と緑のネットワークの形成や、防災機能の強化等の観点から優先的に整備すべき区域を明らかにし、公園等の事業化に取り組んでまいりました。  例えば、お話の木密地域の周辺では、都は善福寺川沿いの和田堀公園を、区は妙正寺川沿いの中野公園を、それぞれ適切に役割分担しながら整備を進めております。  こうした中、都としては既に都市計画決定し、いまだ供用されていない区域について、計画的に整備を進め、その機能を早期に発揮させることが重要と考えております。  今後とも、整備方針で示した重点化の考えに基づき、地元自治体と連携し、丘陵地や崖線、河川沿いの公園等の緑を充実させ、水と緑のネットワークの形成を図ってまいります。 ◯吉田委員 さらにさらに進めていただきたいと思います。  次に、自転車利用についてお伺いします。  先月二十日、東京都は、東京都自転車総合政策検討委員会報告書を取りまとめました。この報告書では、自転車について、子どもから高齢者まで幅広く利用できる手軽な乗り物であり、都民生活になくてはならない主要な交通手段であると同時に、環境負荷の軽減、交通渋滞の緩和、健康増進等にも有効であるとしています。非常に適切な認識だと思います。  そして、この報告書では、安全な走行空間確保という項において、施策の方向の中において、自転車走行空間のネットワーク化と自転車駐輪場の設置等を促進するため云々、具体的取り組みの中では、連続性やネットワーク化を進めることが重要であるとしています。  また、これに先立って、十九年一月に都が策定した自転車の安全利用推進総合プランにおいても、自転車は、鉄道、自動車、徒歩などと並ぶ都市における主要な交通手段の一つであり、その利用を促進するための環境を整えるとし、実施に向けて検討が必要な対策として、繰り返し自転車走行ネットワークの計画的な整備を掲げています。  ヨーロッパでは、自転車は長距離の移動手段としても活用されています。東京は、世界でも類を見ない高密度で正確、安全な鉄道網を有していることから、これまで自転車は自宅から駅までの短距離の移動手段などとして用いられることが多かったと思います。  しかし、これは逆にいえば、自転車で快適に長距離移動ができるような広域的な自転車走行ネットワークが提供されていないので、短距離の移動手段にとどまってきたということもできると思います。  また、大震災以降、通勤、通学の目的地まで自転車で移動する人の数もふえており、地域の足となる短距離を移動する自転車はもちろん、長距離を移動する自転車をめぐっても、安全確保が重要な課題となってきました。そのため、不足している自転車の走行空間を、幹線道路ネットワークを形成する都市計画道路の計画幅員を再度拡幅することで確保し、安全に走行できる広域的な自転車ネットワークを形成していくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯飯尾都市整備局長 自転車は、都市内の有効な交通手段の一つであり、その安全な走行空間を確保していくことは重要でございます。  一方、都市計画道路を再度拡幅して広域的な自転車ネットワークを形成することは、沿道の方々にさらに用地提供を求めることになること、また、既に高密な市街地が形成された東京においては、多大な費用と時間を要することなどの課題がございます。  都はこれまで、既定の都市計画道路の幅員の中で、自転車、歩行者の安全で快適な通行の確保に努めてまいりました。今後も、地域の実情に応じて、さらにさまざまな工夫を検討するとともに、国や区市町村と連携して、自転車走行空間の連続性を確保していくことが重要と考えております。 ◯吉田委員 ありがとうございます。  ぜひ必要に応じて、計画幅員の見直しなども含めて、積極的に取り組んでいただきたいと、重ねてお願いいたします。  そして、警視総監におかれましては、三百六十五日二十四時間、治安の最前線に立って指揮をとっておられるところ、予算特別委員会にお出ましをいただきましてありがとうございます。  都が先月公表した、先ほどの総合政策検討委員会報告書は、もちろん警視庁にも加わっていただいておりますけれども、都の実情をよく踏まえ、総合的な自転車政策の構築に向けた、多くの面で期待のできる内容であると評価をさせていただいております。  ところが、同じ先月、国では、国土交通省と警察庁が設置した有識者会議、安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会において、自転車を車道におろし、今後、自転車走行空間の整備を行うに当たっては、自転車は車道通行との原則に基づいて、整備形態の選定を行っていくという方針の提言案が出されました。この案は、今月三十日にも同会議で決定されるということでありますが、私はこの内容に懸念を感じております。  過去五年間の自転車がかかわる事故について、死者数、重傷者数、軽傷者数が、それぞれ歩道上、車道上で何件であったのか、それぞれの数と比率について警視庁に資料をお願いしたところ、皆様にお配りをさせていただいたとおりでございました。  平成十九年から二十三年の五年間に、都内で発生した自転車が当事者となった人身事故は、死亡事故二百二十五件、このうち歩道十五件、六・七%、車道(交差点以外)五十三件、二三・六%、交差点等百五十七件、六九・七%。  そして、重傷事故、軽傷事故とあって、全事故では十一万四千二十一件、そのうち歩道一万千四十二件、九・七%、車道(交差点以外)二万六千二百三十四件、二三%、交差点等七万六千七百四十五件、六七・四%。事故の九割以上は交差点と車道で起きているということであります。  また、平成二十二年の自転車事故は二万一千件余り。平成十三年からの十年間で約二四%、六千七百件ほど減少しましたが、全交通事故に占める割合は二九・七%から三六・二%に上昇している。自転車事故の相手当事者は八割以上が車両である。  また、歩行者と自転車の事故は、平成十三年からの十年間で漸増傾向にあり、平成十八年から年間千件を超えていますが、歩行者と自転車の事故の発生状況では、過半数が歩行者の横断中に起こっているということでございます。  日本は、自転車の専門家の方々からお聞きすると、大きく二つの種類の自転車があると。シティー車、いわゆるママチャリと、スポーツ車などであります。そして、このママチャリが、大変保有台数が圧倒的に多い。そして、このママチャリに乗る方は歩道を走行し、スポーツ車の方が車道を走行することが多いという傾向にあるということだそうです。  そしてまた、自転車が車道を走った場合、例えば駐車、荷さばき、さまざまなことにおいて、自動車との動線の交錯があります。私は、もろもろの観点から総合的に考えて、自転車走行空間を車道上に整備していくことには問題が多いと考えています。  これまで都は、精力的に歩道を広げつつ、その歩道上に自転車レーンを整備してこられました。私はこれを高く評価をしており、今後も進めていくべきと考えています。  冒頭にご報告を申し上げたような事故の発生の割合ならば、現状で自転車を車道上におろせば、当然、死傷者数が急増してしまうのではないか、このように私は危惧をしているんですけれども、警視総監、ぜひ見解をお伺いします。 ◯樋口警視総監 自転車を車道におろせば死傷者事故が増加すると思うが、この警視庁としてはどう考えているかというようなご趣旨でございますけれども、そういった懸念も踏まえまして、現在、都内では、約六〇%の歩道におきまして、自転車の走行を可とする、そういった交通規制を実施しているところでございます。  この自転車の走行に関する交通規制のあり方につきましては、二つ大事なことがあると考えておりまして、自転車利用者の安全確保と歩行者の安全確保、この双方に資するものでなければならないと考えております。  したがいまして、現状の規制内容は、申し上げましたとおり、六〇%の歩道で走行可にしておるのでありますけれども、これを見直すかどうか、見直すとしてどのように見直すかにつきましては、一律に車道、歩道といったものではあるべきではないんじゃないかと考えております。現場の交通実態や自転車走行環境の整備状況等をつぶさに踏まえた上で、検証した上で、慎重でなきゃいけませんし、また柔軟に判断をすべきものと考えております。 ◯吉田委員 ありがとうございます。  ただいま警視総監からご答弁をいただきましたが、そのご趣旨は、一律に自転車を歩道から車道におろすという見解ではないと受けとめました。また、それと同時に、今後、必ずしも都が行ってきた歩道上における自転車走行空間の整備も差し支えないものと受けとめさせていただきました。心から安堵させていただきました。  そして、この現在の都内の交通事情を考えますと、一概に自転車の車道通行が安全とはいい切れない。また、都民が自転車で安心して通行できるためには、広い歩道を活用した自転車走行空間の整備、これも大変重要だと。そして、歩行者とももちろん分離することが重要だと考えております。  都は、「二〇二〇年の東京」計画において、百キロメートルの自転車走行空間を整備し、整備延長を倍増させるとしております。大変よいお取り組みだと思います。そして、二〇二〇年以降についても整備を推進していただきたいと思います。  この整備を行う際、引き続き歩道を拡幅し、セミフラット化を進め、広い歩道を活用した自転車走行レーンの整備もぜひ進めていただきたいと考えますが、所見を伺います。 ◯村尾東京都技監 都では、自転車の利用が多く、歩行者とのふくそうが見られる区間、観光スポットや集客施設などを結ぶ区間などにおいて、交通管理者と連携して、自転車走行空間の整備を進めております。  車道に自転車レーンを整備するには、歩道や植樹帯を含め、全体でおおむね十五メーター以上の道路幅員があれば可能であります。また、沿道店舗の荷さばきやパーキングメーターなどの施設への対応、違法路上駐車の排除など、さまざまな連携についての関係者間の合意形成が肝要でございます。  したがって、今後、交通管理者、道路管理者の連携のもと、地域の実情を踏まえ、自動車及び歩行者と分離された自転車走行空間の整備を推進し、だれもが安全で安心して利用できる道路空間を創出してまいります。 ◯吉田委員 よろしくお願いいたします。  次に、自転車の安全利用対策について伺います。  この自転車総合政策検討委員会の報告書では、自転車の所有関係を明確にし、利用者に交通社会の一員として責任を持って自転車を利用してもらうため、防犯登録データをより実態を反映したものとすることが必要だとしています。  しかし、自転車の安全利用を一層促進するためには、昨年の第四回定例会の我が党の代表質問において主張させていただいたとおり、防犯登録シールの表示を明確にし、歩行者にも見えやすくする、例えばナンバープレートのような形状で登録番号を表示することまで含めて、検討すべきだと考えます。  これによって、盗難防止、被害回復や放置自転車対策のみならず、悪質な自転車利用者の通報に役立ち、警察官による違反取り締まりの際の本人の特定にも資するものとなるため、当て逃げはもとより、危険な走行の抑止にもつながることが期待できると思います。  自転車の所有関係の明確化に向けて取り組むのであれば、対策をさらに一歩進め、見えやすくわかりやすい登録番号の表示についてもあわせて検討すべきであると考えますが、見解を伺います。 ◯樋口青少年・治安対策本部長 自転車の利用者が責任を持って自転車を管理、利用する環境を整えるため、自転車の所有関係を明確にすることは意義があると考えております。  お話の防犯登録番号の表示を見えやすくすることは、所有関係の明確化や、さらには自転車の安全な利用にも資するものと考えますが、多種多様な自転車に適合した表示方法、あるいは制度の実効性の確保など、解決すべき問題も多くございます。  さらに、現在の防犯登録は、住所の移転や自転車の譲渡、廃棄等に伴う変更登録が必ずしもなされておらず、防犯登録に自転車の所有関係をより正しく反映させるための取り組みがまず必要でございます。その上で、関係者の意見を聞きながら、防犯登録の表示を見えやすくする方法についても課題を整理し、研究してまいりたいと考えております。 ◯吉田委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。  次に、産業振興の観点からご質問いたします。  世界の展示会、見本市産業を見ますと、各国が国としてその育成に取り組んでおり、展示会産業は激烈な取り込み競争に見舞われております。展示会を開催すれば、そこで新たな商取引が行われるばかりでなく、その開催に先立って工事を行う、あるいは展示会に集まる人々による交通費や宿泊費、飲食費の支出などが、回り回って大きな経済波及効果を生み出します。  平成二十二年度の経済産業省の委託調査によれば、国内の展示会産業の一年間の総支出は五千六百五十四億円ですが、それがもたらす波及効果は、直接効果五千三百九十七億、間接の一次波及効果三千九百五十九億、さらに二次波及効果が二千四百九十一億円であり、合計一兆一千八百四十八億円と大きな経済波及効果をもたらすと測定されています。  一の展示会支出に対して二・二倍の誘発効果があるわけで、展示会は、またこれ毎年開催されるということもあり、経済効果は極めて大きなものになります。日本のような資源の少ない国にとって、戦略的に取り組むべき産業だと考えます。  都は、我が国最大の八万平米の展示会面積を有する東京ビッグサイトを建設し、展示会見本市を開催する場を提供していますが、東京ビッグサイトのこれまでの実績と現状について伺います。 ◯前田産業労働局長 東京ビッグサイトは平成八年に開設され、二十二年度末の総計で来場者数が一億四千四百七十七万人、展示会の開催数が四千三百四十五件となっております。開設以来、順調に利用を伸ばしまして、平成十九年度には来場者数が年間一千二百八十八万人、展示会の開催数が三百八十五件と、過去最高の実績を上げましたが、その後は減少傾向にあり、平成二十二年度は来場者数が一千百三十二万人、展示会の開催数が二百六十八件となっております。  しかしながら、依然としてその規模は全国一であり、中小企業の販路の拡大などを通じて経済波及効果を生み出すなど、東京の経済を活性化する重要な役割を持っております。 ◯吉田委員 展示会や見本市を数多く行うためには、展示場施設というハードが死活的に重要であります。これは航空産業であれば空港、海運業であれば港湾という基盤が重要なことと同様でありまして、展示会においては、その会場となる施設の規模がその産業の規模を規定することになります。  ビッグサイトは我が国最大の展示場ですが、大変残念なことに、我々が取り寄せた資料によれば、世界で六十番目の面積です。我が国の展示場の総面積を見ても、アメリカの約十九分の一、中国の約十二分の一です。さらに上海やソウルなど、アジア各国の幾つかの展示場では拡張を計画しています。  東京、さらには日本の産業振興を一層進めていくために、拡張を含め、東京ビッグサイトのあり方について調査研究をすべきと考えますが、来年度、予算措置があるか、お伺いいたします。 ◯前田産業労働局長 施設を管理しております株式会社東京ビッグサイトは、常時その営業活動を通じて、展示会等の需要を把握するとともに、展示会に関する国内外の整備状況等につきまして情報の収集に努めております。そして、この情報は東京都も共有しております。  また、東京ビッグサイトは二〇二〇年のオリンピック招致に際しまして拡張計画がございます。  なお、東京ビッグサイトは、平成八年のオープンですので、十六年が経過し、建物の各部位にふぐあいや劣化が生じていることなどから、現在、約三百億円をかけて大規模改修工事を行っております。 ◯吉田委員 これは世界の展示会産業の趨勢など、基本的な事項を調査研究すべきであるわけです。資料要求をいたしまして、全世界の産業見本市の開催本数、これについては資料が出てまいりました。しかし、この規模、これは同じ一本でも一千億円の展示会と百億円の展示会では、十本分の差があるわけです。まだ東京都がきちんとこういう基本的な事項について調査をしていただく予算計上していないということを、私はちょっと残念に思っております。  世界を見てみますと、中国では、展示会場を整備し、展示会産業を発展させることを五カ年計画に位置づけ、国を挙げて推進しています。また、韓国では二〇〇八年、展示会産業発展法を制定し、国家戦略産業として展示会産業の推進を図っています。この法律の制定理由として、主要先進国では展示会産業を国家戦略産業と認識し、政策的に育成しているからということであります。  これは重要な点でございますが、ビッグサイトの建設費は坪単価三百五十七万円でありました。しかし、世界の展示場の坪単価は、この業界の方々からすると、三十万円から五十万円が坪単価の目安なんだということであります。参加者は立派な建物を見に来るのではない、物を見に来るのだから、建物は簡素でいいんだと、倉庫みたいなものでいいんだとのことでございます。  知事が所信表明されていらっしゃるとおり、日本のダイナモであります東京のビッグサイトに世界じゅうの優秀な製品が集まり、事業、ビジネスが活発化し、日本全体にその波及効果を及ぼしていくことが大事であります。  オリンピック招致の結論が出るのは来年の九月と、大分先であります。ぜひオリンピック招致の結論が出てからといわずに、東京ビッグサイトの拡張の準備に取りかかるべきだし、最低限、展示会産業の育成や展示場整備の国際的なこの激烈な動向について、調査研究をすぐにでも始めていただきたいと思いますが、知事のご見解を伺います。 ◯石原知事 ご指摘のとおり、日本の代表的な展示場であります東京ビッグサイトは、もう外国に比べてかなりかなり見劣りがいたします。  実はビッグサイトの前に幕張にできましたけれども、地の利もあって、結局ビッグサイトが非常に利用率が高くなって、一時は一〇〇%ということでしたけれども、幕張を合わせても距離が離れ過ぎていまして、これは全然効用がない。私は当然、オリンピック云々にかかわらず、オリンピックを打ち出しましたのは、その期間だけあそこを一応メディアセンターにするつもりでおりますけれども、当然、その後はあくわけでありますから、今あるアネックスも含めて、あの左右にあります土地はもうフルに利用して、私はできる限りの拡大をできるだけ早くやりたいと思っております。 ◯吉田委員 ありがとうございます。さすがというか、ぜひご期待を申し上げます。  次に、島の保全、領土の保全についてお伺いいたします。  (パネルを示す)東京都が所管する島しょと、その島しょ群を基点として広がっている排他的経済水域の重要性について、沖ノ鳥島の問題を含め、私は五年前の平成十九年十二月と一昨年の二十二年十二月の一般質問において、知事にお聞きをさせていただきました。
     海洋国家日本の近海は、いうまでもなく、海底資源など、豊かな可能性を有しています。しかし、最近、急速に経済力と軍事力をふやし、覇権主義を隠そうともしなくなった共産党一党独裁の中国が、東シナ海、南シナ海のみならず、我が国の伊豆諸島を起点に、小笠原、グアム、サイパンからニューギニアに至る線を勝手に第二列島線などと呼んで線引きをし、ここを自国の管制する海域とするアンチアクセス・エリアディナイル、接近阻止・領域拒否、A2ADという海洋戦略を掲げ、この海域での調査活動を繰り返し、軍事演習を拡大しています。  一方、我が国政府は二〇〇九年、海洋資源確保などの観点から、排他的経済水域の重要性が高まっていることを踏まえ、排他的経済水域の保全、管理強化に乗り出し、その水域の基点となる離島を安定的に管理、保全するとした基本方針を策定し、対象となる全国九十九の島のうち、地図や海図に名称が記載されていなかった四十九の島について、命名作業を進めてきました。  昨年五月、これまで名前のなかった島のうち、地元での呼称がある十の島について名称を決め、今月二日には沖縄尖閣諸島の久場島周辺の北西小島、北小島、北東小島、あるいは大正島周辺の北小島を初め、三十九の島々に名前をつけました。この中には、伊豆諸島や小笠原諸島といった東京の十六の島々も含まれています。  ちなみに中国は、横暴にもこの命名に抗議し、これに対抗して翌日、尖閣諸島に附属する小島など七十一の島に独自の命名を発表しました。盗人たけだけしいとはこのことでありますが、今回の我が国政府の名前のない離島の名称の決定は、我が国の領土、領海、経済水域の保全と国土の防衛のため、国際法上も非常に意味のある重要な行為であると受けとめています。  さて、伊豆諸島の青ヶ島の南六十五キロにありますベヨネース列岩、この島でございます。上から見ると、こういう列になった岩、そして横から見ると、このように本当に列になった岩、名前のとおりでございます。このベヨネース列岩は、三個の烏帽子形の岩と数個の岩礁から成る面積約一万平米の島でございますけれども、我が国の排他的経済水域を連担させる、こうずうっと伊豆からつなげる、重要な基点になっています。さらに南の須美寿島とは五十三キロ離れており、まさに絶海の孤島でございます。  私が平成二十年三月に環境・建設委員会で質疑をした際、このベヨネース列岩のすぐ近くにあるベヨネース海丘では、一トン当たり金二十四グラム、銀千二百七十五グラム、銅、鉛、亜鉛などを含め、さまざまなベースメタル、レアメタルを含む、規模も品位も東北の黒鉱鉱山に匹敵する海底熱水鉱床が発見され、ベヨネース列岩は海洋資源確保のための重要な離島であることが確認されました。ちなみにその鉱床は白嶺鉱床と命名されています。  ベヨネースの名称は、十九世紀半ばのフランスの軍艦「バイヨネーズ」が発見したことに由来するとのことで、今回の国による離島の名称の決定に当たっては、国からの照会に対し、都は、ベヨネース列岩との名前のみ回答し、既に名前がついているものとして除外されています。  しかし私は、複数の島の総称として列岩という名称があるだけでは、極めて不十分、弱いと考えます。一つ一つの島にも名前をつけるべきであります。  そもそもベヨネースという名前にも問題があります。我が国の領土でありますから、いつまでも外国の軍艦の名前にしておくのではなく、日本語に由来するしっかりとした名前をつけるべきであります。  地名の命名は、地元の自治体からの要望を受けて国が決定するとのことでありますが、確認をしたところ、このベヨネース列岩は歴史上の経緯もあって、現在の法律上の解釈では、八丈島にも青ヶ島にも属さない、東京都直轄の位置づけとのことであります。そうであるならば、名前をつける立場にある都が、一つ一つの岩に名称をつけるべきですし、その行為こそが、我が国の領土と権益を保全する上で非常に重要だと思います。  このベヨネース列岩は、周囲海域が波浪の強い海域で、波浪の巣だということで、別名ハロース島、ハロース岩といわれているそうです。そして、気象庁と海上保安庁の資料にも、三個の烏帽子形の岩礁と数個の小岩礁から成るとございます。  そこで、この島々を、例えば波浪巣列岩という名称を与え、三つの烏帽子形の岩について、北烏帽子岩、中烏帽子岩、南烏帽子岩、小さな岩礁については、国の命名法に倣って、東小岩、西上小岩などとすればよいのではないかという提案をさせていただきます。  広く都民に名称を募集し、知事を長とする、市町村合併のときのような選考委員会を設けて検討していただいて、この東京都の、かけがえのないこの離島に名前をつけていただきたいと思います。  今回、国が命名した島々には、尖閣諸島の附属の岩礁を含め、このベヨネース列岩の岩礁よりもっと小さな島に名前をたくさんつけているんです。多数含まれているんです。  今回の政府による離島の命名への取り組み、中国の横暴な命名行為に対する意見も含めて、このベヨネース列岩の各島への命名についての、知事の率直なご見解を伺います。 ◯石原知事 大変大事なご提言で、全く賛成であります。  東京都下になりますが、神津島の西南の関東有数の漁場であります銭洲という群島があります。もちろん、無人でありますが、ここにもダルマ、小ダルマ、ヒラッタイとか、一つはネープルスという、イギリスの駆逐艦が座礁して沈んで、残骸が残っていますけれども、その名前がついておりますが、いずれにしろあそこは銭洲という名前で呼ばれていて、ちっちゃな岩にそれぞれ名前がついております。  当然、私は提言のとおり、東京都下にあります日本の確固たる領土にきちんとした名前をつけること、これはそこへ余り漁師は行かないんですけれども、地元の人たちの意見を聞いて、今ありました俗称もあるようですから、そういうものをうまくもじって名前をつけることは大賛成でありまして、責任を持ってやりたいと思います。 ◯西岡副委員長 吉田康一郎委員の発言は終わりました。(拍手)      ───────────── ◯西岡副委員長 田中たけし委員の発言を許します。    〔西岡副委員長退席、鈴木(あ)副委員長着席〕 ◯田中委員 まず初めに、エネルギー政策について伺います。  いうまでもなく、電力エネルギーは国民生活において欠くことのできないものであり、国内産業を支え、経済の高度成長とともに、電力供給体制も拡大してまいりました。人口が最も集積している大都市東京が最大の電力消費地であり、その必要電力の多くを、新潟県や福島県など都外に依存しております。  今回の東日本大震災により福島第一原発の事故が発生し、東京への電力安定供給が困難となり、電力供給体制のもろさが露呈いたしました。  このような中、国は国家の存立に直結するエネルギー戦略をいまだに描けておらず、原発の定期検査後の再稼働がいまだ見込めない中、電力の安定供給体制が不安視されており、一刻も早く新たなエネルギー戦略を打ち立てるべきと考えております。  その一方、国の対応が全く進まない中、都民生活を守り、都内産業を維持発展させていくためにも、東京がみずからの電力確保を求められております。  そこで、都はいち早く行動を起こし、百万キロワット級の天然ガス発電所の設置や、自立分散型エネルギーの確保などに取り組んでいます。特に、昨年十二月に公表した「二〇二〇年の東京」において、東京産電力三百万キロワット創出プロジェクトを掲げ、都内の発電能力を倍増するとしております。東京は、東京電力管内の約三割に当たる電力を消費しているものの、使用電力の実に約八割を都外に依存していることから、極めて有効なプロジェクトであると評価できます。  そこで、三百万キロワット創出プロジェクトに象徴されるエネルギー戦略を打ち出した経緯と基本的な考え方について、また改めまして、三百万キロワット創出プロジェクトに取り組む際の課題点についてお伺いをいたします。 ◯秋山知事本局長 昨年、東日本大震災によって、福島第一原子力発電所や火力発電所が被災したために、東京におきましても計画停電や夏の厳しい節電対策など、電力不足への対応に追われたところでございます。  大量の電力を消費する東京ですが、都内の発電能力は震災前年の最大使用電力千七百万キロワットの約二割にすぎず、遠隔地からの送電に頼ったエネルギー供給体制の脆弱性があらわれたものというふうに思っております。  こうしたことから、都は、いかなる災害に直面しても都市活動を維持していくというために、「二〇二〇年の東京」計画においてエネルギー戦略を都市政策の一環として明確に位置づけたところでございます。その中で、エネルギーの安定供給体制の構築、自立分散型エネルギー源の確保、エネルギー利用の高効率化・最適化の三つを基本に、経済成長と低炭素化を両立させる新たなエネルギー政策を強力に推進することといたしました。  その象徴的な取り組みといたしまして、三百万キロワット創出プロジェクトを打ち出したもので、百万キロワット級の発電所の設置、自立分散型発電の拡充、住宅への太陽光発電の導入を初めとする再生可能エネルギーの普及等により、二〇二〇年までに東京産電力の倍増を目指していくことを目標に掲げたものでございます。  そのためには、都みずからの取り組みはもちろんでございますが、民間の力の活用や、電力事業への多様な主体の参加促進を図っていく必要があることから、都といたしましては、官民連携インフラファンドの創設や、都市開発と連動した取り組みを積極的に推進するとともに、九都県市とも連携しながら、新規参入を阻む規制の緩和、撤廃を国に強く要求をしてまいります。 ◯田中委員 ご答弁いただきましたように、エネルギー政策を都市政策の一環にしっかりと位置づけ、そして、都が主体的に電力創出をしていくことは大変意義深いことだと思っております。そして、九都県市連携により規制緩和を要求していく中で、私はぜひ、今回の三百万キロワット以上のさらなる創出に向けての取り組みも大いに期待をしていきたいと思っております。  次に、この三百万キロワットのプロジェクトの中の自立分散型エネルギーについて触れてまいります。  災害発生時、都民生活を守るため、都の果たすべき役割は拡大しております。特に、自立分散型発電は、各所の都施設を維持し、都の役割を継続的、安定的に果たしていく上で重要であると考えます。  そこで、都施設への対応について、何点かお伺いをいたします。  まず、港湾施設についてお伺いをいたします。  私の地元品川区には大井ふ頭がありますが、東京港最大のふ頭であり、港湾局の主要施設の一つであります。災害発生時においても港湾機能を維持していくためには、防災、危機管理機能を高めることが極めて重要であると考えます。  一方、この大井ふ頭周辺には、既に品川火力発電所、大井火力発電所、さらには東日本大震災の復興支援のため、タイ王国から提供を受けたガスタービン発電施設が設置されている地域でもあります。  このような地域での対応に際しては、近隣に対する配慮も必要と思っております。例えば、同地域には品川清掃工場があり、この清掃工場でごみ焼却時に発生する焼却熱を活用し、蒸気タービン発電を行うとともに、近隣にある八潮団地への冷暖房用熱供給を行っております。このように、コージェネレーションにより熱エネルギーを近隣施設に供給し、有効活用することができれば、エネルギー効率も高まり、環境への負荷も軽減され、港湾施設近隣のまちの魅力も高めることができます。  そこで、震災による電源喪失に備え、大井ふ頭の電力をバックアップする発電施設設置の必要性をどのように認識されているのか、あわせて、近隣施設へのエネルギー供給も検討すべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。 ◯中井港湾局長 東京港は、震災により電力供給が途絶えた場合でも、緊急救援物資の受け入れや首都圏の経済活動を維持していくために、海上コンテナ輸送を確保していく必要がございます。  そのため、耐震強化岸壁を有する大井ふ頭において、コンテナターミナル用としては世界的にも例を見ない自立分散型ガス発電施設の設置を検討しており、来年度は調査設計を実施する予定としております。  これにより、物資の積みおろし機能やコンテナの冷蔵機能等を確保するとともに、夏場の電力使用制限時にも必要な電力供給が可能となるなど、東京港を荷主や船会社にとって災害に強く安心して利用できる港としてまいります。  また、お話のあった近隣施設への活用につきましても、エネルギー効率向上といった点で好ましいものであり、近隣の需要や発電施設の運用状況等を踏まえつつ、可能性を探求してまいります。 ◯田中委員 東京の多くの港湾施設の近隣には、商業施設等、多くあります。今後の電源設備の展開に際し、コージェネレーションによる熱供給を行うなどの対応もぜひご検討いただきたいと思います。  次に、水道事業における電力確保についてお伺いいたします。  さきの大震災では、東北地方を中心に広域的な停電が発生し、数日間にわたる断水の被害に見舞われました。また、計画停電の際には、都内においても、多摩の一部地域で断水や濁水が発生し、その影響は約二十六万件にも及びました。大規模な浄水場が停電した場合や、人口や産業が集中する区部などで、計画停電の実施された場合に、その影響ははかり知れませんが、仮に今、浄水場への電力供給が途絶えた場合、東京の水供給にどのような影響が生じるのか、お伺いいたします。 ◯増子水道局長 水道局ではこれまで、広域的な停電に対して一定の給水が確保できるよう、浄水場における自家用発電設備の整備を進めてまいりました。  しかし、今回の被災地における被害状況を踏まえますと、浄水場への電力供給の途絶に加え、地震等により施設に不測の事態が生じることも考慮する必要があります。仮に今、このような事態が東京で発生した場合には、現状の自家用発電設備の能力では、浄水処理や送水、配水に必要な十分な電力を確保できず、その発生状況によっては、断水被害や大幅な水圧の低下が広範囲に生ずることも想定されます。 ◯田中委員 今ご答弁いただきましたように、大変大きな影響が見込まれております。  本定例会の我が党の代表質問に対し、水道局からは、新たな安全度という考え方のもと、すべての浄水場で電力の自立化を推進するとの答弁がありました。電力の供給が途絶えても給水を継続していくことは極めて重要であり、一刻も早く取り組む必要がありますが、電力の確保に向けた具体的な取り組みについてお伺いをいたします。 ◯増子水道局長 さきの大震災の教訓を踏まえますと、災害時等における水道事業の継続には電力の安全度向上は必須であり、電力事業者からの供給のみに頼らない電力の確保が不可欠であります。  このため、まず大規模浄水場にその能力を最大限に発揮させるための自家用発電設備を増強してまいります。具体的には、平成二十四年度から東村山浄水場において増強工事に着手いたします。また、その他の浄水場や給水所等におきましても、整備に向けた調査設計を順次実施してまいります。  こうした取り組みにより、自家用発電設備の能力を高めて、浄水場等における電力の自立化を図り、非常時におきましても、給水の確保に全力を期してまいります。 ◯田中委員 ぜひ一刻も早い対応をお願いしたいと思います。  この自家用発電設備は、電源喪失時に緊急活用されるものでありますが、今後も電力供給不足が想定される中、電力需要が伸びる時期などにも積極的に活用すべきと考えますので、対応のほどよろしくお願いをいたします。  次に、電力に関しての関心事項である電力料金の値上げについてお伺いをいたします。  一月、東京電力が突如、電力料金の値上げを発表いたしました。発表の後、私の地元でも、電力を多く使うメッキ業の方々や金型のまち工場の方、一円、二円の経費を切り詰めて経営を行っている生鮮食料品の方などからも心配の声を伺いました。我が党は、経済への影響、とりわけ多くの中小企業への影響が大きいことから、いち早く東京電力に料金値上げに至る経緯、人件費削減や資産売却等の内部努力の状況説明を求め、さらなるコスト削減を行い、値上げ幅を圧縮するよう強く求めました。  今般、東京電力から値上げの緩和策が示されましたが、内容は不十分といわざるを得ず、役員賞与カットや物品調達契約の見直しなど、さらなる内部努力の上積みを求めております。  都において、猪瀬副知事が、経済産業大臣、原子力損害賠償支援機構、東京電力へと直接折衝しているのは承知しております。そこで、企業活動に影響が大きく、産業振興にもマイナスとなる電力料金問題に関する取り組みについて、知事にお伺いをいたします。 ◯石原知事 電気料金の値上げが、東電が口走っているような値幅で上がったとしますと、これは中小企業には致命的な影響を与えるわけでありまして、それを勘案して、この問題については執行機関と議会とがタッグをしっかり組んで当たらなければならないと思います。  東電は、自分の責任や置かれた立場を自覚もせずに、値上げは権利だなどと口走っていますけれども、内部努力や中小企業への配慮なしで、とにかく自分の、何というのでしょうかな、組織なり体制の合理化というものを義務としても果たさないくせに、こういうことを口走っていることは、本当に論外だと私は思います。  さらに、政府はこの問題を一企業の経営の問題にすりかえようとしていますけれども、これはやっぱり政府も国全体のことを考えて、相当はっきりした発言を東電に向けてすべきだと思っています。  ゆえにも、国との交渉に非常にたけた猪瀬副知事にこの問題に取り組んでもらっておりますので、彼も非常に綿密な調査をして、いろいろ事を構えておりますが、詳細は猪瀬副知事から聞いていただきたいと思います。 ◯鈴木(あ)副委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。 ◯猪瀬副知事 電気料金の値上げ、六千八百億円の燃料費の高騰だというふうになっていますけれども、そのうち千九百億円の内部努力、合理化で、残り約五千億円を対象とすると、こういうことなんですけれども、千九百億円の合理化というのは非常に少ない金額でありまして、それをきちっと見ていかなければいけないということであります。  しかも、一律二・六円の、中小企業も大企業も関係なく一律という、非常に大ざっぱな値上げの仕方なのであります。さらに、値上げは権利だというけれども、権利というのは、競争があるから値上げは権利だということで、PPSという独立系の事業者は三・五%しかないので、競争していないわけですから、値上げは権利だといういい方も傲慢であります。  このため、東電、国に対して、原子力損害賠償支援機構とか、値上げの根拠とか中長期的な経営見通し、経営合理化の具体的な内容についての情報開示、中小企業への配慮を特に求めました。  また、二月十日には、九都県市を代表して経済産業省に行き、資源エネルギー庁長官にも直接要請したわけです。  この間、東電幹部を何回も呼びまして、値上げの根拠についてもう少し明らかにしろということで、例えば有価証券報告書を見ても、子会社の名前が四十社しか入っていなくて、外百二十八社と書いてある。外って何だということで、全部出せということで、出してきたら、四百八十名の役員のうち百七十人が東電のOBか出向であると。そういう会社に東電が仕事を出すわけですから、ゆるゆるの関係になるわけですね。  そういう中でちょっと、ご存じだと思いますが、この間話題になったのは、東京リビングサービスという福利厚生施設の会社が六本木の駅から二分のところにあると。これが高級飲食店を経営したりしているわけですね。福利厚生といいながら、高級飲食店を経営しているわけで、こんなおかしなことがまかり通っていたわけでありますが、こういうのは氷山の一角で、東電の発注がどういう形になっているかと全部見直すと、関連会社の取引がかなりある。これを三割削減すると、年間五百億円削減される。  原子力損害賠償支援機構、原賠機構の方では、積み上げ方式で一割だといっていたんですけれども、三割だということにして、そして、枝野大臣にこの三割だということを公開の席で約束させましたので、これからまだ道のりは長いですけれども、三月末に原賠機構と東電で総合特別事業計画ができますが、そうすると、今度は家庭向けの値上げということになってくるわけでありますが、家庭向けといいながら、実は五十キロワット以下の中小企業、実は中小企業七十万社のうち、九割、六十三万社は、今度その小口の家庭向けのところに入ってくるんですね。  ここをこのまま値上げさせるわけにいかないわけでありまして、したがって、東電に対してもっと厳しい形でいろんなものを要求していくことが必要だということで、最後になりますが、石原知事とも相談の上、株主提案権を行使して、株主総会の場で東京都の意見、提案を表明していくつもりであります。それまでも途中、できるだけのことをやっていきます。  以上であります。 ◯田中委員 力強いご発言、ありがとうございます。  今回の電力料金の問題は、値上げにより大きな影響を受ける、特に中小企業者の立場に立ち、対応しなくてはならないと思っております。また一方で、東京電力には原発事故の収束や原子力損害賠償等の責任もあり、原発事故で多くの被害を受けている被災者の方の立場もしっかり踏まえないといけないんだろうと思っております。  いずれにしても、その料金値上げで影響を受ける中小企業者に向けて、最善最良の対応を東京電力に求めていくため、先ほど知事もおっしゃっていましたが、しっかりと議会とも連携をしていただく中で、ご尽力をいただきたいと思っております。  国はエネルギー戦略をいまだに描けずにいる中、国に先駆け、東京都みずからがエネルギー問題に対する取り組みを行うことは、震災後の危機的状況にある日本において、東京がいち早く活力を取り戻し、東京の活力が被災地の復興につながり、そして日本の再生につながるものと確信しております。東京の活力の源泉がエネルギー問題の解決であり、東京都が率先してこの東京産電力三百万キロワット創出プロジェクトに取り組むことは、大変意義深いものがあると考えております。  このプロジェクトの実現には多くの時間を要し、継続した石原知事の力強いリーダーシップが求められ、特にこのプロジェクトの立ち上がりから定着するまでの数年間の取り組みが重要であると認識しております。このプロジェクト実現に大いに期待をしておりますが、唯一、一点だけ、心にひっかかる点があります。  今定例会の知事施政方針表明の最後の部分で、石原知事はベトナム戦争への取材をきっかけに政治家を志したこと、東西冷戦の終えんにより政治的対立軸が失われ、国際情勢が複雑化している中、日本の政治家が危機感を欠き利己的であるなど、将来の日本を案じていることなどが述べられております。  私が知事からこの内容を本会議場で伺ったのは初めてではなく、実は二回目であります。  一回目は衆議院本会議場で、国会議員在職二十五年を迎えた際、議員辞職を表明された演説でありました。知事の施政方針を伺い、トラウマとなっている私は、当時のこのことを思い出し、何か今回の施政方針に知事は特別のメッセージを託しているのではないかと受けとめております。  いずれにしても、石原知事には引き続き東京の発展、被災地の復興、日本の再生のために、志を同じくする我々とともに、エネルギー問題を初め数多くの課題を乗り越え、首都東京の使命を果たしていただきたく強く考えております。  そこで、日本の再生に欠くことのできないエネルギー政策についてのご見解と、東京都が果たすべき役割、特に東京の活力の源泉となる東京産電力三百万キロワット創出プロジェクト実現に向けた知事のご決意をお伺いいたします。 ◯石原知事 この天然ガスを使っての東京自前の発電所をつくろうということに際しての、二つのヒントがあります。  一つは、大分前ですけれども、今、東京ガスが運営しているLNGの火力発電所を、実は建設中に私、私の大学時代の友人が東ガスの役員をしていたので、ぜひちょっと見てくれということで行きました。  それともう一つは、あの三・一一の災害が起こったときに、この間亡くなりましたけれども、森ビルの森君が建設した六本木ヒルズが、あれはたしかゴールドマン・サックスの強い要望で、彼らがあそこに事務所を借りるということの必要条件として、自家発電をちゃんとやってくれということがあったそうでありまして、あの地下に非常に大きな発電所があります。  そういう二つの事実を勘案して、今度の災害が起こったときにこの問題について考えたわけでありますが、早速それを受けて、猪瀬副知事が現地に行ってくれました。今、稼働している発電所を見学、視察した上で、これはとにかく東京で自前でやろうということの結論になったわけでありまして、これは決して簡単にできるものじゃありませんし、あなたが心配してくれていることはありがたいんですけれども、私だってそう長く生きているわけじゃありませんから、どうなるかわかりませんが、できるだけ早く東京のために実現したいと思っています。 ◯田中委員 まだ若干、トラウマが残った状態で、次の質問に入りたいと思います。  次に、都区のあり方に関してお伺いをいたします。  今、大阪では、橋下大阪市長のもとで大阪都構想を掲げ、大阪の復活、大大阪の誕生に向け、具体的取り組みを次々打ち出しております。東京に次ぐ第二の都市である大阪が活力を取り戻すことは、日本の発展の原動力となり、将来、リニア中央新幹線の開通でますます近くなる東京の発展にもつながるため、今後の大阪の発展を大いに期待しているところであります。  橋下市長が提唱している大阪都構想は、大阪府と大阪市が二重行政を行っているため、多くのむだが生じ、政令市である大阪市区域内の行政に対し、ほとんど大阪府が関与できず、大阪市を含む広域行政の視点から、大阪全体の発展が見込めないため、大都市行政と地域行政との役割分担の問題点を明らかにし、解決していくものと認識をしております。  大阪の改革では、東京の都区制度を模範とし、新たな大都市制度をつくろうとしております。当然、東京と大阪ではさまざまな条件が異なるため、全く同じ制度をつくるものではありませんが、東京の都区制度は六十年以上の実績を有しており、大阪にとって大いに参考になるものと認識をしております。既に公会計制度などで、大阪が都の取り組みをもとに改善を進めており、今後とも大阪との間では連携支援が必要だと考えております。  しかし、大都市行政を担う東京都と地域行政を担う特別区との間でバランスをどのようにとり、両立させていくかという視点で、大阪からは模範とされている都区制度にも、まだまだ多くの課題があると認識しております。  そこで、都区の間では、これまで大都市運営と身近な行政サービスとの両立を目指し、どのように取り組んできたのか。また、今後、どのような姿を目指していくのかお伺いをいたします。 ◯笠井総務局長 特別区の区域では、都は、消防や上下水道など大都市の一体性、統一性確保のための必要な事務を行っております。  一方、都は福祉事務所や保健所を初め、平成十二年には清掃事業など住民に身近な事務を順次、区に移管してまいりました。これらは、区との真摯な協議による成果であります。
     現在は、昨今の社会情勢の変化を見据え、都区のあり方を根本的かつ発展的に検討するため、都区のあり方検討委員会において、事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度の三点について議論を進めているところでございます。  少子高齢化の進展などに伴い、効率的で効果的な行財政運営がより求められております。今後とも、都区のあり方検討を含め、東京の自治を担う都と区が真摯に協議し、住民サービスの維持向上はもとより、大都市の一体的運営による東京の発展を目指してまいります。 ◯田中委員 今、区と真摯に協議していくというご答弁がありました。これまで制度がさまざま変遷を経てきたことからわかるように、この協議にはゴールはなく、時代背景や都区を取り巻く状況に応じて、常に考えていかなければならない課題であります。  都民でもあり、区民でもある二十三区住民にとっての最良の行政が施せるよう、都が大都市経営のリーダーとして、今後とも区とともに住民サービスの充実向上に向けた取り組みを続けていただくことを強く希望いたします。  次に、財政運営についてお伺いいたします。  今日の東京都が置かれている経済状況は、リーマンショック以降、ギリシャを初めヨーロッパ諸国での債務危機、歴史的円高、東日本大震災やタイの水害などの自然災害等の影響を受け、依然厳しい状況にあり、さらには法人事業税の不合理な暫定措置が継続するなど、都税収入も五年連続で減少し、平成十九年度と比較すると一・四兆円もの収入減となるなど、極めて厳しい財政状況のもとでの予算編成でありました。  一方、これまで蓄えた基金の有効活用や必要最小限の都債の発行により、東日本大震災からの復興、高度防災都市東京づくり等々、都民が安全で安心して過ごせる東京の実現に向けた予算編成が行われたものと思っております。  このような厳しい財政環境にあっても、積極果敢な予算編成が行える背景には、石原知事の強力なリーダーシップのもとでの聖域なき事業評価や公会計制度の活用によるものと思っております。  そこで、何点かお伺いをいたします。  毎年行われている事業評価で、今年度は「二〇二〇年の東京」を策定するタイミングで、「十年後の東京」に掲げられた事業を評価の重点対象としたとのことですが、具体的にはどのように評価されたのか、お伺いをいたします。 ◯安藤財務局長 「十年後の東京」への実行プログラム事業の評価に当たりましては、これを重点対象としたことを踏まえまして、昨年の夏前から、それぞれの事業を所管する局や知事本局と連携をしながら、事業実績などの分析を進め、課題や問題点を早期に整理をいたしました。その後、予算編成の過程で、それぞれの事業を改めて検証いたしまして、今後、拡大、充実するのか、あるいは見直し、再構築なのかといった評価を実施いたしました。  その結果は、「二〇二〇年の東京」計画とともに、二十四年度予算に反映しておりまして、百九件を公表しております。具体的には、民間社会福祉施設の耐震化の推進事業につきまして、補助対象の拡充など、支援のあり方を再構築したほか、運営方法の工夫などにより、東京ジョブコーチ支援事業の経費削減などを実現しているところでございます。 ◯田中委員 知事肝いりの事業にも評価が行われ、聖域なき事業評価の結果、「二〇二〇年の東京」策定に大きく生かされたことは、国のパフォーマンスでしかなかった事業仕分けとは全く異なり、高く評価するものであります。  また、積極果敢な予算編成が行えるのは、石原知事が常々発言されている公会計制度の導入成果が大きいと考えます。既に都では、新しい公会計は、事業評価での活用や職員の意識改革を初め、都政改革の重要なツールとなっておりますが、一方で、一般の都民や他の自治体から見ると、具体的にどのように活用されているのか、わかりにくいのも実情であります。  そこで、公会計に関する理解を深めるため、具体例を交えながら、都の活用方法について伺います。  毎年行われている予算案の概要の中に、今年度の評価結果の事例として、先ほど我が党三宅正彦議員が取り上げておりましたが、船舶建造費補助による代替船の建造の評価が出ておりました。この事例は、公会計を活用し、発生主義の視点から分析がなされておりますが、どのように評価されたのか、事業評価を所管している財務局長にお伺いいたします。 ◯安藤財務局長 お話の事例は、先ほどもご質問にございましたけれども、青ヶ島へ運航している「還住丸」と「黒潮丸」という二隻の船の老朽化を受けまして、修繕しながら現行の二隻を使い続けるか、それともこの際新たに船を建造して一隻に集約するかという検討に当たりまして、それぞれのコストを比較したものでございます。  単年度の現金支出に着目いたします従来の官庁会計によりますれば、新たに船を建造するには、どうしても一時的に大きな現金の支出が必要となりますので、なかなか踏み切れずに、最後の最後まで修繕を繰り返しながら現在の船を使い続けるという判断になりやすいところでございます。  他方、発生主義により試算いたしますと、船の耐用年数を考慮した減価償却費に維持経費も加えた一年当たりのコストでは、乗組員数の見直しや燃費の向上などにより、新たに船を建造した方が、今の船を使い続けるよりも、年間一千万円も有利になるということがわかったところでございます。  また、船の大型化による就航率の向上なども期待できますので、より効率的、効果的な手法として、新たな船の建造を選択したという事例でございます。 ◯田中委員 単年度の現金支出だけではなく、将来にわたるトータルコストの視点から、客観的数値に基づき判断が下され、予算編成の中で活用されているものと、改めて確認いたしました。  今日の厳しい経済情勢の改善が見通せない中、引き続き安定した都政運営を行っていく上で、事業評価による施策の検証を強化し、公会計制度を活用し、都財政の基礎体力を一層高めていく必要があると考えております。  公会計制度は、石原知事が苗を植え、着実に実を結び、都政運営、予算編成の中で大きな成果を上げておりますが、さらに、大阪府や町田市など、都の公会計制度を導入する自治体がふえてきていることも評価のあらわれと認識しております。今後、導入自治体をさらにふやしていく上でも、導入効果をより具体的に発信していくことが必要だろうと思っております。  今後とも、新しい公会計から得られる情報も駆使し、都財政の基礎体力をさらに強化していくべきと考えますが、全国に先駆けて改革を推進してこられた石原知事のご見解を、改めてお伺いをいたします。 ◯石原知事 まち中のどんな零細企業でも、会計制度というのは発生主義・複式簿記でやっているわけです。ところが、世界を眺めまして、先進国の中で、大福帳に似た単式簿記なんてばかなことをやっている国は日本だけ。世界じゅう見回しましても、国家として単式簿記というわけのわからぬ会計制度をやっている国は、近くの北朝鮮とフィリピンとパプアニューギニアだけですな。とにかく、財務諸表がない国家なんていうのは、これは考えないと。これは企業としてはあり得ないことですけれども──単式簿記じゃきちっと財務諸表が出てきませんからね。  民主党も、財務省に首根っこを押さえられているものだから、会計制度を変えようということはいえずに、結局、事業仕分けというナンセンスなことをやって、何も結果が出ないというていたらくでありまして、私は、この間も歴代の経団連の会長にいったんですけれども、財界も政党に、与党に金を出すだけじゃなくて、文句もつけろと。君らが知らないだけの話で、企業じゃ当たり前かもしらぬけど、国として当たり前のことを国がやっていないんだから、財界も、圧力とはいわないけど、建言して、新しい会計制度、複式簿記・発生主義にしなさいということぐらいいったらどうだということを申しましたが、これは、やっぱり日本人もそうばかじゃありませんから、だんだん浸透していくと、私は信じております。 ◯田中委員 現在、特別区では公会計制度を導入しておりますが、すべて総務省モデルであります。民間企業、国際社会ではなかなか通用しないものだと認識をしております。  徐々に東京モデルの導入の機運が二十三区内にも高まってきておりまして、東京都の足元である特別区への導入促進をぜひお願いしたいと思っております。  次に、税収確保の視点からお伺いをいたします。  厳しい財政状況の中、税収確保は喫緊の課題であります。都税収入のうち、個人都民税が占める割合は約二〇%となり、固定資産税、都市計画税、法人二税に次ぐ基幹税目となっております。リーマンショック以降、落ち込んでいた都税全体の徴収率が下げどまってきたにもかかわらず、都税収入全体が上昇に転じない大きな理由は、個人都民税の徴収率の低迷であり、個人都民税の確保が必要であると認識しております。  しかし、個人都民税は、都が直接徴収するのではなく、区市町村が賦課徴収しております。その区市町村では、組織規模の制約から、税務の専門職員を確保しにくく、滞納整備のノウハウの継承もされにくい状況にあります。  都税収入に多大な影響がある個人都民税の徴収率を引き上げるため、各区市町村の実情に応じた都のきめ細かな対応が求められますが、厳しい財政状況の中、都として徴収率向上に向けどのように取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。 ◯新田主税局長 都では、平成十六年度に個人都民税対策室を設置いたしまして、区市町村からの困難事案の引き受けや、区市町村実務研修生の受け入れ、都職員の派遣等の支援を行い、税収の確保に一定の成果を上げてまいりました。その後、リーマンショック後の景気低迷等による徴収率の低下を受けまして、従来の取り組みに加え、滞納整理事例等の情報交換を行う収納実務担当者会議の設置、開催を初め、年々支援メニューの充実を図ってまいりました。  このように、都が触媒となることにより、区市町村が業務を進める上で有益な情報の共有化は、着実に進展してきました。さらに、今年度からは新たに、都職員が区市町村を訪問し、幅広くアドバイスを行う巡回相談や、区市町村が創意工夫した督促文書の展示会開催等の取り組みも進めております。 ◯田中委員 区市町村の税収入全体に占める個人の区市町村民税の割合は、市町村では約四〇%、特別区では約九〇%を占めており、各区市町村にとっても極めて重要な財源であります。そのような点から、都と区市町村が連携した取り組みは、区市町村の財源確保にも資するものであります。  区市町村財政が極めて深刻な状況にある中、現状を打開するため、より踏み込んだ対策を進めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 ◯新田主税局長 都では、これまでの取り組みを通して、都が有する滞納整理のノウハウを提供いたしますとともに、区市町村との信頼関係を築いてまいりましたが、今後は歳入確保という同じ目的のために協力してともに行動する、より強力な共同関係にステップアップさせていくことが必要と考えております。  そのため、新年度のできるだけ早い時期に、都と区市町村による個人住民税徴収対策本部を立ち上げ、区市町村の抱える課題を共有することで、区市町村全体の連携を強化しますとともに、より効果的な取り組みを推進いたします。  また、これまで区市町村からいただいた要望を踏まえ、地方税法の枠にとらわれず、必要に応じて都職員を柔軟に派遣することや、島しょ地域から転出した住民の滞納について、都が納税交渉や処分を行うなど、新たな事業にも積極的に取り組み、一層の連携強化を図ってまいります。 ◯田中委員 平成二十四年度編成、大変厳しい環境で行われましたが、引き続いて二十五年度以降も厳しい状況が続くかと存じます。しっかりと対応できる体制を整えていただきたく、お願いし、発言を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ◯鈴木(あ)副委員長 田中たけし委員の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、おおむね三十分休憩いたします。    午後六時十四分休憩      ━━━━━━━━━━    午後六時四十六分開議 ◯鈴木(貫)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  加藤雅之委員の発言を許します。 ◯加藤委員 昨日の大きな地震は、昨年の三・一一のことを一瞬思い起こさせました。私も被災地の海岸エリアを中心に視察を行いましたが、建物が根こそぎ波にさらわれた現実を見まして、自然の猛威に驚愕をいたしました。  そして、残された膨大な瓦れき。被災地の方が一日も早い復興を望んでいるのを妨げている大きな問題の一つが瓦れきであります。  我欲ゆえに瓦れき処理をめぐって信じがたい反対運動が起こっております。しかし、大多数の国民は、今は眠っているかもしれませんが、自分の住むまちや社会のために何かをなしてくれるに違いありません。  知事は、防災隣組を提唱されておりますが、防災対策としてはもちろん、日本人が持つ本来の美徳や正直さ、実直さを、東京をよくするために引き出すきっかけの一つになると思います。  そこで、日本の現状と未来を憂える知事の感想を伺います。 ◯石原知事 昨年の大災害の直後のボランティアを含めて、現地での人々の助け合いを眺めますと、外国人も非常にそれに感動したという話も聞きますが、日本人の本来持っている美しさがあらわれたなと思っておりましたけれども、どうもそれは残念ながら一時のことでありまして、その後の状況を見ますと、東北から非常に離れたところへ行ってみますと、震災の話題がほとんど口に上らない。  まして今度、あそこに山積している瓦れきの引き受けの問題になりますと、もう理由もなく反対をする人に行政が負けて、足踏みして事が進まないと。これは本当に私にとっては不思議なというか、嫌らしい話でありまして、私たちが路上で、もしだれかがけがをして倒れてたら、必ず走り寄って、多少手が汚れても助け起こしますけどね。それをしない、しようとしない自治体がある。そういうふうに規制する、ただセンチメントだけで反対する人たちが多いということも非常に残念な気がいたします。  こういうものを見るにつけ、私たち、もっと大事なものをこれから本気で取り戻していかないと、この国は日本人の運命共同体として栄えていかないんじゃないかという気がひとしおいたしております。 ◯加藤委員 今ご答弁いただきましたけれども、日本人の持つ本来のよさというものを引き出していくのがリーダーの役割というか、質だというふうに思います。そうした意味で、本当に石原知事にはリーダーシップをますます発揮していただきたい、そのようにお願いをしたいと思います。  次に、平成十六年九月に、石原都知事も総合防災訓練の際に立ち寄っていただいたとお聞きしました白鬚東地区の防災拠点について質問をいたします。  この拠点については、前任の石井義修元副議長も幾度か代表質問で取り上げ、都とともに整備を進めてまいりましたが、昨年の三・一一の大震災を受けて、改めてその防災拠点としての重要性を認識し、これをいざというときには最大限活用していかなくてはならない、そうした視点から取り上げをいたします。  白鬚東地区は、都が昭和四十四年十一月に策定した江東再開発基本構想における六拠点の一つとして、総合的な防災機能を有する地区として整備され、昭和五十七年におおむね完成をいたしました。堅牢な構造の住宅が長さ一キロにもわたって連なり、市街地大火の際には防火壁として、住民の避難スペースである東白鬚公園などへの輻射熱や熱風の吹き込みを遮断する機能を有しています。地図や航空写真を見ると、その重厚なたたずまいは、戦艦が連なっているようにも見えます。  それではまず、避難場所となっている東白鬚公園の防災設備について伺います。 ◯村尾東京都技監 都における防災公園は、災害時の避難場所や活動拠点であることから、これまで積極的に整備を進めてきており、特に大規模救出救助活動拠点となる十一公園につきましては、整備を完了しております。  お話の東白鬚公園は、東京都地域防災計画において、公園東側の高層住宅などと一体となって、震災時に拡大する火災から都民を守るための避難場所に位置づけられている防災公園であります。  公園には、消火用水ともなる二カ所の池を配置しており、周囲には耐火性の高い常緑樹が植栽されております。  さらに、防災機能を高めるため、マンホール式の非常用トイレやソーラー式園内灯などを整備してまいりました。  平成二十四年度には、緊急車がより進入しやすいよう、園路の入り口の改良を行うとともに、災害時に救護スペースともなる防災パーゴラ、かまどベンチを配置し、防災機能の強化を図ってまいります。  今後とも、震災時の避難者の安全確保や救出救助活動の拠点としての都立公園の整備を進めてまいります。 ◯加藤委員 次に、白鬚東団地の防災設備が非常にすばらしいんですけれども、二十四時間の監視室、そして地下に三千トンの貯水槽、非常用発電機で連続七日間の防災設備が運転可能、さらに、備蓄倉庫には単品補充用の医薬品一万二千五百人分があります。  三・一一の震災当日、同拠点の前を通る都道墨堤通りも、墨田区から台東、荒川、足立、葛飾方面などへと移動する多くの帰宅困難者であふれました。そして、白鬚東団地の自治会の皆様が、帰宅困難者に対し、トイレの案内、誘導などをされました。今回のことを踏まえ、今後は、非常用給水栓から飲料水の提供を行いたいと話しておりました。お配りしました一枚目の写真がその非常用給水栓です。  この給水栓が、二枚目の図にありますとおり、ここには十四カ所も設置されており、いざというときには専用の金具で蛇口を回せば水が出る大変便利なものとなっております。  団地自治会の皆様は、いざというときには、住人はもちろん、避難民をいかに守るかということを日ごろから真剣に考え、準備に当たっておられます。別名防災団地というように、防災は私たちの役割だと、そのように自覚をされております。  しかし、当初約十万人の避難人口を想定し、三千トンの貯水施設を備えて給水拠点となっておりましたが、新たな避難場所が指定されて、避難計画人口が減少し、加えて、周辺市街地の不燃化、そして、南千住に給水拠点ができたという理由で、平成十五年には、貯水施設を含む防災設備の削減案が都から墨田区に提案をされ、地域防災計画に基づく給水拠点から外れてしまいました。  都が貯水施設等の削減理由として挙げる周辺市街地の不燃化が進展ということにつきましては、この周辺地域に都の総合危険度一位の墨田三丁目、それから、同十位の東向島一丁目が入っており、まだまだ木密地域が多く残っております。削減理由にふさわしくないというふうに考えます。  また、南千住に給水拠点ができたということにつきましても、従来より距離的には遠くなり、橋を渡って隅田川を越えなければならないということで、適切とは思えません。  三枚目の配布資料を見ていただきたいのですが、白鬚東地区の東側には荒川四ツ木橋緑地の避難場所があり、約三万七千人が避難することになっています。しかし、そこは荒川の河川敷であり、水、トイレ、避難設備などはありません。  また、今回の震災では、足立区側で液状化が発生し、ゼロメートル地帯に住む住民にとっては、河川敷の避難場所は危険だという意識を持っております。津波の心配も重なって余計に不安を抱いております。  荒川四ツ木橋の避難場所に指定されている住民は、白鬚東に三千トンもの水がありながら、何でわざわざ隅田川を渡って南千住まで歩いていくのかと疑問を呈しております。いざとなったら白鬚東地区に逃げるといっております。それはやはり、白鬚東は屋根があり、飲み水があり、トイレがあり、避難場所と避難所の両方の機能を備えているからです。  だから墨田区は、荒川四ツ木橋緑地に避難する約四万人のことも考慮し、墨田区が作成した地域防災計画には、白鬚東地区が厳然と給水拠点として明記されているのです。  三・一一の震災で、改めて水の重要性が高まりました。非常時には水は足らないことはあっても余ることはありません。したがって、東日本大震災を踏まえ、都の総力を挙げて防災対策を講じていく必要があるこの今、地域にある既存の防災拠点としての機能を最大限維持活用していくべきです。白鬚東地区の防災拠点としての位置づけを改めて再確認しておく必要があります。  そこで、現在進めている地域防災計画の修正に当たっては、白鬚東など既存の防災拠点を最大限に活用することを明確にしていくべきと考えますが、都の所見を伺います。 ◯笠井総務局長 東日本大震災の教訓を踏まえ、首都直下地震など大規模災害に備えるためには、防災機能を有する既存の施設の活用も含め、東京の総力を結集した取り組みが必要でございます。  お話の白鬚東地区につきましては、ご指摘のとおり、地域住民の避難場所として指定されているとともに、避難者への給水のための貯水施設を整備するなど、高い防災機能を有しております。加えて、地域において積極的に防災訓練を行うなど、地域住民の方々の防災に対する意識も極めて高いものがございます。  このような状況を踏まえ、地域の防災対策を主体的に担う地元区とも十分協議しつつ、この地区が有する防災機能を最大限活用する方策を検討してまいります。 ◯加藤委員 地元自治体が一番地域のことを考えておりますので、今後とも十分な協議をお願いしたいと思います。  次に、白鬚東地区内の貯水施設の管理について伺います。  貯水施設については、先ほど申し上げたとおり、設置から三十年が経過し、中でも民間マンションの地下に設置されている貯水施設は劣化が著しく進行しており、早急な対応が求められる状況になっています。  先日、このマンションの貯水施設から水漏れが発生したことから、都の担当者にも現地に来てもらい、見ていただいたところです。  この民間マンションには、都が白鬚東地区の防災拠点を整備する際の市街地再開発事業に協力していただいた権利者の方も多く入居されております。さらに、このマンションの居住者の方々は、都の防災計画に協力する形で、自分たちのマンションで必要な水量以上の貯水施設を管理してきているという点からも、一般のマンションと同列に論じることはできないのではないかと、そのように考えています。  そこで、このような民間マンションの貯水施設については、これまでの経緯を踏まえ、都が所有する貯水施設とあわせて維持更新、管理を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯飯尾都市整備局長 白鬚東地区は、都施行の市街地再開発事業により、防災拠点として、高層住宅、公園などを一体的に整備した地区でございまして、現在、隣接する木密地域を含む周辺地域の震災時の避難場所に指定されております。  こうした経緯により、本地区の都営住宅や民間マンションの地下に設置されております貯水施設につきましては、これまで防災拠点の完成時の想定に基づく水量を確保してまいりました。この貯水施設の維持管理等につきましては、これまでの経緯や、今後修正が予定されている東京都地域防災計画を踏まえ、適切に対応してまいります。 ◯加藤委員 この防災団地の管理を担う都市整備局として、ぜひともしっかり取り組んでいただくよう要望しておきます。  次に、先ほど述べた区東部二次保健医療圏にある東京都リハビリテーション病院、ちょっと長いですので東リハというふうに呼ばせていただきますけれども、平常時は、東京都におけるリハビリ医療の中核として、また災害時には、白鬚東防災拠点内における医療救護活動の拠点に転換するという複合目的を有する病院として、平成三年に全面開設いたしました。  同年、東リハ病院の災害時医療救護計画を策定し、平成二十一年には、東京都及び墨田区の地域防災計画等の改定に伴い計画を改定し、災害用備蓄リスト等の見直しを行い、患者四百十名、医療スタッフ等二百名を想定し、約六百十名が七日間、自給自足を行えるよう、必要物品を備蓄しております。  また、災害時に、白鬚東防災拠点における医療救護活動の拠点としての役割を果たすため、墨田区が主催する墨田区総合防災訓練に地区医師会等とともに年一回参加するとともに、白鬚東団地自治会が主催する防災訓練にも参加し、トリアージ訓練を行うなど、連携をとっていると伺っております。  こうした白鬚東地区における取り組みは大変貴重であり、十分活用して、区東部二次保健医療圏の災害医療体制の整備を進めていくことが重要であると考えます。  そこで、今後の区東部二次保健医療圏の災害医療体制について伺います。 ◯杉村福祉保健局長 区東部二次保健医療圏では、地震等大規模災害に備え、現在、八つの災害拠点病院を指定しており、このうち都立墨東病院が中核となり、連携して重症者等に対応する体制を整えております。  また、お話の東京都リハビリテーション病院は、災害拠点病院ではございませんが、白鬚東防災拠点内に位置し、災害時には地域における医療救護活動の拠点となり、地元医師会の応援を得て傷病者への対応を行うことといたしております。
     今後、都では、二次保健医療圏ごとの特性に応じた災害医療体制を構築するため、地域災害医療連携会議の設置を予定しておりまして、区東部二次保健医療圏におきましても、この連携会議で東京都リハビリテーション病院の活用を含め検討を行い、地域の災害医療体制の強化に努めてまいります。 ◯加藤委員 地元の人が東リハに対する期待は非常に大きいものがあります。  先日、同病院を訪れまして、スタッフの方と意見交換いたしましたが、東日本大震災を受けて、医師の応援体制などさまざまな課題が出ていますので、地域災害医療連携会議でよく協議して対策をとっていただきたいと思います。  次に、木造住宅密集地域対策について伺います。  都が進める木密不燃化十年プロジェクトには、なかなか進まない木密地域の解消に向け、都と区が連携して不燃化を強力に推進することになっています。そのために特別の支援として、地域の状況に応じ、従来より手厚い支援を実施するとあります。  木密地域が解消されない理由の一つとして、例えば道路拡幅での立ち退き対象者が、住みなれた地域からやむなく違う地域に移転することはなかなか難しいと思います。高齢者や地元で事業を営んでいる場合はなおさらで、できるだけ同じ地域に残れる支援策が必要だと思います。そうした場合、住みなれた地域で共同化などに使える種地があれば、等価交換などで移転がしやすくなると考えられます。  そこで、木密地域の不燃化に向けて事業を円滑に進めていくためには、種地を確保することが必要と考えますが、都の見解を伺います。 ◯飯尾都市整備局長 木密地域において、建物の共同化や生活道路の整備を円滑に進める上で、種地となる土地の確保は、お話のとおり重要であると認識しております。  不燃化特区制度では、木密地域の改善に積極的に取り組む区に対し、期間と地域を限定して特別の支援を行うこととしておりまして、その支援メニューの一つとして、都有地を種地とすることを想定しております。  今後、先行実施における取り組みなどを踏まえ、区とも協議しながら制度の具体化を図ってまいります。 ◯加藤委員 墨田区としては、都の総合危険度一位の墨田三丁目地域などを木密不燃化十年プロジェクトの不燃化特区として申請したいと伺っております。その中には、現行では道路拡幅の対象となっていないものの、建物の共同化など、事業推進に協力的な種地となる民地があり、それを区は活用したいと考えております。  未利用の都有地を種地として区に提供していただければ、ここの不燃化事業は大きく進みます。ぜひ先行実施地区への採択と鐘ヶ淵通りの沿道一体整備事業二期工事の早期事業認可を要望いたします。  また、墨田区は、今回、国の援助を受け、新年度の事業として、窓など開口部の改修や壁に防火パネルを張るなど、耐火力アップのための防耐火改修に対する助成措置を行う予定と聞いております。都の財政支援もご検討いただきたいというふうに思います。  次に、看護師の離職防止対策について伺います。  ことし二月に日本看護協会が発表しました二〇一一年病院看護実態調査結果速報によれば、看護職員の離職率は、二〇〇八年から三年間、わずかながら減少傾向にあるものの、大都市部は依然として高く、東京都では常勤看護職員が全国平均一一・〇%に対し、一四・六%と全国で最も高い数値となっております。  この数字が示すとおり、看護師の離職の多さについては多くの病院が頭を悩ませており、私の地元でも多くの病院からリクルートに多大な経費と労力を費やしてせっかく採用してもすぐにやめてしまうという話を聞きます。  ある二次救急の病院では、看護師のリクルートに一人八十万円から百万円かけても、半年でやめられてしまって困っていると、そのように嘆いておられました。  看護師の人数に応じて診療報酬が多く入る仕組みのため、求められるサービスを提供しようと思って人員をそろえると、かえってお金がかかり、病院の経営体力を弱めてしまう結果となっております。  看護師の離職を防止するためには、医療現場の勤務環境の改善や向上とともに、看護師がプライドとやりがいを持って仕事に取り組めるよう、経験に応じたキャリアを形成できる教育や研修体制を整えることがかぎとなります。また、努力して習得した知識や技術を職場の中で生かせる環境をつくることも重要であります。  そこで、質の高い看護人材を確保し、定着を進めていくため、中堅看護師のモチベーション向上やキャリア支援に取り組む必要があるのではないかと考えます。都の取り組みを伺います。 ◯杉村福祉保健局長 看護職員の早期離職を防止し、定着促進を図りますため、都は、平成十九年度から医療機関における新人職員の研修体制の整備を支援してまいりました。  また、今年度から、二次医療圏ごとに配置をした就業協力員が、職員の確保が困難な中小病院を巡回訪問いたしまして、勤務環境の改善や教育体制の充実について指導助言等を行う事業も始め、看護職員の定着対策を推進いたしております。  こうした取り組みに加えまして、来年度は、中小病院における看護職員の専門性を高め、働き続ける意欲を向上させるため、糖尿病やがんなどの認定看護師の資格取得について、研修受講料や認定審査料を補助するなど、新たな支援策を講じてまいります。 ◯加藤委員 認定看護師がふえることによりまして、患者にとっても手厚い看護が受けられると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、リハビリテーション医療の充実について伺います。  先ほど申し上げましたが、地元墨田の東リハは、災害時の地域医療活動の拠点でありますが、ふだんは区東部二次保健医療圏の地域リハビリテーション支援センターにも指定をされております。  急速な高齢化の進展の中、高齢者が寝たきり状態になることを防ぎ、地域において安心して生活していくためには、急性期を脱した後も、回復期、維持期まで切れ目のないリハビリテーション医療を提供していくことが必要であります。  都内の回復期リハビリテーション病床確保のため、都は、二十一年度より独自の整備費補助を実施し、整備促進に取り組んでおりますが、ハード面の取り組みに加えて、地域におけるリハビリテーション提供体制を充実させていくことも重要であります。  同病院は、墨田区が行っている在宅リハビリテーションの体制充実への取り組みに対して、地元医師会等関係機関と連携しながら支援を行っております。  こうした取り組みは、地域リハビリテーションの充実に非常に重要であると考えますが、都内全域に浸透しているかといえば、各地域に差があるのが現状であります。これからは都内全域で地域リハビリテーション提供体制を底上げしていく取り組みが必要だと思います。  そこで、二次保健医療圏ごとに設置している地域リハビリテーション支援センターが、地域におけるリハビリテーション病院を積極的に支援していくことが必要と考えますが、都の取り組みを伺います。 ◯杉村福祉保健局長 都は、地域のリハビリテーション体制を一層充実するため、今年度、都内で十二カ所指定をしております地域リハビリテーション支援センター、その共通の役割といたしまして、理学療法士等の技術力の向上、介護リハビリテーションに対する支援、そして、関係者の連携強化の三つの柱を掲げまして取り組みの強化を図りました。  各センターでは、こうした役割に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を対象とした症例発表会の開催や、介護支援専門員に対する研修、関係機関による地域連絡会などを実施いたしております。  さらに、地域の脳卒中医療連携検討会への参画や、高次脳機能障害者やその家族への研修会の開催など、各センターが持つ強みを生かした取り組みも行い、地域のリハビリテーション体制の充実を図っております。 ◯加藤委員 介護リハビリテーションに対する支援は、訪問介護や通所介護などの介護サービス量が年々増加していることを踏まえますと、非常に重要と思います。地域の実情に合ったリハビリテーションが求められていることから、センターの役割を明確に位置づけたことは的を射たものと思います。  高齢者が安心して在宅生活を送る上で、介護サービスを利用する高齢者のニーズに十分こたえていくには、リハビリテーションの知識を持つケアマネジャーの存在が不可欠であります。  そこで、ケアマネジャーに対するリハビリテーション研修の内容を充実させることが重要であると考えますが、具体的な取り組み内容について伺います。 ◯杉村福祉保健局長 介護支援専門員がリハビリテーションに関する知識を高め、適切にケアプランに組み込んでいけるよう、都は今年度から、地域リハビリテーション支援センターが介護支援専門員を対象に実施をいたします研修用のテキストを新たに作成いたしております。  今年度のテキストは、介護が必要となった原因として最も多く、適切なリハビリテーションの実施が重要であります脳卒中をテーマとし、医師などの医療従事者のほか、介護支援専門員がさまざまな視点から検討を行い、リハビリテーションに加え、再発予防のための健康管理や日常生活で注意すべき点等を盛り込んでおります。  来年度も、高齢者に多い他の疾患をテーマにテキストを作成するなど、引き続き介護支援専門員の研修の充実に努めてまいります。 ◯加藤委員 脳卒中は再発予防が本当に大切です。二度、三度と繰り返すことによって、だんだん重症となってまいります。そうした意味で、今後の取り組みに期待をします。  次に、宝くじについて伺います。  宝くじの売り上げは、東京都が全国で一番だと聞いております。また、全国で発売されているジャンボ宝くじやロト6などは、東京都が事務局となって販売していることから、財務局は、宝くじの売り上げに関して深く責任のある立場にあると思いまして質問をいたします。  宝くじの売り上げは地方自治体の貴重な収入源であり、さまざまな分野の公共事業に活用されているところですが、平成十七年度の一兆一千億円をピークに、年々売り上げが落ちている状況にあります。景気の動向の影響は大きく、個人所得の減少などから、宝くじを買おうという意識がなかなか働かないのかもしれません。景気の低迷が続く中、宝くじの売り上げを増加させていくことはたやすいことではなく、大変な努力をしなければならない課題だと思います。  しかしながら、宝くじは、近年、新しい賞金の商品を出すこともなく、例えば一等賞金六億円のスポーツ振興くじであるtoto BIGなどと比べて少々工夫に欠けていたのではないかと考えます。そろそろ魅力ある商品、売れる商品を打ち出していくことで、宝くじそのものの魅力を高め、存在感を高めていかなくてはならない時期に来ていると思っていたところ、最近では、復興支援くじとして、一等前後賞合わせて五億円のグリーンジャンボ宝くじを販売して話題になっているようであります。  そこで、このグリーンジャンボ宝くじは、どのような考え方で発売を決定し、どのような工夫をしたのか、また、売上動向はどうなっているのか伺います。 ◯安藤財務局長 今回の東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじは、東日本大震災で被災されました県や指定都市が行う震災復興事業を宝くじの収益金により支援するために全国で発売することとなりました。  収益金を確保するための販売強化策といたしまして、宝くじ史上初の一等前後賞合わせて五億円のくじとすることにより、幅広い層にアピールすることで、購買意欲の向上につなげていくことをねらいといたしました。  さらに、新たなジャンボ宝くじのイメージキャラクターによるコマーシャルの展開や、今回に限りではございますけれども、被災地の金融機関、コンビニエンスストアでも宝くじを販売するなど、売り上げ向上を図ったところであります。  また、被災地支援の一環としまして、被災地の特産品が三千三百名に当たるキャンペーンもあわせて実施いたしました。  発売は昨日までとなっておりまして、最終的な実績は集計しているところでございますが、当初の発売計画額六百六十億円を大幅に上回り、約千百億円となり、昨年度に比べ二・四倍程度の売り上げになるというふうに見込んでおります。 ◯加藤委員 一等賞金に目新しさがあるということなどから、なかなか好調な売り上げとなっているようですけれども、多くの方に継続して宝くじを買っていただくためには、その使い道についても、わかりやすく説明していくことが大切です。  宝くじの収益金は、東京都でいえば、公園整備、河川整備のほかに、最近では認証保育所、少子化対策などにも使われており、二十四年度予算案では約六百五十七億円と税収が落ち込む中、地方独自の財源として非常に重要なものとなっています。  しかし、多くの都民の方々は、このことについて余り知らないのではないでしょうか。今回のグリーンジャンボは、復興支援を前面に打ち出しているので非常にわかりやすく、多くの方の購買意欲につながったのではないかと思います。  宝くじの発展に向けて、今後は、より魅力ある新商品の開発なども必要です。現在の数字選択式宝くじのロト6に加えて、今後はロト7などの新商品も検討されていると聞いていますが、こうした新商品を打ち出し、多くの新たなファンを獲得するためにも、宝くじが社会に役立っていることを十分に知ってもらうことが重要だと考えます。  そこで、宝くじの収益金の使途や社会に貢献しているということを広くPRしていくことが大切だと考えますが、所見を伺います。 ◯安藤財務局長 宝くじ購入者の方を初め、広く都民の方に対しまして、収益金がどのような施策に活用されているのかということをPRしていくことは非常に重要だというふうに思っております。  都の場合におきましては、認証保育所事業などの少子化対策に重点的に充当するなど、その恩恵を実感しやすく、また、わかりやすい事業に重点的に充当しております。  また、宝くじのマスコット、クーちゃんと呼んでおりますけれども、これを活用した広報を行ってきましたが、今後はこれまで以上にわかりやすく積極的な広報を展開してまいりたいと思います。  具体的には、各発売団体により、宝くじの収益金を充当した施設に宝くじのマスコット入りプレートを表示したり、ホームページを活用した充当事業の広報などを展開していきたいと思います。  さらに、テレビのコマーシャルなどを活用いたしまして、各発売団体の代表的な充当事例をアピールするとともに、宝くじのブランドイメージを高めるようなコマーシャルの展開も図ってまいりたいと思います。  また、宝くじファンサイトの立ち上げや、外れ券を活用したキャンペーンの実施を行うなど、さまざまな工夫を凝らしてイメージアップを図りまして、一人でも多くの方に宝くじの重要性を理解していただくように努めてまいりたいと思います。 ◯加藤委員 次に、宝くじが将来にわたって多くの人に愛されるよう、その販売体制について確認したいと思います。  昨年末には、国の方で有識者による宝くじ活性化検討会が開催され、当せん金の最高倍率の引き上げなどが提言されました。これを受けて、現在法改正の審議が参議院でなされていると聞いております。  提言の中には、インターネット販売やコンビニ販売などの販売チャネルの拡充も提言されておりますが、そうした取り組みによる消費者の利便性の向上を図る一方で、現在の全国にある売り場網をきちんと維持し、ジャンボくじといった主力商品が確実に売れる体制も確保しなければなりません。  宝くじは、駅前などの便利な場所に売り場網を整備していることも魅力の一つであり、対面売り場で購入することを楽しみにしている人も多いのではないかと思います。確かにインターネットなら手軽にクリックするだけかもしれませんが、テレビで報道されているように、一等が多く当たった窓口に並んででも買いたいとか、わいわいしゃべりながら待っていること自体が楽しいとか、お祭り好きといいますか、そういう風景があってもいいのではないかと、そのように思います。こうした売り場が今後もきちんと運営され、どこでも手軽に購入できる体制をつくることが大切です。  そこで、法改正の動向を踏まえ、既存の売り場にも配慮しながら、宝くじの売り上げ向上に積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、所見を伺います。 ◯安藤財務局長 お話の法案は現在参議院で審議中でございますけれども、それによりますと、一等賞金は、くじ単価の二百五十万倍となることから、例えば三百円のくじでありますれば、最高七億五千万円までの賞金の宝くじが理論上は可能となるわけでございます。  また、電磁的な記録による宝くじの販売が可能となり、インターネット販売が行いやすくなるなどのメリットもございます。  今後、賞金の条件につきましては、一等賞金が高額の宝くじや当たりやすい宝くじなど、商品の多様化を図るとともに、購入する方の利便性を高めるために、インターネット販売を進めてまいります。  その際はお話のように、既存の売り場網への影響が出ないよう、新商品の開発などを同時に進めるなど、宝くじ全体の売り上げが向上するように、さまざまな工夫と配慮を行いながら、東京都が中心となって全国の発売団体で議論を進めてまいりたいと思います。 ◯加藤委員 宝くじは、多くのファンの方に支えられてきたという側面があることを常に認識しつつ、今後の活性化策を進めていただきたいと思います。  次に、東京スカイツリーがいよいよ五月二十二日にオープンをいたします。多くの観光客が見込まれており、地元区や周辺区もこの機会を生かそうとさまざまなイベントを計画しております。  また、日本じゅうでタワーブームの波も高まっており、全国二十のタワーが加盟するタワー協議会では、スタンプラリーも行っております。三・一一の地震がなければ、昨年十月に、世界的に有名な三十以上のタワー代表者が東京に一堂に会し、世界大タワー連盟総会が開催される予定でありました。新たなランドマークの誕生は、観光産業のみならず、広範囲に波及効果が期待できる景気回復の大きなツールであります。  同時にスカイツリー周辺のまちづくりも進んでおり、駅前広場や区道の拡幅、河川の整備などが行われております。  スカイツリー開業後は、観光客のさらなる増加が見込まれますが、一方で、東武伊勢崎線業平橋駅付近に残る二号踏切により、交通渋滞が増加することが懸念されています。  こうした課題解決に向けて、墨田区は、昨年秋、区が施行者となって、東武伊勢崎線業平橋駅付近の連続立体交差化や周辺の基盤整備、まちづくりに取り組むことに踏み切りました。鉄道の立体化とともに、駅周辺の基盤整備やまちづくりが進められれば、鉄道で分断されているスカイツリー周辺の地域が一体化され、多くの人が来訪する一大拠点にふさわしいまちづくりが実現することになります。  そこで、多額の事業費を要する連続立体交差化を早期に実現するためにも、都は墨田区を積極的に支援することが必要であると考えます。東武伊勢崎線業平橋駅付近の踏切解消に向けた都の取り組みについて伺います。 ◯飯尾都市整備局長 東武伊勢崎線第二号踏切は、平成十六年度に都が策定した踏切対策基本方針において、重点踏切の一つに選定され、鉄道立体化以外の対策を検討する区間に位置づけられておりました。  その後、本地区においては、東京スカイツリーに合わせて、地元墨田区が土地区画整理事業などのまちづくりに取り組み、昨年秋にはみずからが施行者となり、鉄道の連続立体交差化や関連する道路整備を行うことといたしました。  都としては、こうした地元区の主体的な取り組みを踏まえ、技術的な支援や鉄道事業者等関係機関との調整を行うなど、鉄道立体化の実現に向け、積極的に協力してまいります。 ◯加藤委員 最後に、先日、山崎墨田区長が春季慰霊祭に出席されました知事に対しまして、東京スカイツリーのオープンイベントにぜひ出席していただき、テープカットをお願いしたいと要請されたと思います。オープンイベントに出席していただくとともに、東武伊勢崎線二号踏切や周辺まちづくりの状況をあわせて視察していただければ幸いです。もし都合がつかなければ、改めて日程をとっていただいて、現場の状況をぜひ見ていただきたいことを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。(拍手) ◯鈴木(貫)副委員長 加藤雅之委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯鈴木(貫)副委員長 次いで、大山とも子委員の発言を許します。    〔鈴木(貫)副委員長退席、委員長着席〕 ◯大山委員 まず、原発に関する知事の姿勢についての問題です。知事に伺いますから、ちゃんと答弁よろしくお願いいたします。  福島の原発事故で明らかになったことは、原発が一たん暴走を始めたら、周辺の地域社会を丸ごと存続の危機に追い込んでいくばかりか、放射能を世界じゅうにばらまき、将来にわたって、国民に重大な影響を与えるものだということです。この過酷な事故は、政府や東京都のオリンピック申請ファイルがいっているように、収束に向かうどころか、収束への展望さえ見出しておらず、こんな危険なものはない、これが大多数の被災者、国民、都民の実感であると思います。  ところが、知事は、我が党の代表質問に対し、原発について、山の上にあったらあんな被害は起こらずに済んだ、海浜を立地として構えることが誤りだったという答弁を行い、昨日は、本委員会で、極端なことをいうと、東京湾につくってもいい、千葉県の鋸山の頂点にでもつくったらいいとまでいいました。驚くべき暴言です。  仮にも、重大事故が起これば、それこそ日本の心臓部が壊滅的打撃を受けます。あなたの無責任な暴言を都民は絶対に許さないでしょう。この場で都民及び千葉県民に謝罪し、発言の撤回を行うべきです。お答えください。 ◯石原知事 相変わらずですな、共産党というのは。人のいったことを意識的に曲解し、デマゴーグを世間に振りまくというのは、あなた方の本家のロシアでも、ご同僚たちが独裁支配している隣のシナでももう通用しませんよ。私は一つの文明論をいっただけでありまして、これについて何の釈明もしませんし、一つの論として申し上げたことで、それについて謝罪するつもりは毛頭ありません。 ◯大山委員 答えに窮すると、いつでも悪罵を投げつける、そういう状況ですよね。どんな技術も絶対安全ということはないんです。事故の確率は、自動車事故や飛行機事故よりもはるかに低いですけれども、原発事故は、一たび発生したら、地域社会、さらには日本社会全体に取り返しのつかない事態を引き起こすことを私たちは今経験しているんです。  昨日の発言は、知事がどういい繕おうと、それから開き直ろうと、許されないものです。いっていいことと悪いこともわからないんですか。  知事は、よくいいますけれども、フランスは事故がないといいますが、フランスでこれまで重大な事故がなかったのは、日本のように地震、津波が頻発していないことが幸いしているんです。地震国日本では、山でも海でも、どこにつくっても、地震による重大事故の危険は避けられません。したがって、日本の方がフランスより重大事故が発生する確率が高い。要は確率の問題なんです。  そもそも原発に……(石原知事「津波の問題なんだよ」と呼ぶ)じゃあ、知事、そんなこというんだったら、津波で壊れたんだ、地震ではない、そういう証明があるんですか。  もう一回いいますよ。津波で壊れたって、津波だといいますけれども、津波で壊れたもので、地震ではびくともしなかったという証明があるんですか。(発言する者あり)知事に聞いてるんですよ。 ◯秋山知事本局長 政府の調査や報道ベースによりますと、知事が今いいましたとおり、津波によって全電源喪失をしたこと、これが事故の大きなきっかけであるというふうに理解をしております。 ◯大山委員 国会の中でのやりとりでも、地震で壊れなかったという証明はできていないんですよ。それぐらいちゃんと自覚しておいてください。  そもそも、単に立地の問題では片づけられない異質の危険があるんです。  知事に聞きますよ。我が党はこれまで、知事に何回となく、原発で一たん重大事故が発生し、放射性物質が外部に放出されると、もはやそれを完全に抑える手段が存在しないという事実に対する認識をただしてきました。
     ところが、知事は、この質問に対して、答えません。もしくは、根拠も示さず、否定してきました。完全に抑える手段を持っているというんだったら、きょうこそ、フランスでは事故は起きていないなどというものではなくて、科学的な根拠を示してください。    〔秋山知事本局長発言を求む〕    〔大山委員「知事です、知事に聞いてるんです」と呼ぶ〕 ◯秋山知事本局長 これまでの知事の議会答弁並びに記者会見で、るる知事からご説明をさせていただいておりますが、あくまで今回の原発事故は、管理の問題であって、それぞれの立地ごとに、地勢学的条件を考慮するのは当然のことであって、日本の誇る技術を活用しながら対策を講じ、その上で原子力を有効に活用することは可能だという趣旨の答弁、記者会見など何度も繰り返しておるところでございます。 ◯大山委員 立地の問題じゃない。そして、知事は、大体自分がいったことにも、自分で答えられないわけですよね。困りますよ、それでは。立地の問題じゃないんです。  私たちが聞いているのは、原発は安全だという根拠を示してください、知事がそういうんだったら根拠を示してくださいって、そういっているんです。しかし、今回も、原発は安全だという根拠を示すことはできないわけです。  もちろん私も、技術の進歩を否定するわけではありません。しかし、一たび原発事故で放射能が外部に漏れ出したら、それを抑える手段、技術をいまだ人類は手に入れていないんです。これが重い現実じゃないですか。(石原知事「そんなことわかり切ってるよ」と呼ぶ)それだったら、それでいえばいいじゃないですか。手に入れてないというんだったらちゃんと答弁してくださいよ、そんなやじじゃなくて。手に入れていないんですね、知事。 ◯秋山知事本局長 先ほどからご答弁申し上げてますとおり、管理の問題であって、地勢学条件を考慮するのは当然のことでございます。日本の誇る技術を活用しながらやっていくということで、手に入れた入れない、イエス、ノーというような趣旨では、知事の方は発言もしておりません。 ◯大山委員 知事、やじじゃなくて、ちゃんとマイクがあるんですから、知事に聞いてるんですから、知事が答えてください。根拠を示してください。 ◯石原知事 今、本部長も説明しましたとおり、私の発言を正確にトレースして理解をしていただきたい、日本語がわかるならば。 ◯大山委員 結局、根拠を示せないわけですよね、安全だという。  先月の末、名古屋大学が主催した震災一年のシンポジウムで、特別講演に立ったドイツの世界的核物理学者、ハンスペーター・デュール氏は、原子力エネルギーには一〇〇%反対しています、こう切り出したそうです。そして、最悪の事故に至る確率がゼロでなく、結果が受け入れがたいものであるなら、迷わずノーといわなければなりません。こう訴えました。知事、この発言の重みをしっかり認識していただきたいと思います。  核分裂の威力を知り尽くした世界的核物理学者だからこそ、それがいかに制御しがたいか骨身にしみているんじゃないでしょうか。あなたは、何を聞いても、その根拠を示してくださいといっても、まともに答えられません。  たしか昨年の四月一日、知事は記者会見で原発について問われ、僕は余り知らないんですよ、原発のこと、こう答えました。そのとおりだと思います。それなのに、知事は、管理さえしっかりやれば、原発は安全であるかのようにいい張っているんです。無責任ですよ。都民の皆さんの原発ノーの運動が大きく広がっています。知事は、無責任な原発必要論、安全論を振りまくのはやめるべきことを強く申し述べておきます。  次に、低線量の放射能による内部被曝についてただしたいと思います。  私のもとに、小学生を含む二人のお子さんを持つお母さんからの手記が寄せられていますので、その一部を紹介します。  三月十五日、東京も高濃度の放射能に襲われた日、私は自分の無知から、子どもをいつもどおり、マスクも帽子もつけず登校させました。下校後には習い事にも行かせました。その後、東京もかなり汚染されていたことを知り、私は何度自分を責めたでしょう。これから日本の農業は一体どうなってしまうんだろうと悲壮感に包まれました。放射能の影響について、だれのいっていることが正しいのかもわかりません。ただ、危険かもしれないというのであれば、極力それを子どもから避けてやりたいと思うのです。ドイツの基準が四ベクレルだと知れば、目安にしたくなります。こんなに振り回されている母親を愚かだと笑いますか。  知事は、低線量の放射能による内部被曝に心を痛めているこうしたお母さんたちの思いをどう受けとめますか。知事、答えてください。知事ですよ。    〔杉村福祉保健局長発言を求む〕    〔大山委員「知事です。知事です」と呼ぶ〕 ◯石原知事 子を持つ親としてのセンチメントにかまけた心配はよくわかります。 ◯大山委員 知事ね、よくわかる、よくわかるということだったら、本当にそれをしっかり受けとめてくださいよ。(石原知事「受けとめてるよ」と呼ぶ)受けとめたら、ちゃんと、どうしたらこの不安を取り除くことができるのかということを実践しないとだめじゃないですか。  内部被曝の原因の多くを占める食べ物から取り込む放射線量をいかに抑えるかが行政に鋭く問われています。  そこでお聞きします。国や都が今やっている検査体制や頻度で、基準を超える食品をすべて排除できるんですか。 ◯杉村福祉保健局長 食品につきましては、暫定規制値を超える農産物等が流通しないよう、生産地での検査結果に基づき、出荷制限等を実施する仕組みを国がきちっと構築をしております。  また、国の研究機関では、生産地における検査の効果を検証するため、流通段階で検査を行っておりまして、二月末現在、千百四十七件の結果が公表されております。  都におきましては、これに加えまして、都民の食の安全・安心を確保するため、小売店に流通する食品について、都民が日常的に摂取する野菜類や、また子どもが継続的に摂取する乳製品などを中心としてモニタリング検査を独自に実施しており、これまでに実施をしました四百八十八の検体から、暫定規制値を超える放射性物質は検出されておりません。  国の発表によれば、国や地方自治体等において、これらを含めて、これまでに十二万件を超える食品が検査をされておりまして、暫定規制値を超えたものにつきましては、速やかに出荷や流通が停止をされております。  このように、生産段階、流通段階それぞれで検査が行われておりまして、食品の安全は確保されているというふうに認識をいたしております。 ◯大山委員 食品の安全が確保されている、こういう認識だということですけれども、余りにも現実を無視したものです。  日本人の主食であります米の放射能測定は、産地では十五ヘクタールに一カ所にすぎません。野菜などは種類によって、ホウレンソウならホウレンソウ、一自治体一検体、こういう検査です。東京都は、市場に出回っている食品については、今年度じゅうに五百検体を検査するという程度のものです。これで食の安全・安心が確保できるとでもいうんでしょうか。  例えば、昨年十一月に、福島県知事がお米について安全宣言をしました。その五日後にセシウムが検出されました。昨年六月には、パリのシャルルドゴール空港で、日本から輸入したお茶からキログラム当たり千三十八ベクレルのセシウムが検出されました。こうした例が絶えません。  都が実施している流通食品の検査では、暫定基準値を超えるものは出ていませんけれども、国の検査で二月三日に、つい最近ですね、都内スーパーで売っていた栃木県産の原木シイタケから、キログラム当たり六百ベクレルの放射性セシウムが検出されています。今、国や都が実施している程度の検査では、基準を超えた食品が幾らでもすり抜けるんです。これが現実ではありませんか。  例えば、毎日食べるお米です。東京大学アイソトープ総合センター長の児玉教授にお聞きしました。セシウムの稲への移行は、田んぼに入っている落ち葉や枯れ草、そういうものについたセシウムが、夏の間に落ち葉が分解するわけですね。そういうときにセシウムが出てくる。だから、予測が難しい上に、田んぼによって状態が違うんですね。ですから、詳細に測定しなければわからない、そうおっしゃってました。にもかかわらず、十五ヘクタールに一カ所の検査で安全だといえるんでしょうか。稲と田んぼのセシウムの関係をそこまでちゃんと調べた上で物をいっていらっしゃるんですか。 ◯杉村福祉保健局長 今、お米の問題で、十五ヘクタールに一カ所と、一点というお話がございましたけれども、この米の検査につきましては、単に十五ヘクタールということではございませんで、二段階で、収穫前、収穫後の段階できちっと検査をするということが確立されております。  まず、予備調査をやりまして、予備調査で異常があったところについては二段階で実施をすると、そういうルールができておりまして、通常の品目よりも入念に調査をすることといたしております。  したがって、単に十五ヘクタールに一カ所というのは、非常に誤解を生む発言ではないかというふうに考えております。 ◯大山委員 主食のお米ですから、きちんとやらなきゃいけないんです。しかし、今の予備調査と十五ヘクタールに一カ所だって、田んぼ一枚ごとに違うわけですよ。山の方にある田んぼ、それから平地にある田んぼ、全く条件が違うし、山の間に、谷戸地のようなところにあるところだって、こっちの田んぼと先の方の田んぼでは、葉っぱの入りぐあいも違うだろうし、そういう状況があるわけですよね。ですから、きちんと詳細にやらなきゃいけない、そういうことなんです。  都民の不安はそれでは解消しません。国に盲従するんじゃなくて、またお金かけたくないという立場ではなくて、都民の内部被曝を可能な限り減らすという立場で、お米の全品検査を生産地で実施するよう国に要望すべきです。  この全品検査ということについて、空港の所持品検査のように、十五秒で三十キロの米袋、それごと、測定限界値がキログラム当たり十ベクレルで検査できる機器が開発されて、五月には発売されるんです。お米の全品検査は可能です。生産地でやるというのは可能です。検査機器は日々進歩しています。ですから、きちんと国に、これも東京都からもいっていただきたいと思っています。  今、東京都は、今の検査頻度で十分、安全は担保されている、そのように認識をいっていますけれども、海外では、日本の食料をそう見てはいません。海外で日本からの輸出食品をどう扱っているか、東京都はご存じでしょうか。  私、調べてみました。三月九日時点の輸入規制措置、例えば韓国では、日本の七つの県について、野菜などの輸入を停止しています。中国は、十の都県、東京都も含めて、すべての食品を輸入停止にしています。ブルネイでも、八都県のすべての食品を輸入停止。クウェートは、四十七都道府県すべての食品を輸入停止。アメリカは、それぞれの県によって食品の種類は違いますけれども、八県の食品を輸入停止しています。日本の生産者は、今、輸出できなくて困っているんです。  この各国の輸入規制について、知事はどう思いますか。 ◯杉村福祉保健局長 日本の食品の基準値については、もう既にさまざまなところで公表されておりますけれども、諸外国と比較して最も厳しい基準値が、暫定規制値が現在ございます。また、四月からは、それに加えてより厳しい基準値が策定をされて、そこに基づいて検査をする、そういうことで全く問題はないものというふうに考えております。 ◯大山委員 幾ら基準が厳しくても、頻度がまばらだったら、どんどんすり抜けていくんですよ。そういうことですよ。幾つもの国が日本の食品を輸入停止にする。日本の検査体制を信頼していないからです。都民のためにも、生産者のためにも、抜本的な検査体制の拡充を国に求め、東京都としても流通食品の検査体制の抜本拡充を行い、日本の食品はちゃんと検査して、この値です、こう胸を張っていえるようにすべきことを重ねて申し述べておくものです。  よく風評被害といいますけれども、はからないことが風評被害につながるんです。はかって明らかにして、生産者の被害に対しては、政府と東電の責任で補償することです。  子どもたちが毎日過ごしている保育園や学校、公園の放射線の量はどうなっているんだろう、子どもたちが遊んでも大丈夫だろうか、都民の皆さんは心配しています。  放射能は、食べ物だけではなくて、空気や土壌を通じても体内に入ってくるからです。子どもの放射線の影響は、大人の三倍から十倍といわれているわけですね。このため、各地域でたくさんの市民が独自の測定運動を続け、区市町村の測定器の貸し出しは何カ月も先まで予約でいっぱい、そんな状況です。だからこそ、都内の区市町村や近隣の県、政令市などでも、国のガイドラインにとどまらない独自の放射線測定を行って、より厳しい除染基準を設けているんです。  ところが、東京都はどうでしょう。本会議で、我が党の調査で、水元公園の落ち葉を含む土壌がキログラム当たり最高二万三千ベクレルを超えているところがあることを指摘し、対策を求めたことに対し、都は、国のガイドラインに基づき、測定する必要がないし、除染の必要がないといい張って、全体の中での位置づけなしに断片的な数値を発表することは無用な混乱を招くとまで述べました。都内の区市町村や近隣の県、政令市と比べても、その硬直ぶりは際立っています。  局所的に高い濃度の土は、水元公園だけではありません。プリントがありますので見てください。これですね。局所的に高い土は、我が党の調査では、例えば都立東綾瀬公園、足立区ですね。そこでは一万二千ベクレルを超えるところがありました。  江戸川の土手下、これは高目です。河川敷駐車場で一万二千ベクレル。土手下の河川敷で一万三千ベクレル。また、土手下の住宅と隣接する地点で、最高二万ベクレルを超えるところがありました。土手下には、保育園、幼稚園、学校、病院もあります。東部地域だけではありません。臨海部のお台場でも一万ベクレルを超えるところが発見されているんです。私たちだけでなく、多くの区も、住民の皆さんも測定しています。  都は、こうした測定も無用な混乱を招く、そういうんでしょうか。 ◯大野環境局長 まず、都内の全般的な状況についてもう一度復習させていただきますけれども、これは文部科学省が東北から関東全域をはかっています。その中でも明らかなように、関東地方の中でも、東京は非常に低い状況にあります。高くありません。その上で、東京の中では比較的高い東部の三区についてはかったということでございます。  きょう急遽発表していただいた共産党の資料でございますけれども、きょうの発表を拝見しますと、今回の調査結果から、都内でも比較的高濃度な汚染が一定の広がりを持っていると考えられるというふうに書かれておりまして、あたかも都内が広域的に汚染されているかのような発表をされております。  しかし、この面的な汚染につきましては、環境省が調査のガイドラインを出しておりまして、そこでは、地域の代表的なポイントを選ぶために、くぼ地とか花壇とか草地とか建物の近くは避けるというふうになっております。  しかし、共産党がきょう発表された調査ポイントを見ますと、まさに草地とかくぼ地とか、こういうものを選んでおりまして、広域的な広がりを把握するためには全くふさわしくないと、そういうポイントを選んでおります。  しかも、このようにして選ばれたポイントの中でも、一応、面的な汚染の基準となっているといわれている高さ一メーターで〇・二三マイクロシーベルトというのを超えているのはわずか四ポイントしかありません。しかも、これは、我々が前からもうそこにあるというふうにいっている区部の東側の一部の地域です。  それから、ベクレルについても、前も八千ベクレルというお話をされておりますけれども、これは前から本会議でもご答弁しましたが、八千ベクレルという数値は、これは焼却灰の埋立処分をする作業者の方が、一日八時間二百五十日の労働時間の半分、つまり年千時間を焼却灰の近くで作業する、この場合の基準なんです。ですから、これを市街地のごく局所の汚染と比べることは全く意味を持たないということであります。 ◯大山委員 あなたたちは本当に調べもしないで、どうしてそういうことがいえるんですか。  今も環境局長、いいましたけれども、キログラム当たり二万三千ベクレルと、廃棄物の指定基準の八千ベクレル、比較することは適切ではない、そういいましたね。  しかし、一キログラム当たりセシウムが二万三千ベクレルというと、約一・六キログラムの土ですよ。(実物を示す)このぐらいですよ。これは汚染されていない土ですが、セシウムがキログラム当たり二万三千ベクレルの土がこれぐらいあるだけで、放射線障害防止法に基づく放射線管理区域以外では扱ってはならないとされている基準を超えてしまいます。原子力施設ならば、外部に持ち出してはいけないとして、放射性物質の核種に応じた取り扱い、管理が必要とされるレベルなんです。  そういうものが子どもたちが日常的に遊んでいる、そういう公園に点在しているんですよ。それでも問題ない、そういい張るんですか。 ◯大野環境局長 これも本会議で申し上げましたけれども、国が除染の長期的な目標としている年間一ミリシーベルトというのは、毎時〇・二三マイクロシーベルトの放射線量を五千二百五十六時間浴び続けた場合に初めて一ミリシーベルトを超えるというものでございます。  今もお話がございましたように、都内の場合には、こうした面的なものはございません。存在しているのは、あくまでも局所的なものでありますから、そこにつきましては、そもそも滞在時間が短いと。それから、少し離れれば、我々の調査では六十センチぐらい離れれば二十分の一ぐらいになると、そういうものでございますので、これが直ちに都民の健康に問題を引き起こすものではないということでございます。 ◯大山委員 私たちは局所的な汚染をいっているんです。つい最近出た、この環境省の放射性物質による局所的汚染箇所への対処ガイドライン、これだって局所的な汚染を早く見つけなさい、そう書いてあるじゃないですか。  私は、今、環境局が発言しましたけれども、そういう安全側に立たない無責任ともいえる立場にどうして固執するのか、環境省に問い合わせをしましたよ。環境省は、外部被曝しか考えていない、内部被曝は考えていないというんです。これでは環境局に話してもしようがありません。  東京都では、子どもたちの内部被曝を避けるために何をなすべきかを考えている方はどなたですか。その方が答えてください。いいですか。担当の方は、放射線障害防止法を読んだことがありますか。一万とか二万ベクレルの土がこれぐらいあるだけで、管理区域以外に持ち出してはならないんです。公園や学校などにあってはならないんですよ。こういう危険なものが、どこにどれぐらいあるかどうかも調べなくても構わない、そういうのでしょうか。答えてください。 ◯大野環境局長 もちろん、放射能の問題というのは初めて直面したものでございますから、いろんな不安があるのは当然だと思います。その不安をどうやって解消していくかというためには、この前もご答弁したように、正確に冷静に考える必要があるということでございます。  一般の公衆の場合の年に一ミリシーベルトというのはどういうことかと申しますと、これは、生まれてから七十五歳まで生きていくと、その間に毎年一ミリシーベルト浴びたとしても、それが許容できるリスクの範囲におさめようということで、その場合に設定されたものでございます。  したがいまして、毎年毎年一ミリシーベルトということじゃなくて、これは五年間にわたって平均が一ミリシーベルトというふうになっています。しかも、これは一ミリシーベルトまで持っていくのは長期的な目標であるというふうにされております。  こういう有害な物質というのは、もちろん放射能以外にもたくさんあるわけでございますが、例えばベンゼンとか、そういう大気汚染物質と違いますのは、放射能の場合には、一回放出されましたら、それが次々に新たに放出されてくるという状況にはございません。  したがって、これは物理的に、あるいは自然的に減衰していきます。現に、この一年間で二〇%程度減衰しておりますし、さらに今後一年間で二〇%ぐらい減衰していきます。それで、四年後にはさらに半分になるということでございますので、そうした状況を見ながら、落ちついて冷静に対処することが必要であると、このように考えております。 ◯大山委員 正確になんてよくいえますよ、調査もしないで。大体、なるべく少なくする、それは、これから医療の放射能を受けることだってあるわけですよ。だから、なるべく少なくするというのが基本じゃないですか。  知事、そもそも福島原発事故までは、IAEAの国際的基準に基づき、一キログラム当たり百ベクレルを超える場合は、低レベル放射性廃棄物処分場に封じ込めてきたんですよ。それが二万三千ベクレル、その辺にあっても問題ないという感覚は、子どもたちを低線量の内部被曝から守るべき立場の者としては、あってはならないと思います。そういう土が風で巻き上げられて飛び散って、呼吸とともに取り込んだり、子どもは遊んでたって泥んこになりますよ。手だって汚くなる。それをなめたりしますよ。ですから、日本の調査、研究者でも、一日に数十ミリグラムは土を飲み込んでいる、こういう調査があるんです。私たちの調査では、こういう土があちこちで放置されているんです。  知事にお聞きします。あなたは、子どもたちがそんな場所で転げ回って遊んでいても構わないというんでしょうか。仮に、あなたがそうであっても、ほとんどのお母さんたちは、子どもたちをそんな場所で遊ばせたくない、調べてほしい、取り除いてほしいと訴えているんですよ。この声に背を向けるんでしょうか。知事、答えてください。    〔大野環境局長発言を求む〕    〔大山委員「知事、答えてください」と呼ぶ〕 ◯大野環境局長 今、放射能については、できるだけ少なくするべきであるというお話がございました。これは、有害物質がございますが、有害物質の中には、この線より上ならば危ないけれども、この線より下ならば安全であるという閾値というのがございます。その閾値がないものがございます。(発言する者あり)もちろん、だから放射能もそうです。  しかし、それ以外に、例えば燃料に含まれるベンゼンでありますとか、あるいは魚の焼け焦げであるとか、そういうものがございます。ゼロリスクを求めるならば、これを全く、魚を食べないとか、そういうことになるわけでございますが、実際にできません。したがって、実際には、ほとんど安全と考えるレベルに設定をして、それまでは許容するということになります。  そうした観点から、我々としては、一生の影響を考えつつ、冷静に対応してまいりたい、このように思っております。 ◯大塚委員長 大山とも子委員の発言は終わりました。(拍手)      ───────────── ◯大塚委員長 星ひろ子委員の発言を許します。 ◯星委員 総括質疑三日目の最後の質問になります。よろしくお願いをいたします。  それでは、まず、産業振興についてお伺いをいたします。  一千三百万人の人口を抱える東京は、大都市でありながら、多摩地域には森林地帯が広がっており、面積は都の四分の一、この森林はCO2吸収に役立つとともに、水源地であり、良質な木材を生み出す産業の場です。森林を守るためには林業振興が重要ですが、木材が最終ユーザーに渡るまでには、木を育てる人や、製材所、設計、大工など多くの人が携わり、流通を含めた全体で林業が成り立ちます。  木の成長には長い時間がかかり、林業振興には長期的な視野に立った取り組みが必要であり、荒廃が進んでいる危機的な状況にある森林を思うと、今すぐ手をつけなければなりません。  林業を東京の地場産業と位置づけ、改めて振興を図ることについてご所見をお伺いいたします。 ◯前田産業労働局長 木材価格の低迷により、森林の荒廃が危惧される中、多摩の森林を整備していくためには、川上から川下まで、これは、木が切られてから使われるまでを川の流れに例えて、切るところを川上、使うところを川下というんですけれども、その各段階に応じた林業振興を図ることが必要であります。  このため、都は、森林整備と木材生産を行う川上対策として、造林、間伐事業や林道などの基盤整備事業、花粉発生源対策事業などを実施しております。  また、多摩産材の供給体制整備を行う川中対策として、製材所に乾燥機などの導入支援を行っております。  さらに、多摩産材利用を進める川下対策として、モデルハウス建築への支援や庁内での積極的な利用を行っております。  都は、こうした取り組みにより、森林施業や製材のコスト削減、多摩産材の品質向上と販路拡大を進め、東京の林業の振興を図っております。 ◯星委員 それでは、多摩産材についてさらにお聞きします。  多摩産材の公共施設への利用を拡大していくために、実際にどのような方法をとられるのか。また、多摩産材の利用を進めていくためには、需要と供給のバランスが大事です。公共施設などで多摩産材を利用したいときに、供給不足で使えなかったということも一部聞いていますが、多摩産材の供給体制整備についてどのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いをいたします。 ◯前田産業労働局長 まず、多摩産材の公共利用の拡大についてでございますが、これまでも、都みずからが率先して、都営住宅の内装や都立学校の什器などで利用してまいりました。  さらに、来年度からは、区や市町村に対しまして、多摩産材の利用事例集を作成して提供することや、シンポジウム開催などを通じて公共利用の拡大を図ってまいります。  次に、多摩産材の供給体制の整備についてでありますが、ただいまお答えしましたとおり、都はこれまでも、品質向上や製造コスト削減に向け、製材所の木材乾燥機の導入などを支援してまいりました。  今後は、工務店などの利用実態と製材所の製材能力を調査いたしまして、需要を見越した供給体制の整備に向けて取り組んでまいります。 ◯星委員 さらに伺いますが、多摩の森林資源をむだなく使うために、さらには地球温暖化対策の観点からも木質バイオマスの活用がいわれています。多摩地域でも、まきやチップを燃料にするボイラーが温浴施設などに設置をされています。
     木質バイオマスを積極的に活用することを期待しておりますけれども、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 ◯前田産業労働局長 森林資源を木質バイオマスとして有効に活用することは、地球温暖化の防止につながる有効な施策であります。  しかしながら、現在、通常の化石燃料を使用する場合と比べまして、ストーブやボイラーなどの装置の導入費用、あるいは燃料となる木質バイオマスの価格が高いということが、活用のための課題となっております。  そうした現状のもと、都は木質バイオマスの普及を促進するため、都の施設で先行的に利用しているところでございます。 ◯星委員 森林を保全し、林業を産業としていくためには、山をトータルで見ることができる事業体を育成し、林業を生業としていける仕組みが必要です。  東京都としてどう考えているのか、お伺いをいたします。 ◯前田産業労働局長 都は、森林組合を初めとしました林業事業体への支援策として、公益財団法人東京都農林水産振興財団にあります東京都林業労働力確保支援センターを通じ、法人化のための指導を行うとともに、林業機械のレンタル料や新規就業者を雇用する際の住宅借り上げ費の助成などの支援策を実施しております。  今後とも、森林整備を円滑に進めるため、林業事業体の育成を図ってまいります。 ◯星委員 大変厳しい状況にある林業と東京の山を守るために、長期的な視点と、取り急ぎ行っていただきたいこととあります。ぜひ取り組みの強化と拡充をお願いし、次の質問に移ります。  次は、防災についてです。  東日本大震災の地殻変動により立川活断層帯の発生確率が高くなっているという国の発表を受け、都の想定地震にも追加されました。このことから、私の地元、多摩地域でも立川断層への関心が大変強まっています。地域では、自治会や市民団体などが専門家を招き、講演会、学習会等を頻繁に開催しています。  活断層帯の位置が明らかになる中で、多摩地域の中核として発展してきた立川周辺は、商工業、官公庁関連、東京都の防災センター、広域災害医療施設など、都市機能の拠点施設とも近いことから、都の備えは大丈夫なのか、いざというとき自分たちは何をなすべきか、不安の声や問い合わせが来ます。  立川断層の専門家である首都大学東京の山崎晴雄先生は、いたずらに地震を恐れるのではなく、正しく理解し、いざというときの災害に備える必要性を説いておられますが、そのことが何よりも大切であると思います。  そのために、都は早期に被害想定を見直し、都民に周知すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。 ◯笠井総務局長 立川断層帯地震は、国の評価では三十年以内の発生率は〇・五から二%、平均活動間隔は一万年から一万五千年とされており、首都直下地震と比較いたしますと、その発生頻度はまれであると考えられております。  しかしながら、同地震につきましては、国において、東日本大震災による地殻変動により発生確率が高くなっている可能性があると発表され、また、発生すると多摩地域を中心に大きな被害を与えるおそれがあるといわれております。  このため、現在、東京都防災会議の地震部会におきまして同地震を想定地震に加え、被害想定の見直しを進めており、その結果を四月に公表する予定でございます。  今後、その内容を都民に客観的に示し、同地震に対する都民の理解を深め、自助の取り組みを促していくとともに地域防災計画の修正に反映させてまいります。 ◯星委員 東日本大震災では、ガスや石油のタンクの破損による大火災の発生や、巨大なタンクが津波で押し流される様子を何度もテレビで見ました。  毒物、劇物のタンクにおいても、ひび割れや破損などの被害もあったと聞いています。都内では、地震の揺れにより、毒劇物ではありませんが、トリクロロエチレンを含むガスが工場内に充満し、死者が発生する被害が起きています。  都は、昨年五月から劇物、毒物の大規模タンクを持つ事業者について調査を行ったということですが、多摩地域にも大きなタンクを持つ事業者が約八十件も存在しており、立川断層の危険性も指摘される中、十分な対策が必要であると思いますが、都の対応についてお伺いをいたします。 ◯杉村福祉保健局長 大量の毒物、劇物を貯蔵しておりますタンクは、事故発生時の周辺に及ぼす危害が大変大きいため、都は昭和五十三年の宮城県沖地震を契機にこれらを調査、把握いたしまして、その後、都及び区市保健所におきまして、タンク保有事業者に対する定期的な立入検査を実施いたしております。  また、今回の東日本大震災発生後、改めて立入検査を実施いたしまして、日常の点検体制や事故流出時の安全設備の有無など、震災対策の実施状況等を確認し、指導をいたしております。  今後とも、立入検査を実施しまして、毒物、劇物を貯蔵するタンクの安全性の確保に努めてまいります。 ◯星委員 毒劇物の取り扱いについてですが、学校で、理科の実験で瓶が割れて、薬品が反応して有毒ガスが発生したことがありました。  これらを取り扱いながら届け出が不要とされている学校や中小の工場等について、これまでも大学などの跡地から水銀や砒素が検出された事例もたびたび報道されてきました。  また、担当者がかわると対応策が十分に引き継がれないのではないかというふうに心配をいたします。  少量とはいえ、さまざまな人々が取り扱いにかかわる学校でも対策が必要と考えますが、都の対応についてお伺いをいたします。 ◯杉村福祉保健局長 毒物、劇物は少量であっても二種類以上の薬品がまざることによって発火するなど、震災時に二次災害を起こすおそれがございます。  学校は、化学実験用に多種類の毒物、劇物を保有していることから、都及び区市保健所が定期的に立入検査を実施いたしております。  また、今回の大震災を契機に、都は昨年十月、学校関係者を対象とした講習会を開催いたしまして、適正な管理方法について改めて周知を図ったところでございます。  今後とも、これらの取り組みを通じまして、学校における毒物、劇物の適正管理を指導してまいります。 ◯星委員 いつ起こるともわからない地震です。万全の備えをお願いいたします。  続いて、高齢者の福祉についてお伺いをいたします。  今回の診療報酬、介護報酬改定では、在宅療養を支援する仕組みの強化が打ち出されました。二十四時間対応の診療所の報酬を引き上げ、介護も二十四時間の訪問サービスの導入をさらに進める方針です。  高齢者のケアには、医師だけでなく看護師やケアマネジャー、介護士、薬剤師など多職種のチームによるサービスの提供が不可欠です。今回の改定では、医師や歯科医師等が在宅で療養管理指導を行った場合、ケアマネジャーへの情報提供が必ず必要になるということです。これまでは医師の情報がケアマネジャーに届かず、ケアプランになかなか反映されにくいものでしたが、改定により医療と介護の連携が促進されるものと期待をしております。  しかし、一方で、医療、介護従事者はそれぞれの領域の知識を身につけることがますます重要になると思われます。東京都は、これまでもケアマネジャーやヘルパーなど介護職員に対し、在宅医療知識の向上のための養成事業や医療連携強化研修をいち早く行っていること、このことは評価しますが、今後、在宅療養高齢者が増加する中、さらに医療と介護の連携が促されるよう、研修などを一層充実させていくべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。 ◯杉村福祉保健局長 都は平成二十一年度から、医療職と介護職の連携を促進いたしますため、介護支援専門員を対象とした在宅医療サポート研修や介護職員のスキルアップ研修を実施し、医療的知識の習得を支援してまいりました。  来年度は、これらの研修カリキュラムについて、今回の介護保険法改正を踏まえまして、新たなサービス内容をケアプランに反映させる事例演習や、サービス担当者会議の模擬演習を充実させるなど、より実践的な内容に改定をしてまいります。  また、区市町村が地域の実情を踏まえ、介護支援専門員や介護職員を対象とした在宅療養に関する研修に積極的に取り組むよう、包括補助制度を活用し、支援をしてまいります。 ◯星委員 今後は在宅診療所を中心に自宅でみとりまで含めた医療、介護の多職種連携が必要とされており、地域における人材の活用が重要な課題だと思います。  かかりつけ医というのは耳なれた言葉ですが、かかりつけ薬局という言葉はまだ余り浸透していません。高齢者は複数の疾病を有することが多いですが、薬の飲み忘れ、飲み過ぎ防止、副作用症状の発見等、在宅医療、介護分野における地域の薬剤師の役割は大変大きいものがあります。  先日、幾つもの医療機関からさまざまな種類の薬をもらい、飲み切れなかった薬を大事に保存し、似た症状のときには自己判断で使用するつもりでいる高齢者やご家族が少なからずいるということを、在宅薬剤管理指導に入った薬剤師の方に伺いました。療養生活をする高齢者にとって、適切な服薬は安全で有効な治療の継続に欠かせません。  地域の薬局が、かかりつけ薬局として積極的に在宅医療に取り組むべきであり、東京都もそのための支援をするべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。 ◯杉村福祉保健局長 都はこれまで、都民に身近な薬と健康の相談役でございます、お話のかかりつけ薬局の育成を図っておりまして、インターネットによる薬局情報の発信や在宅医療実践ガイドブックの配布、薬剤師への研修等を行ってまいりました。  今年度からは、寝たきりや外出が困難な高齢者等に対する在宅医療を推進するため、東京都薬剤師会とも十分連携し、在宅患者への訪問指導を行う薬局を把握いたしまして、地域包括支援センター等の関係機関に情報提供を行っております。  来年度につきましても、高齢者の状態や疾病に応じた服薬指導や薬剤管理等の研修を実施いたしまして、かかりつけ薬局の在宅医療への取り組みを促進してまいります。 ◯星委員 さて、高齢者が地域で生活していくためには、住まいが欠かせません。介護や療養が必要ではなくても、ひとり暮らし高齢者がふえ、見守りやふだんのつき合いが大事になります。住まいづくりをコミュニティづくりとつなげて、集まって住むという選択肢もあります。  最近、コレクティブハウスやグループリビング、シェアハウスなど、共有スペースのある共同住宅が注目をされています。一方、都内でも空き家が増加していることから、その活用についても模索されているところです。  都では、二〇一二年度、空き家をグループリビングなどに活用するために、バリアフリー化などの改修費の補助の制度を設けます。この事業を広げるためには、グループリビングの運営を担うNPO法人などと空き家とのマッチングが課題になります。実際に始めるに当たって、今後どのように進めていくのか、お伺いをいたします。 ◯飯尾都市整備局長 平成二十四年度から、空き家を高齢者などの新しい住まい方でございますグループリビング用に改修する場合に、改修費用の一部を助成するモデル事業を実施することとしております。  事業実施に当たりましては広く募集を行いまして、モデル事業にふさわしい取り組みを選定してまいります。 ◯星委員 地域の空き家や活動団体、高齢者のニーズなどの状況は市区町村が把握している場合が多いので、地域自治体と連携して、ぜひマッチングに取り組んでいただくよう要望いたします。  次に、子ども、若者の健康についてお聞きをいたします。  全国のHIV感染者の三分の一が東京都内であり、二十代、三十代が多いため、若者への対策が求められています。また、性感染症に罹患するとHIV感染のリスクが高くなることから、エイズ対策と性感染症が一体化した取り組みが必要です。  都の感染症サーベイランス報告によると、性器クラミジア感染症では感染者のうち男性の約四割、女性の約七割が十代、二十代であり、若年層の割合が高く、保健所では学校や職場に対して健康教育やインターネットを利用した普及啓発活動を行っています。  二〇〇一年よりスタートしたエイズ・ピア・エデュケーション、これは青少年の感染防止とエイズに対する偏見、差別のない社会づくりを目指し、若者のピア・エデュケーターが同世代の若者にエイズに対する基礎知識や予防方法を初め、命の大切さや、ともに生きる大切さを伝える取り組みです。年齢や価値観が近い人たちから同じ立場の人たちに伝えていくことは大変意義深く、効果的であると評価をしています。  そこでお聞きします。エイズ・ピア・エデュケーション事業について、活動内容と今後の取り組みについてお伺いをいたします。 ◯杉村福祉保健局長 都は、学校の授業や学園祭、街頭におけるキャンペーン等、さまざまな機会に保健所や関係機関等と連携をいたしまして、エイズ・ピア・エデュケーションを実施しておりまして、昨年度の実施回数は四十八回、受講者数は三千五百二十五人でございます。  この事業によりまして、同世代のピア・エデュケーターから学ぶことで、若者がHIVやエイズをみずからの問題としてとらえ、関心を持つようになることに加えて、自主的に啓発活動に参加する契機となるといった波及効果も期待できます。  今後とも、学校、保健所や関係機関等と十分連携しながら、効果的なエイズ・ピア・エデュケーションを実施してまいります。 ◯星委員 全体で四十八件というお答えをいただきましたが、東京都全体にしては、とても私は少ない数字ではないかというふうに思います。  各地域の保健医療推進プランでは、若い世代を対象とした普及啓発を重点的に進めていくことが記され、私の地元であります北多摩西部保健医療圏のプランでも、学校との連携ということが重点プランになっております。  そこで、教育庁にお聞きします。エイズ、性感染症の教育についての都教委の取り組みについて、現状はどうなっているのかお伺いをいたします。 ◯大原教育長 エイズ及び性感染症は、増加傾向やその低年齢化が社会問題になっていることから、児童生徒が学習するよう学習指導要領に示されております。  都教育委員会は、エイズ予防の重要性にかんがみ、教科書に加えまして最新の情報を記載したエイズ理解、予防に関する小学校高学年用、中学生用、高校生用のパンフレットを補助教材として毎年発行し、各学校における学習指導の充実に資するよう努めております。 ◯星委員 ピア・エデュケーション事業は大変意義深い取り組みでありますから、ぜひ都立校全体に対して積極的に活用するよう要望いたします。  次に、薬教育についてお伺いをいたします。  次世代を担う子ども、若者の健康については、食の安全や化学物質子どもガイドライン等、生活者ネットワークは主要な政策テーマとしてこれまでも取り上げてまいりました。現代の若者は、あふれる物、情報の中でみずから危険を避け、正しい知識、自分にとっての最善を選びとる力が重要だと思っております。ドラッグや合法ハーブによる薬物中毒の問題も社会問題化しております。  指導要領の改訂により、四月から中学校の保健の授業では医薬品について新たに学習することになると聞いていますが、どのような学習を行うことになるのでしょうか。 ◯大原教育長 学習指導要領の改訂によりまして、平成二十四年度から、中学校の保健の授業においては、新たに医薬品の有効利用について学習することとなりました。  具体的には、医薬品には主作用と副作用があることや、使用回数、使用時間、使用量などの使用法があり、正しく使用する必要があることについて理解をさせることとなっております。 ◯星委員 次世代を担う子ども、若者の健康については、ぜひ福祉、教育の縦割りの壁を取り除いて、連携を強化して取り組んでいっていただきたいと思います。  次に、最後の質問になりますが、歴史的建造物についてお伺いをいたします。  東京都では、歴史的な価値を有する建造物のうち景観上重要なものを東京都選定歴史的建造物として選定し、東京における景観形成を推進しています。これまでに九十一件が選定され、そのうち十件は文化財に指定されたため解除されています。  原則として築五十年を経過していることが条件ですが、多くが昭和初期のもので、江戸時代のものもあります。建造物としては耐震性の問題や老朽化が避けられませんが、特に大震災以降、維持管理のための補修が必要になる場合がふえているのではないかと思われます。  そこでまず、都として東京都選定歴史的建造物の保存にどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。 ◯飯尾都市整備局長 都選定歴史的建造物は、東京の歴史や文化を今日に伝え、まち並みを形成する都民共有の貴重な景観資源であるため、社会全体で保存や修復を支援することが重要でございます。  このため、平成二十二年度に東京歴史まちづくりファンドを創設いたしまして、都の資金に加えて、広く都民や企業からの寄附金を財源として、民間が所有いたします建造物の保存に要する工事費に対して助成を行っております。  今年度は、柴又帝釈天外二件に対し助成を行う予定でございます。 ◯星委員 選定をされた建造物の中には、民間だけでなく、東京都が持っているものも少なくありません。橋梁などは、安全性を維持するために計画的に修理、補修を行うということがありまして、これは当然のことですが、ところで、世田谷区にあります都立深沢高校の一角には、清明亭という茶室があります。二〇〇三年に歴史的建造物に選定されました。  この建物は、昭和六年に元わかもと製薬社長の広壮な邸宅の離れとして建てられ、深沢高校が建てられる際にこれだけ残されたものです。茶室ということで、ふだんは高校の茶道部の活動場所として利用されていたようですが、老朽化が大変目立つようになり、現在、利用を制限することになるというふうに聞いています。  所管の教育委員会としては、歴史的建造物の維持管理をどのように考えているのかお伺いをいたします。 ◯大原教育長 清明亭でございますが、昭和六年に建築された木造の建物でございまして、老朽化が進んでおり、現在は教育活動には利用しておりませんが、都の歴史的建造物に選定されていることから、その外観を維持するために、適切に維持管理を行っております。  昨年三月に発生いたしました東日本大震災によりまして、壁や外壁タイルの一部が破損するなどの被害が生じましたが、必要な修復を行ったところでございます。  都教育委員会は、今後とも、必要な維持保全に努めてまいります。 ◯星委員 各学校が使える予算は決して多いものではなくて、優先順位はやはり在校生の教育環境の整備にあるというふうに思います。  そのことは当然ですが、せっかく身近にある歴史的建造物を大切に使っていくことも教育の一環と考えております。教育委員会として、歴史的建造物の維持管理費用は別途計上をしてほしいということを要望して、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ◯大塚委員長 星ひろ子委員の発言は終わりました。  以上をもちまして付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。      ━━━━━━━━━━ ◯大塚委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。  部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもってかえるものとなっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承願います。  この際、各常任委員長に申し上げます。  部局別質疑に関する調査報告書は、三月二十二日の午後五時までに提出されるよう、特段のご配慮をお願いいたします。  なお、来る三月二十六日については、午後一時から委員会を本委員会室で開会し、締めくくり総括質疑を行っていただきます。  また、三月二十七日に予定しております討論等の委員会運営につきましては、理事会にご一任願いたいと思います。ご了承願います。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後八時三十一分散会...